2012年06月28日

わたしのひかり モリー・バング

わたしのひかり モリー・バング 評論社

 絵本のようです。手にとって少しびっくり。よくできた装丁(書物の体裁ていさい)です。カバーに窓がありました。大型で薄い本の全体は濃紺色でまとめられています。「夜空」にたくさんの星がちりばめられていますが、日本人が描く星空ではありません。作者はアメリカ人です。でも京都に1年半滞在しておられます。日本の民話を紹介した本もつくっておられます。日米の風習や習慣が入り混じった文章と絵になるかもしれません。
 渦巻きの星雲が天上に広がっている。地球上には、星の数ほど人がいる。なのに、この世には自分ひとりしかいないと思っている人が増えた。
 星の中心点では「太陽」が煌々(こうこう、キラキラと)と輝いている。宗教的でもある。神の光が宇宙を照らしている。
 ページは一転して地上に向けられた。青森空港発の航空機で中部セントレア空港に着陸した時を思い出した。激しい雨が通過したあとは空気がきれいになっていた。街の灯が大量の宝石をばらまいたように輝いていた。あれからもう2年ぐらいが経つ。
 太陽が登場した途端、脳に太陽光パネルがひらめいた。職場のビルに200枚ぐらい設置されている。原子力エネルギーにつまずいた今、あなたが頼りだ。あなたがいなくなったら地球も人類も滅亡する。
 水は「雨」という表現で登場した。地球が洗われていく。車の洗車を思い浮かべた。色使いがいい。作者に与えられた日本文化の影響を見た。川の形は京都の寺院などで見かける襖絵(ふすまえ)や屏風絵の(びょうぶえ)の松の木からきている。
 この本でいうところの「ひかり」は「照明」ではないことが判明してきました。
 太陽を讃え(たたえ、ほめる)、太陽に感謝する内容のお話です。太陽のおかげで植物が育ち、生き物は植物ほかを食べることによって生命が維持されてゆくのです。人工的な光線に慣れた都会人としては、初心に還る(かえる)内容です。
 エネルギーの紹介記事は水力発電から次に石炭となり火力発電へと移行してゆきます。日本の石炭産業が石油に押されて衰退してすでに50年ぐらいが経ちます。石炭はまだ埋蔵されているけれど採算がとれないという話を聞いたことがあります。
 あとがきがあります。太陽はガスの固まりとあります。子どもの頃、そう学習したことを忘れていました。成人して長い間、太陽は地球のように地面があって表面が燃えていると勘違いしていました。太陽の仕組みは、原子力発電所の仕組みに似ている印象をもちました。
 雷(かみなり)を発電にというお話が登場しますが今はまだ無理とあります。いつどこにくるかわかりにくい雷の電化はできないでしょう。地熱発電が紹介されています。作者は最後に新しく電気をつくる試みをすると同時に使う電力量を減らしてゆきましょうと提案されています。正解です。40年間かけて築き上げたものを「無」にするためには、再び40年間がかかります。いまの子どもたちが成人してさらに中高年になった頃、ようやく自然エネルギーによる発電が一般的になると予測します。世代交代です。

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