2012年05月09日

西鶴名作集 藤本義一

西鶴名作集 藤本義一 講談社

 江戸時代の小説家というのだろうか「伊原西鶴」氏の本を読んだのは初めてです。訳者である藤本義一氏の「西鶴と私」から読み始めました。井原西鶴は長い間、国語の世界では埋もれていた。とあります。軟弱文学者、亡国文学の代表者と決めつけられていたそうです。
 最初のページに戻って読み始めました。思わず笑いが飛び出しました。「耳にはさんだおもしろい話」集です。「闇がりの手形(くらがりのてがた)」は、芥川竜之介の「羅生門(らしょうもん)」のベースになったのではないか。諸国でこんなことがあったという楽しいお話が続きます。
 井原西鶴は、江戸時代(1642~1693)の人です。この本の中では金銭感覚が現代に置き換えてあります。バブル経済の頃と似ています。物価が非常に高い。諸国話の舞台は江戸や京都・大阪であり、いまでいうところの都会です。わたしがいままで抱いていた過去の日本のイメージとはかなり違いがあります。
 両替屋という職種があります。この頃、江戸は「金」、関西は「銀」が通貨として使用されていた。「金」と「銀」の価値を比較して交換する経済手法があったとあります。為替レート(交換レート)です。
 西鶴は暮らす人たちの行いに対して正直な評価をしています。お金持ちが、ぜいたくしすぎて家をつぶしたとか、同じくお金持ちであるけれど守銭奴(しゅせんど、貯めることだけに熱心)が、死にぎわに発狂したとかです。悪事にいちど手をつけると悪事が悪事であることがわからなくなるという教訓話もあります。なんだか、今も昔も人間がしていることに変わりはない。
 子どもさん向けの本なのでしょう。当時の風俗や文化が絵付きでていねいに説明されています。勉強しやすい良書です。


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