2013年03月10日

がんばらない 鎌田實

がんばらない 鎌田實 集英社

 「がんばらない」は、身体障害者の言葉です。がんばってもかなわないことだからがんばらないのです。さみしくてかなしい言葉です。
 この本には、癌に襲われてしまった人の「がんばらない」についても詳しく書かれています。
 病院職員は忙しいだろうし、それぞれ家庭もあるだろう。同じ人間なのだから職業は違えども同じ困りごとをもっている。基本的には家庭のことは家族で解決していく。病院関係者に立ち入ってほしくないこともある。本に書かれていることは、田舎だからできたこと、田舎だからできること、このスタッフだからできたことと感じました。
 あの世で待っているという意識があれば、「死」は怖くないようです。
 諏訪中央病院赴任時のお話はとてもおもしろくて笑い転げました。ネットワークによる人間関係づくりの活用が成功につながっています。
 「病院の再生」と「患者の治療」を両輪にして医療・看護活動が広がっていきます。ただ生きているというだけでは、生きていることにはならない。
 平成の時代も25年となり、だんだん日本人の性質は変わってきています。職業人として割り当てられた自分の役割を果たす範囲でいいのか、それともそれ以上のものを目指すのか。もし目指せば自分の家庭のやりくりができなくなります。どうするのか、最後は自分で決めることになります。
 この本は、医療・介護機関でのコントロールタワーの役割を果たす人へのメッセージです。

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