2024年10月10日

ノスタルジア イタリア・ソ連合作映画 1983年

ノスタルジア イタリア・ソ連合作映画 1983年(昭和58年) 2時間5分 動画配信サービス

 映像を楽しむ映画でした。美の追求です。
 中身は理解できませんでした。
 宗教のような心の中にある意識をお話にしてあるというつくりでした。

アンドレイ・ゴルチャコフ:詩人。イタリアトスカーナ地方にあるシエナという村にいる。自殺したロシアの音楽家サスノフスキーの足跡を追っている。

エウジエニア:アンドレイ・ゴルチャコフの女性通訳。

ドメニコ:シエナの住人。村人たちから頭のおかしい人扱いをされている。

 宗教があります。心をこめて祈る。神にすがる。
 映像美を表現する映画です。
 イタリアとロシアの話です。
 映像はときおり白黒、だいたいカラーです。
 心象風景を映像に変えてあります。
 独特な雰囲気があるヨーロッパ映画です。
 美を追求する。
 同性同士の愛もありか。
 
 湯気(温泉のゆげ)、不死を求めて温泉に入る。
 タバコやら、葉巻やら。
 映像の中で、人々の話す声が流れますが、映像の中にいる人が話しているようには見えない。
 犬の鳴き声まで人間っぽい。

 『神が言った。お前が存在するのではない。私が代わりに存在するのだ』(なんのことやら)

 美としての、『光線』。
 
 狂人ドメニコと詩人アンドレイの会話は、中身があるようでないようにも感じられる。

 1枚の写真のような映像が、白黒になったり、カラーになったりしながら続きます。
 クラシック音楽がバックに流れて、宗教的な雰囲気が空間全体に広がります。厳か(おごそか)です。
 雨が降る音。雨つぶが金属製の缶に落ちる音。雨が、コンクリートの床に落ちる音。水しぶきの音。いろいろ工夫がこらされています。

 鏡に映る男の顔。

 話の流れはつくり話で現実味はありません。
 詩的な心の中にある風景です。
 湧いて来る地下水のように思考がこの世にあふれてきます。
 透き通った水の中から、アイデアが湧いてきます。

 焼身自殺の定義を別の本で読んだことがあります。
 自殺者の強烈なメッセージ、自殺者の主張があるとき、自殺者は、焼身自殺を試みる。(こころみる。チャレンジする)

 詩人がろうそくを持って長時間歩くシーンが続きます。儀式のようです。祈りの儀式です。
 死後の世界だろうか。
 雪が降り積もります。

 ロシア人がロシアから追い出されて、ロシアの外でロシアのことを思ったから、『ノスタルジア(郷愁、望郷)』なのだろうと考えました。
 むずかしい映画です。
 映像美だけを楽しむのが良さそうです。美術年鑑のようです。

(その後のこと)
 今読んでいる本が、『赤と青のガウン 彬子女王(あきこじょうおう。大正天皇のひ孫。ヒゲの殿下の第一女子) PHP文庫』ですが、224ページあたりに、自然光で絵画を観ることの大切さについて書いてあって、こちらの映画の映像のイメージと重なりました。
 1枚の絵画を朝から晩まで、自然光が変化する場所に置いて鑑賞すると、『今日のショー』のような変化を味わうことができるそうです。昔の人は、そうやって、絵画を楽しんでいたと想像されるそうです。

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