2011年01月12日

ラストサムライ DVD

ラストサムライ DVD

 見始めて1時間くらい経ったら自宅にお客さんが来て、それでもBGMがわりにつけっぱなしにして中盤まで見て、お客さんが帰ったあとまた最初から見て、見終わったら、特典映像監督の解説付きというのがあって、15分くらいだと思っていたら150分間すべて延々と解説が続き、1日で3回ぐらい見てしまいました。映画で食べていく人だったら何十回も見るのでしょう。
 アメリカ人から見た幕末のサムライとは、帝(みかど、天皇)のために無心になって掟(おきて)に従い、愛する一族や土地を守るために、敵を無感情に殺害する者たちなのでしょう。静と動が順番に繰り返される映画です。ことに戦闘シーンはすばらしい。
 主人公の勝元盛次(もりつぐ)は、時代背景からいくと、すでに明治維新となっているので無理があるのですが地方の藩主だろうと推測しました。監督の話では、アメリカ合衆国南北戦争終結後の時期設定にこだわったそうです。この映画は新撰組の世界です。壬生義士伝(みぶぎしでん)を思い浮かべます。また、黒澤映画「七人の侍」が基礎にあります。
 日本人の俳優さんたち、子役さんも含めてセリフではない顔や動作による表情の演技が光っています。わたしも勝元軍の一員となって鎧兜(よろいかぶと)を着て殺戮(さつりく)の場へ乗り込みたいと画面に引き寄せられました。
 日本文化を伝える映画でもあります。極めるというのでしょうか、何事も上達すると美しい型ができることがわかります。
 風景描写について、日本人からみると違和感もありますが、最初と最後の景色は、靄(もや)が美しい九州の山や海の景色です。監督の解説では、ロケはニュージーランドの谷、ヘリコプターに乗って探して、そこにセットをつくったそうです。そこに、日本各地の風景が織り交ぜてあります。俳優をだれにするかの選択話も興味深い。お金とトム・クルーズは手元にあったけれど、肝心の日本人俳優がみつからなかったという監督の語りから始まります。
 アメリカ南北戦争で戦って勝利したのち武器商人の手先となったオルグレン中尉は、高額の給与に惹かれて、開国を反対する侍を退治するために日本へ来たのですが、彼には、インディアンの暮らしをつぶした後悔があります。インディアン=侍の面があり、勝元に捕らえられた彼は、侍の生活を受け入れ、敵である勝元の片腕にまで成長するのです。されど、彼は、時代の流れの変化には屈するしかないと自覚しているのでした。桜は散るのです。男たちは命を賭けて新しい時代に戦いを挑み、散っていくのです。
 先日「永遠の0(ゼロ)」という特攻隊の物語を読みました。おおぜいの若者たちが、お国のために、家族のために桜の花びらのように散っていくのですが、主人公宮部久蔵隊員は、妻と娘(あかちゃん)のために、自分は、死にたくないと上層部に主張するのです。しかし、彼もまた散っていくのです。この映画も、その物語も悲劇です。

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