2012年06月02日
ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ?なに?
ノーベル賞受賞者にきく子どものなぜ?なに? べッティーナ・シュティーケル 主婦の友社
良書です。ノーベル賞受賞者のみなさんたちが、こどもたちの素朴な質問に対して、真正面から真面目にわかりやすく答えておられます。それでも、ところどころ理解できない部分はありますが、受賞者のみなさんの誠実な気持は伝わってきます。
地球の上で暮らしているのは日本人だけではないことがわかります。ドイツ、アメリカ、カナダ、スイス、イタリア、ギリシャ、ロシア、イスラエル。いろいろなお国の天才、先駆者のみなさんたちがこどもたちにやさしく声かけをしてくださいます。
「政治って何?」という質問に対しては、『政治が機能しなくなると血が流れます』と直接的な答が返ってきます。「どうして貧しい人とお金持ちの人がいるの?」という質問に対しては、『運が良かったか悪かったかだけのことです』と返事があります。人間は、お金がいったいいくらあれば満足するのだろうかと思いをめぐらしました。「もうすぐぼくと同じ人ができるようになるってホント?」のクローン人間に関する答には胸が重苦しくなりました。ユダヤ人受賞者の方のお話からは、人間は人間を殺す性質をもった生き物であるという結論を得ました。
186ページから続く病気のお話は興味深い。健康とは、肉体的・精神的・感情的に完全に自由であるという定義がいい。肉体的な自由は、「痛みがない」、精神的な自由は、「自分中心に考えていない」、感情的な自由は、「なにかにこだわらない」簡潔にそう書いてあります。215ページでは、「文学を書く人たちの能力を信じる」という熱いメッセージが登場します。その後、別の方が、脳の神経細胞の結びつきは出生から16歳までの間につくられると記されています。
最後のほうの数学者のお話にはしみじみとしました。娘さんは障害者で、耳が不自由で、精神的にも遅れていると告白されています。でも彼は、娘はすばらしい人間ですと結んでいます。
遠い未来に月は地球から離れていく。月は再び地球に近づきバラバラに崩れて、地球に落ちてくるということを占いのような予言ではなく、科学的根拠があると示されている部分があります。科学というよりも文学的です。そのほか容疑者X(エックス)東野圭吾著での犯人を思わせるような数学者たちの考察がありました。
最後にこの本をまとめた方が、ノーベル賞受賞者は、恥ずかしがり屋で、マスコミは苦手ですと伝えています。目立ちたがり屋で、弁舌が得意な人たちではありませんでした。そういえば、「どうやったらノーベル賞がもらえるの?」というこどもさんの質問がありました。もらいたくてもらうのではありません。人のためになることに全力を尽くしていたらもらえたのです。だけど、受賞してから仕事が始まるのです。そのような答がありました。
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