2013年05月10日

(再読)1リットルの涙 木藤亜也

(再読)1リットルの涙 木藤亜也 幻冬舎文庫

 作者は泣き虫でした。後半が近づくにつれ、読者も涙なしでは読めなくなります。
 二度目の読書にあたって整理しました。家族構成は次のとおりで始まります。7人の大家族です。両親、作者14歳、妹12歳、弟11歳、弟10歳、妹2歳です。母親は保健所勤務の保健師さんです。
 作者の病名は、「脊髄小脳変性症」です。17歳で身長149cm、体重36kg、徐々に歩けなくなる。ものをつかめなくなる。声が出なくなる。寝たきりになる。しかし、頭脳ははっきりしています。学力があっても体の動きはついていけない。25歳10か月で亡くなっています。
 思いどおりに体を動かせないもどかしさが伝わってきます。広い世界を知りたい時期に、家庭とか養護学校で学ぶきゅうくつさがあります。高校生活からは排除されます。高校は卒業させてあげたかった。
 作者からの質問、「結婚できる?」に「結婚できない」のアンサーは酷でした。痛恨のエラーです。悔やんでも悔やみきれません。身を切る思いで公表されたのでしょう。
 「涙」の対照として「笑顔」があります。笑顔になる、笑顔にさせることはむずかしい。
 この世には、いろいろな苦しみや悲しみがあります。作中、彼女は、自分には何ができるのかとみずからに問います。彼女は、この世にロングセラーとなる1冊の本を残しました。この本を読んで、おおぜいのひとたちがなにかを学びました。親の立場で読んだ人もいたでしょうし、学生の立場で読んだ人もいたでしょう。病気で困っている人も読んだでしょう。そのなかには、なぐさめられたり、励まされたりした人もいたでしょう。自殺を思いとどまった人もいました。
 彼女の症状は、老齢化にともなう肉体の劣化に似ています。寿命の長短はありますが、人は、歳をとると、彼女と同じように体が思うように動かなくなります。ゴールの肉体は一緒です。自分自身、歳をとってきて気がつきました。
 以下、心に響いた文節です。
 人間はなぜ2本足で立って歩くのだろう。
 自分を突然変異だと考えた。
 奇跡を願った。
 終着駅はあまりにも厳しすぎた。

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