2013年02月04日

屍者の帝国(ししゃのていこく) 伊藤計劃・円城塔

屍者の帝国(ししゃのていこく) 伊藤計劃(いとうけいかく)円城塔(えんじょうとう) 河出書房新社

 本屋大賞候補作4作品目です。
 20ページまで読んで、意味をとれない。再び1ページに戻って読み返しました。SF作品(科学空想小説。サイエンスフィクション)です。残念ですが、わたしには合わない作品でした。
「プロローグ」この部分は、伊藤計劃さんという人が書いたもので、ご本人は34歳ですでに亡くなっています。続きは、円城さんという方が書いておられます。まず、本全体の構成ですが、死者をよみがえらせて、軍事・戦争における兵器・労働者として利用するという設定になっています。時代は今から140年前ぐらい、英国からスタートです。主役はワトソン医学生です。死体を生き返らせるには、重量21gの霊素を死体に与える手法が用いられます。生き返った死体には「心」も「魂(たましい)」も生きていたときの「記憶」もありません。フランケンシュタインとかドラキュラ話が出ます。ワトソンはユニバーサル貿易という会社に連れられていきました。友人の名前がウェイクフィールドです。他に、セワード教授、ヴァン・ヘルシング教授などの名前が出てきます。
「第一部」1878年インド・ボンベイです。日本は、明治11年、九州で起きた西南戦争の翌年です。フライデーという名の死者生き返り人間が出てきます。漢字にルビがうってある文字が多いので読みにくい。復活人間の脂肪をダイナマイトに置き換える。死体は武器です。自爆装置あり。アフガニスタン、クリミア、アフリカ戦線、墓所、盗掘、死体市場、軍事利用、輸出、「屍者の帝国」とは、当時の地球全体を指すようにも感じました。しかし、そうではなく、物語のなかでは、ロシア、カラマーゾフ兄弟が出てきて、長男ドミトリーはシベリア流刑、次男イヴァンは発狂、三男アレクセイは神学校から政治活動家になっているのですが、そのうちのアレクセイが建国したのが「屍者の帝国」です。(この部分、読み違いがあるかもしれません)ほかに、アダムとイブの話も出てきます。昔読んだ「東方見聞録」マルコ・ポーローの情景が目に浮かびました。宝石、首飾り、指輪など、きらきらぴかぴか輝く石です。ワトソンがインドからアジア・日本、そして、アメリカ合衆国を旅し、英国へ帰国するまでが第三部・エピログーへと綴られていきます。その間に実在した人物名がいくつか登場します。
「第二部」舞台は東京です。1879年6月30日明治12年です。フランケンシュタイン査察団、別名リットン調査団。ヴィクター・フランケンシュタイン博士が初めて生き返らせた復活人間「ザ・ワン」、大英帝国陸軍所属フレデリック・ギュースターヴ・バナビー大佐などが登場します。
「第三部」チャップリンの映画を観ているようです。「モダンタイムス」。舞台はアメリカ合衆国に移り、サンフランシスコからニューヨークまで移動しています。
「エピログー」1880年11月26日ワトソンは英国に帰国しています。この部分、どうもワトソンは自ら死して復活人間として生き返っているようなのですが、この部分もよくわかりません。

 最初の復活人間(ゾンビみたいなもの)「ザ・ワン」が率いる彼らと生きている人間たちとの争いがあるような文章ですが、読んでいて、現実味がなく、どこまでがそうなのか正確なところはつかめませんでした。似たような書き方をされるほかの作家さんの作品が高い評価を受けているのですが、この本同様、わたしには理解できません。ひとそれぞれ感動するツボが違うようです。

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