2024年02月29日

アンソーシャル ディスタンス 金原ひとみ

アンソーシャル ディスタンス 金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 新潮社

 本の帯に、『ずっとそうだった、コロナは世間に似ている』と書いてあります。文章の意味はわかりませんが、コロナ禍が関係しているから、「アンソーシャル ディスタンス」なのでしょう。「新型コロナウィルス感染症拡大防止対策として、対人距離の確保(をしない)」と読み取れます。アンソーシャルで、否定形ですから。
 いったいコロナ禍(か)ってなんだったのだろう。発生地の中国は何の補償もしてくれない。まわりも補償を求めない…… まるで、そんなことは、なかったかのごとく過ぎ去ってしまっています。

 短編5本です。

『ストロングゼロ』
 飲み物だろうか? ストロングゼロ:調べました。チューハイだそうです。(わたしは飲んだことはありません)

ラ・カンテーヌ:レストランらしい。昼食を食べに行くところ。

セナ:彼氏はSE(システム・エンジニア)

(私)ミナ:桝本美奈。主人公OL(オフィスレディ)。出版社の新書編集部勤務と読みとれます。彼氏はイケメンであればいい。人間の中身にあまりこだわりはなさげです。

行成(ゆきなり。元バンドマン。今はフリーター、ミナのヒモ状態あわせて、うつ状態)。ミナは行成と3年間同棲していますが、ほかの男とも寝ます。イケメンならだれでもOKみたいです。

吉崎:セナとミナの同僚OL。面食い(めんくい)。

裕翔(ゆうと):吉崎の彼氏だが、ミナの彼氏でもある。ふたまたかけていたが、三週間前に吉崎と別れたもよう

松郷(まつごう)

職場でミナの向かいの席に座っているのが、真中(まなか)さん。
販売担当部署の三瀬さん。
奥滋さん(おくしげさん)のトークショー:奥滋美津子×村松勝トークショー

 社食の話から始まりました。(会社の食堂)
 彼氏の話が出ます。なんというか、「カレシ」とか「カノジョ」とか、所有物のような扱い、形だけの付き合い相手、言い方に、そんな軽いイメージがあります。

(読み終えました)
 アルコール依存症になっている若いOLさんのお話でした。
 女性が読む短編集でのようです。女心を表現してある作品群のようです。
 ちょっとわたしは、場違いです。少し、流し読みをするような感じで読みました。
 怯む:ひるむ。
 校了(こうりょう):印刷してもよい状態になる。校正終了の略。
 スマホで、ストラテジーゲーム:戦略。策略。ゲームで与えられたミッションをクリアする。
 
 文章に勢いがあります。すさまじいパワーです。文字数が大量です。
 よきフレーズ(言い回し)として、『(男にとって女であるわたしは)自動販売機のような存在なのかもしれない……』、男にごはんを用意して与えている。男は鳥かごのなかにいる鳥のようなもの。

 読んでいる自分は、相当まじめなのでしょう。読んでいて、主人公女性のミナがだらしなく思えます。
 本人は悩んでいるようなのですが、同情する気持ちにはなれません。ミナは、はっきりしない人です。自分の未来に向かって、自分がどうなりたいのかの志(こころざし)がない人です。アル中の人です。たくさんStrong Zero(ストロングゼロ)というチューハイを飲みます。しょっちゅう飲みます。

 新書:新刊の書物。気楽に読める教養ものや小説。

 仕事のようすが書いてあるのですが、なんでもかんでもメールです。昔はちゃんと相手に会って話したり、電話したりで口頭で会話をしたものです。なんだかなあという気分で読んでいます。無言で接客する人が増えました。人間じゃなくて、AIロボットのようです。(人工知能ロボット人間)。人間が、人間ではない、人間のようなものになっています。

 リマインド:思い起こさせる。

 ミナは、アルコールに依存するけれど、男にも依存する。男から、『まだ飲むの?』と問われてしまいます。とうぜん、まだ飲み続けます。心の病気です。
 複数の男と交渉をもっているので、そのうち、男の名前を言い間違えます。めちゃくちゃですな。

 アルコール依存症ですから、夢と現実が交錯(こうさく。入り混じる)します。
 同僚からは、『…… 酒臭いよ』と言われてしまいます。

 わたしは長いこと生きてきて、アル中の人を何人か見たことがありますが、アル中の人は、体力があるうちは、威勢(いせい。元気。勢い)がいいのですが、体力が落ちてくるとぼろぼろになります。思うに、アル中の人は、内臓がぐちゃぐちゃになって、排尿・排便のコントロールが自分でできなくなって、オムツをつけて、汚物まみれで死んでいくイメージがあります。苦しい死に方です。

 アイラ島のウィスキー:スコットランドの島。ウィスキーが有名。

 得る(える)ものはなく、失うものばかりのアル中の女性の話でした。


『デバッガー(Debugger。コンピュータープログラムの不具合を探し出して、修正する作業をする人)』
 読み終えましたが、自分には、合わない小説です。この本は、まじめさとか、一生懸命さがない女性が主人公になる短編群です。

 35歳のOLが、同じ職場の24歳の男性とカップルになってのあれやこれやです。
 まわりの同世代が、結婚して、出産して、子育てをしての中で、取り残された女性です。自分で自覚があります。自分は、時間が止まっているという表現があります。
 かといって、仕事で大成功しているようすはありません。

 主人公の女性は、理由はあいまいですが、美容整形に多額のお金をつぎ込みだします。
 そして、整形の結果がうまくいきません。あせります。そんな流れのお話でした。

森川愛菜(もりかわ・まな):27歳のときに3年間付き合った男と別れて3年がたった。付き合い始める前、その男は複数の女性と付き合っていた。アイドルとか、元モデルの美人とか、おまえよりレベルが高い女性だったと言われたとあります。(こんなところで、まじめな話で申し訳ないのですが、同時に複数の異性と付き合うような人間とは距離を置いたほうがいいです。誠実な人ではありません。ただ、この話の場合、森川愛菜も同時に複数の男と関係をもつ女性なのです)

優花(ゆうか):同僚OL。かなり年上の既婚男性と不倫をしている。不倫相手の男性は、離婚したいができない状況にあるらしい。秘書課で働いている。

大山くん:24歳。森川愛菜よりも8歳年下だが、森川愛菜との結婚を真剣に考えている。森川愛菜とつきあっている。いっぽう、同期の山岡という24歳の女性が、大山に好意をもっている。

 ブリオッシュ:フランスの菓子パン

 失礼かもしれませんが、読み手の自分からみれば、くだらない世界のことが書いてあります。セクハラ、モラハラの会社内のようすです。女性蔑視のようすです。(べっし。女性を下に見る)
 この短編を読んで共感する女性もいるだろうなあ。
 高学歴の人たちが働いている会社に見えます。

 以前考えたことがあります。結婚しない。こどもがいない。孫もいない。そして、高齢の親を亡くして、年寄りのひとり暮らしになるって、どんな感じなんだろうなあと。
 子どものいない夫婦、孫のいない夫婦の友だちがいるので、雑談の中でそんな話をしたことがあります。彼らの返事は、『わからない(子どもや孫がいることの実感が湧かない)』というものでした。
 結論としては、未婚であれば、18歳ぐらいの意識のまま、心身が老いた状態になるというものでした。結婚生活の苦労とか、子育ての苦痛とか、高齢の親や義父母の介護などの苦悩体験がなければ、家族関係のあれやこれやがあったという人生を実感することはないのです。
 こちらの短編の主人公女性のようすと重なります。

 大山くんが言います。
 『ペンギンになりたいなあ』(飼育員にエサをもらって生きていけるのはサイコーなこと。飼育員=8歳年上女性の主人公だろうか。年上女性に養ってもらいたい)

 哀しい(かなしい)話です。
 自分としては、やはり、年齢に応じたポジション(人生の立ち位置)にいたい。(このあとの短編、『コンスキエンティア(Conscientia。意識。共犯関係。良心)』115ページに関連する文章があります。計画的に人生を送る人は、コントロールフリーク(仕切り屋)だと、見くだすように表現されています)(う~む。そうかなあ。若い時にはわからないのです。50年も経つと、顔も体もだれしもが心身ともにヨロヨロになります。健康優良児的なイケメンとか美人ではいられません。労働者としての現役リタイアの時期が近づいてきたら、老後の備えは大事です)
 
 病気でもないのに、美容整形外科という医療機関に行く。
 働いたお金を、『自分の顔』につぎ込む。(結婚しない。こどももいないとなると、働いていれば、たくさんお金が残るからかけられる費用なのでしょう)

 小説に出てくるどの恋愛も、顔とかスタイルとか、見た目だけの愛情です。性格とか、資質とか、気が合うとか、そういった基準がありません。

 ボトックス:シワ対策のために、薬を注射する。(この物語では、主人公が思ったような効果がえられません。失敗して、10歳ぐらい老けて(ふけて)見えるようになります。35歳が45歳に見える。みじめです)

 なんだか、大山くんという男も変な男です。(年上女性のヒモになりたい。結婚が永久就職のようです)

 主人公女性の言葉です。
 『…… 私は一体、誰と恋愛していていたのだろう。そもそもこれは恋愛だったのだろうか……』
(うーむ。35歳ならまだやり直しができますと励ましたいけれど。うーむ。なんともいいがたい)


『コンスキエンティア(Conscientia。意識。共犯関係。良心)』
 主人公 小路茜音(しょうじ・あかね)。30歳。不倫中(相手はひとりとは限らない)。
夫:奏(そう)。31歳。無気力。妻のヒモ状態。(この本では、ヒモみたいな男がよく出てきます)
 
 由梨江:小路茜音の友人。デキ婚。育休中。

 龍太:由梨江の弟。小路茜音の不倫相手のひとり。

 宗岡

 美梨(みり):小路茜音の同僚

 原田悦司(はらだ・えつし):51歳ぐらい。有名服飾デザイナー。小路茜音の新しい不倫相手の男性になるであろう人。

 お化粧をしているようすから話が始まります。
 自分は男なので、男の生活とはあまり縁のないお化粧の内容について、細かい記述が続くのですが、理解できないので、流し読みをします。
 お化粧をする女性が読むとピッタリくるのでしょう。

 表向きだけの仲良し夫婦です。中身はありません。すでに夫婦関係は破たんしています。
 『今考えなければならないのは、離婚のことだ……』(でも離婚しません)
 
 外資系化粧品メーカーのBA:ビューティーアドバイザー

 夫は、朝4時に二十連投で、妻のラインにメッセージを送ります。(異常です。妻は女ともだちの家で普通に寝ていました)

 主人公の母親は、現実を知っています。『あなたの(娘の)結婚生活は続かない。』
 
 娘は、ブルドーザーみたいな勢いで結婚したけれど、今は離婚したいそうです。

 ラインのラリー(連投)が異常です。ラインの着信音が続きます。

 こんなことで、悩まなければならないのだろうか。
 依存しあう夫婦です。
 自立とか自活という言葉がありません。

 ふたりの肉体的な交渉は、『何か人間ではない生き物に犯されたような気分だった。』そうです。
 腐れ縁です。
 
 外連味(けれんみ):はったり、ごまかし。

 なんだか、虚しい(むなしい。中身がない)暮らしぶりです。
 何のために生きているのだろう。
 夢がありません。
 妻も夫も、心を病んでいます。(やんでいます)。
 夫婦は、夫婦になる努力をしないと夫婦にはなれません。
 親子も同様です。
 書き手は何を表現したいのだろうか?
 『虚無(きょむ。なにもない。むなしい)』と『孤立感』。人間のもつ闇(やみ)でしょう。

 NTR:寝取られ。パートナーが奪われる。

 厨二病(ちゅうにびょう):『中二病』が、ネット上で、『厨二病』に変化した。思春期のありがちな背伸び行為・言動。

 ナチョス:メキシコ料理。薄いパンに具材をのせて食べる。

 DV:夫婦間の暴力があります。夫から妻に対するものです。まあ、めちゃくちゃですなあ。

 読み終えました。
 なんだろう。主人公の身になってみると、『自分』という人間が、失われていく感覚があります。
 

『アンソーシャル ディスタンス Unsocial Distance 社会的距離がない。非社会的距離』
 読み終えました。これまでの作品を含めて、途中で、もう読むのをやめようかと思う読書が続いています。
 エロい下ネタ記述が続きます。高校生の頃に読んだ村上龍作品『限りなく透明に近いブルー』を思い出しました。
 荒廃した若い男女の関係です。
 なんというか、人間って、そんなものではないのです。内容は、受け止め方にもよりますが、読者を喜ばせようとするためのつくり話です。
 人間の体というのは、だれしもが病気をもっています。健康優良児タイプの体は少ない。夢のような行為の体験なんて、やっぱり夢なのです。それぞれいろいろハンデをかかえていて、お互いに人に見られたくないところをさらけだして、助けあっているのが愛情の現状です。行為そのものについては、人間って、どうしてこんなことをするのだろうかと思うこともあるのです。子孫を継続させるための行為です。愛情の確認だったら抱き合うだけで十分だという人も多いのです。一定の線を超えると異常な性癖になります。

 まあ、物語の流れに沿って、感想を書いてみます。
 女性の指輪のことが書いてあり、なにか意味がありそうでした。
 
小嶺沙南(「こみね・さな」でいいのでしょう):10歳、13歳で自殺企図あり。リストカットあり。16歳で脱法ドラッグを使用して、高校を中退した。大検に合格後大学に進学した。

幸希(こうき):小嶺沙南とカップルの男性。小嶺のゼミの1年先輩。小嶺を妊娠させて、堕胎させた。

 まあ、このふたりに家庭を築けるわけがないというカップルです。

 松永絢斗(まつなが・けんと):小嶺沙南に言い寄る男

 ハンザップ:音楽バンド

 妊娠したこどもを強制的に体の外に出して命を奪います。
 平然とカップルはその行為を医療機関で行います。
 読んでいてイヤな気持ちになってきます。赤ちゃんの命の大切さというものはない。
 目的も目標もない生活です。
 親への隠し事はありです。(堕胎(だたい)のこと)
 中身のない男です。
 命をモノ扱いする男と女です。こんな人はこどもをつくらないでほしい。
 
 なんでもネットで買うのか。(さだまさしさんの歌を思い出しました。『買い物ぐらい体動かせ』です。たしか、『関白失脚』という歌で、歌詞では、テレホンショッピングでした)
 
 ペシミズム:悲観主義。世界は不幸と非合理に満ちている。それ以外にない。
 HILDE:会社名。幸希が内定をもらった。パソコンメーカー。

 スマホ、メール、飲もうよ!(アルコールを)、スマプラ(スマホで楽しむ音楽・映像)、ネット、ゼミ、フラペチーノ(スターバックスの冷たいドリンク)、希死念慮(きしねんりょ。自殺プランづくり)、ライブハウス、メンヘラ、イヤホン、iPhone、ウォーターサーバー……

 読んでいて、しゃらくせぇ、とか、ばかばかしいという気分になります。(案外そういう気分になるのは、作者の術中にはまっているのかもしれません)
 人工的な世界の中にいる若い人たちに見えます。
 心が病んでいます。(やんでいます)
 暗い内容です。
 光が見えない。光を見たい。

 大学まで行って、何を学んだのだろうこの人たちは。
 法学部を出て、法律を守らない政治家みたいなものか。
 脳みその中にある誠実さは、幼児よりも低い。
 
 男女が交互に自分の心理状況を語る形式の文章です。
 
 母親と息子の関係はゆるい。母親も息子と似たようなものか。
 『俺の中でもう母親は関係ない人だから』
 
 重ねて、エロい言葉がたくさん出てくるのですが、生物の生態系の話を読んでいるようでもあります。人間の体は、書いてあるようには動けないのです。現実と夢にはへだたりがあるのです。世の中は誤解と錯覚でできあがっていると、だれかが言っていました。

 なぜ死にたいのだろう。そして、なぜ死なないのだろう。(小説家太宰治(だざい・おさむ)氏を思い出します)。彼は死にたいと言いつつ死にたくなかった。女に導かれて水の中で死んだ。本当は死ぬつもりではなかったとも思えます。
 こちらの作品は、背景とか底辺に太宰治氏の意思が置かれているのだろうか。

 惰性(だせい。これまでの流れ)で生きていく人たちのお話でした。
 

『テクノブレイク(Technobreak。過度な自分の行為による突然死)』
 まあ、過激なタイトルが続きます。
 短編集の最後の作品になりました。がんばって読みます。
 
(読み終えました。この短編部分の感想を書く前に、この本全体の感想を書いてみます)
 いくつもある〇〇文学賞のたぐいにおいて選ばれるためには、文壇で、これまでにない文章の書き方、これまでに見たこともないストーリーの展開があるという『個性』が必要だと思います。
 奇抜さを狙った文章書きです。(なかなか書けないやりかたです)
 著者は、若い頃、そのことに気づいてチャレンジして成功を収めた。(おさめた)。以来、こういう文体と内容で創作活動を続けることを決心した。(2004年(平成16年)芥川賞受賞「蛇にピアス」)
 そんなふうに思いました。

 本を読み終えたあとからのことですが、作者が、翻訳家の金原瑞人(かねはら・みずひと)さんの娘さんだということを知りました。金原瑞人さんは、ていねいで、繊細で、読みやすい翻訳をされる方です。
 これまでに、児童文学作品、『ジョン万次郎 「海を渡ったサムライ魂」 マーギー・プロイス 金原瑞人訳 集英社』と『墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活 ニール・ゲイマン 金原瑞人・訳 角川書店』を読んだことがあります。

(では、この短編「テクノブレイク」のほうの感想です)
 大学生たちがいます。そのうち卒業して就職します。
 ナナちゃん
 ミナミン
 人間の位置がわかる位置情報アプリケーション「ゼンリー」(誰かと繋がって(つながって)いたい欲望を満たすためのアプリです)

 芽衣(めい):主人公若い女性。

 遼(りょう):ポジティブな男(積極的)。芽衣と付き合っていましたが、もともと性格が合わないのに付き合っていたことが災いして別れます。大手商社に勤務しています。

 蓮二(れんじ):遼と別れたあとの芽衣の新しい彼氏。まあ、体の相性がいいらしい。そのうち、コロナ禍が始まります。体を重ねるよりも、マスクが最優先の生活です。ふたりの関係が崩れ始めます。体の関係が中心の付き合い(愛情)は、コロナ禍で、ダメになりそうです。移る(感染する)病気の扱いはむずかしい。

 安岡(やすおか)
 谷原:蓮二の会社の同僚。

 まあ、エロい話が続きます。男も女もサル(えてこう)状態です。壊れます。
 あからさまな表現ばかりで、読むことが苦痛なので、流し読みです。
 
 濃厚接触者、自宅待機、消毒作業、感染発覚…… (そんな言葉が街中にあふれた時期がありました)

 芽衣は、心の病気です。
 ネットとか、LINE(ライン)とか、ウーバーイーツとか、スマホ、DVDプレーヤー、グーグルフォトに同期とか、ゴースト機能とか、シェルターとか、デジタルの言葉が満ちる世界での生活は、本来の人間の生活からは距離があります。
 でかいゴキブリが出てきました。ゴキブリは、なにかをゴキブリにたとえてあるのかもしれません。
 チャーハンとか、フライパンも出てきました。なんだか、不潔そうです。
 この女性は(芽衣は)、人間なのか?
 疑問が浮かびます。こういう人っているのかなあ?
 
 読み終えて思うのは、こういう小説を必要とする人は、いるのだろうなあ。


(2024年3月8日金曜日追加記載)
 後日たまたま読んだ本が、金原ひとみさんのお父さんの翻訳本でした。
 とても良かった。
 心が温まりました。(あたたまりました)
 以下は感想の一部です。
『青空のむこう アレックス・シアラー 金原瑞人(かねはら・みずひと)・訳 求龍堂(きゅうりゅうどう)』
 死んでしまった少年の話です。少年はゆうれいになります。
 イギリスの小説家の児童文学作品です。
 日本語訳者は、先日読んだ、『アンソーシャルディスタンス』の作者金原ひとみさん(「蛇にピアス」で芥川賞を受賞された)のお父さんです。
 これから読む本が家のダンボール箱に入れてあるのですが、たまたま偶然、こちらのお父さんの本にあたりました。

ハリー・デクランド:交通事故死した少年。サッカーが好き。11歳ぐらい。交通事故で死ぬ前に、姉のエギーとけんかをしていたことを、死んでから後悔している。とても後悔している。捨てゼリフを姉にぶつけて家を出て、そのあと交通事故で死んでしまった。
 自転車に乗っていて、10トントラックにひかれた。
 『…… お姉ちゃんなんか大嫌い! …… 帰ってくるもんか。もう二度と会いたくない』、姉のエギーが、『じゃあ帰ってこないで』と言い返したのが、この世の姉との最後のやりとりだった。(つらい話です。現実でも起きることです。家から出かける時は、ケンカはしないほうがいい。本当に、それが最後になることがあります)。

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