2023年12月07日
しごとへの道 パン職人 新幹線運転士 研究者 鈴木のりたけ
しごとへの道 パン職人 新幹線運転士 研究者 鈴木のりたけ ブロンズ新社
評判がいい本です。こどもさん向けのマンガ形式の本です。このあともう1冊発行されています。
まず、ざーっと最後まで1ページずつめくり終えました。3人の方の職業体験記です。全体で200ページぐらいあります。『パン職人』『新幹線運転士』『研究者』です。
読み始める前にわたし自身の考えをいくつか記します。
・給料をもらって生活していくために働く。
・苦痛の代償が、給料というお金です。どの苦痛だったら自分は耐えられるかを基準にして仕事を選びます。
・どんな仕事でも世のため人のためになっています。
・仕事は楽で、給料が良くて、休みが多いほうがいいという気持ちだけでは、仕事は長続きしません。
・人に雇われるのではなく、人を雇ってする仕事もあります。儲け(もうけ)は大きくなりますが、リスク(金銭や気持ちが壊れる危険性)も大きくなります。
では、読み始めます。
『第1話 パン職人』
読み終えて、紆余曲折を経て(うよきょくせつをへて:いろいろな体験をされて)、念願のパン職人として自分のお店を千葉市内にもたれた女性のことがマンガで書いてありました。34歳のときに夢がかなっています。驚いたのは、お店の場所が自分の土地勘がある場所だったことです。熊太郎は用事があって、たまに千葉市内へ行きます。
ご本人が6歳のところから始まります。
おかあさんが、本人の誕生日に手づくりレーズンパンを焼いてくれました。それが、パン職人になりたい動機の始まりです。でもイルカの調教師にもなりたい。
高校を出て、ホテルマンになるための二年制の専門学校へ入学→19歳からイルカの水族館があるホテルで就労開始→客室係からキッチン係へ人事異動→入社三年目でホテルの規模縮小(早期退職)→北海道の牧場にあるレストランで修行→ブラジルの農場に2か月滞在して就労体験→フランスでパンづくりの修行→34歳で千葉市内に自分のパン屋を開店(なかなか波乱万丈(はらんばんじょう)です)
ここからは、マンガを読んでいる自分の考えです。
好きなことを仕事にすることは、幸せかそうでないかです。
基本的には、好きなことは、趣味でとっておいたほうがいいです。
これしかできないから(好きなこと以外のことはできないから)という理由で、好きなことを仕事にするということはあります。アーチストタイプ(芸術とか勝負事(しょうぶごと。スポーツ、将棋など))の人です。
一般的な会社に入って、事務や営業、経理や労務管理、建物管理、接客接遇、社用車の運転、技術職などの業務ができない人は、自分のずばぬけた得意分野で稼ぎます(かせぎます)。
あんがい、ひととおりのことを、平均点でできるという能力をもつ人は、組織にとっては貴重な人材です。
働くために目的をもって教育を受けたり、研修を受けたり、資格を取得することはあります。
ただなんとなく大学に行っても安定した仕事には結びつかないでしょう。大学を出ても仕事を短期間ですぐ辞めてしまう人もいます。
今よりもいいという「よその会社」は、なかなかありません。
ほんとかどうかわかりませんが、昔は、仕事と恋人は変えるたびに質が落ちていくと言われたものです。
お金で苦労しないためには、無職の期間をできるだけ短くすることです。
関東地方から見て、北海道は遠いというような話が出てくるのですが、日本は小さな島国です。24時間あれば、たいていのところへ到着できます。
『…… 人生って、どうにでもなるなって。……』(そうです。悲観することはないのです)
ご本人はそうはいっても慎重です。これからいっしょに働く人の資質や性格を冷静に注視します。これから働くところで、いっしょに働く人が、だれでもいいということではありません。人には相性があります。就職すると、たいてい人間関係で悩みます。
人を知り、土地を知る。見聞(けんぶん。見たり聞いたり)を広めます。体験を積みます。
いろんな暮らし方があります。日本人はとかく金(かね)、金、金で、お金が最優先という意識で生活しています。損か得かが物事を決めるときの、ものさし(基準)です。それが基本ではありますが、それがすべてではないでしょう。
自分がやりたことをやるために必要な学力があります。
ご本人はとても努力されています。フランス語の習得です。かなり苦労されています。
この本のつくり方を推測します。
当事者ご本人にインタビューをする。(聞き取り)
話の種になる項目をつくる。
項目を並べていく。
『パン生地に、子守唄を歌って聞かせる』おいしくなーれ。
気持ちが大事(だいじ)です。
34歳で自分の店をもった。自分でつくるパンを売る。
34年間ですが、長い道のりでした。ベース(基本)は、努力と忍耐とまじめさです。
『第2話 新幹線運転士』
東京・大阪間、515kmを、2時間半で結ぶ新幹線。約1300人の乗客を乗せて、時速285kmで走るとあります。
新幹線運転士になった人のお話です。
東京都足立区の出身です。
小学三年生のとき、ひとりで新幹線に乗って、岡山の母方祖父母宅へ行った体験があります。新幹線の車掌が優しくしてくれた。始まりの動機はそこにあります。(そして遠い未来に、小学三年生だった彼は、新幹線の車掌になり、ひとり旅をしている小学三年生の少年に声をかけるのです。伝承(でんしょう。受け継いで伝えていく)というドラマがあります)
第一話も含めて、81ページまで読んできて、この本は、道徳の本のようでもあります。(道徳どうとく:善行を行い、悪いことをしない)
ご本人の正直な話として、勉強は嫌いなので、大学進学はしない。高校を出て就職する。
学力はあるけれど、大学へ行くよりも、働いてもらった給料で、自分の好きな服を買って、おいしいものを食べたいと思っていたという高卒で就職した同僚がいました。母子家庭で経済的に苦労された人でした。
こちらの本の主人公高校生男子は、進路指導の先生から鉄道会社JRを勧められて試験に挑戦しました。
JRの試験に合格して、名古屋の研修センターに泊まり込んで学ぶ。
鉄道法規、ダイヤの見方(ダイヤ:運行図表)、発券方法など、こまやかなところまで学びます。
学んだあと、配属先の発表があって、若者たちの集合記念写真の絵が93ページにあります。その絵を見ながら思ったことです。いい写真の絵です。若々しい。これからスタートする人生の未来があります。
歳をとってみるとわかるのですが、いつかは、働きたくても働けない立場になる時がきます。しみじみします。あのときは、よくがんばったと思えるのです。
接客商売はたいへんです。へんな相手もいます。とくに電車にはいろんな人が乗ってきます。
みんなでお金(乗車券等の代金)を出し合って、共同出資で乗車するというやり方の鉄道の継続を考えるなら、いわゆる社会的弱者の乗車を優先するという姿勢が大事になってくるでしょう。こどもや、お年寄り、障害者にとって利用しやすい鉄道は、健常者にとっては、より利用しやすい鉄道システムです。
そんなこともあって、この本に、小学三年生のひとり旅のエピソードが入れられているのかもしれないと考えました。
育てるとか、教育する、チームワークで仕事に取り組むというようなことが書いてあります。
人の乗降客数が多い『駅』というところは、ホテルのようなものだろうと思っています。
従事者が仮眠する部屋があって、食事をとる部屋があって、入浴とかシャワーができる施設もあるでしょう。会議室や研修室もあるでしょう。まあ、テレビが置いてある娯楽室もあるかもしれません。
従事者はみんなで共同生活です。
鉄道会社の労働についての特徴として、同じひとつのポスト(役割)を複数の人間で担当するという交代制勤務です。24時間交代制勤務が勤務の基本です。勤務に穴が開かないように、勤務予定表がつくられていて、調整がなされています。
不規則勤務ですから、自分で自分の心身の健康管理をする気持ちが大事です。鉄道ですから、時間厳守に厳しい職場でもあります。
鉄道会社はまた、制服職場です。制服職場というのは、上下関係がきついところでもあります。上司の命令に部下は従います。ただ、電車が好きだということだけでできる仕事ではありません。お互いに、協調性と思いやりが必要です。
そんなこんなを、本を読みながら思いました。
じょうずにまとめてある本です。
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)の流れです。努力があるので、願いが素直にかなっていきます。
終身雇用制の安定感がありました。年功序列もあるでしょう。そのような形態の職場は減ってきているとはいいますが、職種によっては、これからも維持継続されていく職場もあります。制服職場の特典でしょう。
仕事選択の世界には、大学に行かずに、高卒で大企業の技術畑に入って、終身雇用で定年退職まで生活していくということが安定した生活を送る手段のひとつになります。定年後の再就職とか年金受給でも安定しているでしょう。
『第3話 研究者』
異質な内容です。
単純な職業紹介物語ではありません。
中学生の時に登校拒否になった女子が、最終的には東京大学に入学して、研究者として働いておられます。事実の出来事です。
以前、テレビ番組『家、ついて行ってイイですか?』で、東京大学の女子大生が、ある部分ではすごく学力が高いのに、それ以外のことは何もできない。彼女が暮らす部屋は汚部屋(おべや)というものがありました。
一芸に秀でた人は(ひいでたひとは)、一芸以外のことはできなかったりもします。
ご本人は、(自分が専攻している分野について)ほかの人にとっては難解な問題でも、自分にとっては、たやすい問題ですと答えられていました。
人間の頭脳は多種多様です。天才の脳みそをもつ人がごくまれにいます。そのかわり、言動が奇異だったりもします。フォロー(めんどうをみる)をする人がまわりに必要です。
さて、こちらの本の女性です。
大学院の研究室で、『人の意識』を研究する研究者です。
『匂い(におい)の記憶が運動の学習を助けている。これはリハビリなどに役立つかも!』(独特な研究です。凡人には、発想できません)
マンガは、女性のこども時代にさかのぼります。
『数字』に異常なほどの強い興味を示す女性です。
以前読んだ『正欲(せいよく) 朝井リョウ 新潮社』を思い出しました。
扱うのは『特殊性癖』です。世の中には、ほかの人から見れば、不思議なことに気持ちが集中する人たちがいます。この物語に出てくるその人たちは、水道から強い勢いで出てくる水を見ることが快感なのです。男性も女性も性的な快感があるそうです。でも、ただ見るだけです。そのような同じことを好む、人類としては希少(きしょう。まれな。数少ない)な人たちが集まります。かれらは、地球以外のところ、自分たちが正常と思われる生活ができる世界(星のようなもの)に行きたいという希望をもちながら、ここに(地球に)いてもしかたがない。死んでしまいたいというような気持ちをもっています。
こちらのマンガの内容に戻ります。この物語の協力者女性は、いわゆる勉強ができる子、勉強することが好きなこどもです。
学校で、だんだんひとりぼっちになっていきます。さみしいときは、図書館で、図鑑を見ながら植物のスケッチをします。
中学1年の終わりから、完全な不登校になって、ずっと家でテレビゲームをして過ごします。
先日読んだ『さみしい夜にはペンを持て 古賀史健(こが・ふみたけ) 絵・ならの ポプラ社』を思い出しました。学校に行きたくない中学生少年の話でした。
母親が寛容です。中学校には行きたくなったら行けばいいとアドバイスします。
中学生だった女性は、父親が買ってくれた科学雑誌に強い興味を示します。(本の力があります)女性は、物理学に目覚めます。
中学校に行けない女性は、『フリースクール』に通い始めます。仲間がいます。10人くらいいます。
高校に行きたいと思い始めます。
不登校でも受験できる学校を探して、個別指導の塾に通って受験勉強を始めて、高校受験に合格します。
(親御さん(おやごさん)のご苦労が、自分も親としてわかります)
女性の宇宙に対する興味が強い。
高校の女教師から、宇宙のことを研究するために東京大学に行きなさいと勧められます。
成績が、学年で下から4番目だった女性は、予備校で猛勉強をしました。一浪して、みごと東京大学に合格されています。
東京大学入学後、女性の志向が変化します。宇宙から、『人工生命の研究』に心が傾きます。
人間の心の中にある感情を科学で解明する研究を行うそうです。
お金がいる話ですから、女性はかなりがんばります。
共感覚(きょうかんかく):数字に色や性格を感じる現象
28歳の春にイギリスへ留学する。
うつ病になる。(小説家夏目漱石みたいです)
帰国して、ひたすら寝る。
波がある人生を送っておられる方です。
重度障害児を支援する技術を開発する研究者として要請を受ける。
東京大学で研究員になる。
読んでいて思ったことは、仕事の選択とは、自分の居場所探しだということです。
3話全部を読んでみて、不思議な成り立ちの本だという感想をもちました。
ただの職業紹介本ではありません。続編が出ているので取り寄せて読んでみるつもりです。
評判がいい本です。こどもさん向けのマンガ形式の本です。このあともう1冊発行されています。
まず、ざーっと最後まで1ページずつめくり終えました。3人の方の職業体験記です。全体で200ページぐらいあります。『パン職人』『新幹線運転士』『研究者』です。
読み始める前にわたし自身の考えをいくつか記します。
・給料をもらって生活していくために働く。
・苦痛の代償が、給料というお金です。どの苦痛だったら自分は耐えられるかを基準にして仕事を選びます。
・どんな仕事でも世のため人のためになっています。
・仕事は楽で、給料が良くて、休みが多いほうがいいという気持ちだけでは、仕事は長続きしません。
・人に雇われるのではなく、人を雇ってする仕事もあります。儲け(もうけ)は大きくなりますが、リスク(金銭や気持ちが壊れる危険性)も大きくなります。
では、読み始めます。
『第1話 パン職人』
読み終えて、紆余曲折を経て(うよきょくせつをへて:いろいろな体験をされて)、念願のパン職人として自分のお店を千葉市内にもたれた女性のことがマンガで書いてありました。34歳のときに夢がかなっています。驚いたのは、お店の場所が自分の土地勘がある場所だったことです。熊太郎は用事があって、たまに千葉市内へ行きます。
ご本人が6歳のところから始まります。
おかあさんが、本人の誕生日に手づくりレーズンパンを焼いてくれました。それが、パン職人になりたい動機の始まりです。でもイルカの調教師にもなりたい。
高校を出て、ホテルマンになるための二年制の専門学校へ入学→19歳からイルカの水族館があるホテルで就労開始→客室係からキッチン係へ人事異動→入社三年目でホテルの規模縮小(早期退職)→北海道の牧場にあるレストランで修行→ブラジルの農場に2か月滞在して就労体験→フランスでパンづくりの修行→34歳で千葉市内に自分のパン屋を開店(なかなか波乱万丈(はらんばんじょう)です)
ここからは、マンガを読んでいる自分の考えです。
好きなことを仕事にすることは、幸せかそうでないかです。
基本的には、好きなことは、趣味でとっておいたほうがいいです。
これしかできないから(好きなこと以外のことはできないから)という理由で、好きなことを仕事にするということはあります。アーチストタイプ(芸術とか勝負事(しょうぶごと。スポーツ、将棋など))の人です。
一般的な会社に入って、事務や営業、経理や労務管理、建物管理、接客接遇、社用車の運転、技術職などの業務ができない人は、自分のずばぬけた得意分野で稼ぎます(かせぎます)。
あんがい、ひととおりのことを、平均点でできるという能力をもつ人は、組織にとっては貴重な人材です。
働くために目的をもって教育を受けたり、研修を受けたり、資格を取得することはあります。
ただなんとなく大学に行っても安定した仕事には結びつかないでしょう。大学を出ても仕事を短期間ですぐ辞めてしまう人もいます。
今よりもいいという「よその会社」は、なかなかありません。
ほんとかどうかわかりませんが、昔は、仕事と恋人は変えるたびに質が落ちていくと言われたものです。
お金で苦労しないためには、無職の期間をできるだけ短くすることです。
関東地方から見て、北海道は遠いというような話が出てくるのですが、日本は小さな島国です。24時間あれば、たいていのところへ到着できます。
『…… 人生って、どうにでもなるなって。……』(そうです。悲観することはないのです)
ご本人はそうはいっても慎重です。これからいっしょに働く人の資質や性格を冷静に注視します。これから働くところで、いっしょに働く人が、だれでもいいということではありません。人には相性があります。就職すると、たいてい人間関係で悩みます。
人を知り、土地を知る。見聞(けんぶん。見たり聞いたり)を広めます。体験を積みます。
いろんな暮らし方があります。日本人はとかく金(かね)、金、金で、お金が最優先という意識で生活しています。損か得かが物事を決めるときの、ものさし(基準)です。それが基本ではありますが、それがすべてではないでしょう。
自分がやりたことをやるために必要な学力があります。
ご本人はとても努力されています。フランス語の習得です。かなり苦労されています。
この本のつくり方を推測します。
当事者ご本人にインタビューをする。(聞き取り)
話の種になる項目をつくる。
項目を並べていく。
『パン生地に、子守唄を歌って聞かせる』おいしくなーれ。
気持ちが大事(だいじ)です。
34歳で自分の店をもった。自分でつくるパンを売る。
34年間ですが、長い道のりでした。ベース(基本)は、努力と忍耐とまじめさです。
『第2話 新幹線運転士』
東京・大阪間、515kmを、2時間半で結ぶ新幹線。約1300人の乗客を乗せて、時速285kmで走るとあります。
新幹線運転士になった人のお話です。
東京都足立区の出身です。
小学三年生のとき、ひとりで新幹線に乗って、岡山の母方祖父母宅へ行った体験があります。新幹線の車掌が優しくしてくれた。始まりの動機はそこにあります。(そして遠い未来に、小学三年生だった彼は、新幹線の車掌になり、ひとり旅をしている小学三年生の少年に声をかけるのです。伝承(でんしょう。受け継いで伝えていく)というドラマがあります)
第一話も含めて、81ページまで読んできて、この本は、道徳の本のようでもあります。(道徳どうとく:善行を行い、悪いことをしない)
ご本人の正直な話として、勉強は嫌いなので、大学進学はしない。高校を出て就職する。
学力はあるけれど、大学へ行くよりも、働いてもらった給料で、自分の好きな服を買って、おいしいものを食べたいと思っていたという高卒で就職した同僚がいました。母子家庭で経済的に苦労された人でした。
こちらの本の主人公高校生男子は、進路指導の先生から鉄道会社JRを勧められて試験に挑戦しました。
JRの試験に合格して、名古屋の研修センターに泊まり込んで学ぶ。
鉄道法規、ダイヤの見方(ダイヤ:運行図表)、発券方法など、こまやかなところまで学びます。
学んだあと、配属先の発表があって、若者たちの集合記念写真の絵が93ページにあります。その絵を見ながら思ったことです。いい写真の絵です。若々しい。これからスタートする人生の未来があります。
歳をとってみるとわかるのですが、いつかは、働きたくても働けない立場になる時がきます。しみじみします。あのときは、よくがんばったと思えるのです。
接客商売はたいへんです。へんな相手もいます。とくに電車にはいろんな人が乗ってきます。
みんなでお金(乗車券等の代金)を出し合って、共同出資で乗車するというやり方の鉄道の継続を考えるなら、いわゆる社会的弱者の乗車を優先するという姿勢が大事になってくるでしょう。こどもや、お年寄り、障害者にとって利用しやすい鉄道は、健常者にとっては、より利用しやすい鉄道システムです。
そんなこともあって、この本に、小学三年生のひとり旅のエピソードが入れられているのかもしれないと考えました。
育てるとか、教育する、チームワークで仕事に取り組むというようなことが書いてあります。
人の乗降客数が多い『駅』というところは、ホテルのようなものだろうと思っています。
従事者が仮眠する部屋があって、食事をとる部屋があって、入浴とかシャワーができる施設もあるでしょう。会議室や研修室もあるでしょう。まあ、テレビが置いてある娯楽室もあるかもしれません。
従事者はみんなで共同生活です。
鉄道会社の労働についての特徴として、同じひとつのポスト(役割)を複数の人間で担当するという交代制勤務です。24時間交代制勤務が勤務の基本です。勤務に穴が開かないように、勤務予定表がつくられていて、調整がなされています。
不規則勤務ですから、自分で自分の心身の健康管理をする気持ちが大事です。鉄道ですから、時間厳守に厳しい職場でもあります。
鉄道会社はまた、制服職場です。制服職場というのは、上下関係がきついところでもあります。上司の命令に部下は従います。ただ、電車が好きだということだけでできる仕事ではありません。お互いに、協調性と思いやりが必要です。
そんなこんなを、本を読みながら思いました。
じょうずにまとめてある本です。
順風満帆(じゅんぷうまんぱん)の流れです。努力があるので、願いが素直にかなっていきます。
終身雇用制の安定感がありました。年功序列もあるでしょう。そのような形態の職場は減ってきているとはいいますが、職種によっては、これからも維持継続されていく職場もあります。制服職場の特典でしょう。
仕事選択の世界には、大学に行かずに、高卒で大企業の技術畑に入って、終身雇用で定年退職まで生活していくということが安定した生活を送る手段のひとつになります。定年後の再就職とか年金受給でも安定しているでしょう。
『第3話 研究者』
異質な内容です。
単純な職業紹介物語ではありません。
中学生の時に登校拒否になった女子が、最終的には東京大学に入学して、研究者として働いておられます。事実の出来事です。
以前、テレビ番組『家、ついて行ってイイですか?』で、東京大学の女子大生が、ある部分ではすごく学力が高いのに、それ以外のことは何もできない。彼女が暮らす部屋は汚部屋(おべや)というものがありました。
一芸に秀でた人は(ひいでたひとは)、一芸以外のことはできなかったりもします。
ご本人は、(自分が専攻している分野について)ほかの人にとっては難解な問題でも、自分にとっては、たやすい問題ですと答えられていました。
人間の頭脳は多種多様です。天才の脳みそをもつ人がごくまれにいます。そのかわり、言動が奇異だったりもします。フォロー(めんどうをみる)をする人がまわりに必要です。
さて、こちらの本の女性です。
大学院の研究室で、『人の意識』を研究する研究者です。
『匂い(におい)の記憶が運動の学習を助けている。これはリハビリなどに役立つかも!』(独特な研究です。凡人には、発想できません)
マンガは、女性のこども時代にさかのぼります。
『数字』に異常なほどの強い興味を示す女性です。
以前読んだ『正欲(せいよく) 朝井リョウ 新潮社』を思い出しました。
扱うのは『特殊性癖』です。世の中には、ほかの人から見れば、不思議なことに気持ちが集中する人たちがいます。この物語に出てくるその人たちは、水道から強い勢いで出てくる水を見ることが快感なのです。男性も女性も性的な快感があるそうです。でも、ただ見るだけです。そのような同じことを好む、人類としては希少(きしょう。まれな。数少ない)な人たちが集まります。かれらは、地球以外のところ、自分たちが正常と思われる生活ができる世界(星のようなもの)に行きたいという希望をもちながら、ここに(地球に)いてもしかたがない。死んでしまいたいというような気持ちをもっています。
こちらのマンガの内容に戻ります。この物語の協力者女性は、いわゆる勉強ができる子、勉強することが好きなこどもです。
学校で、だんだんひとりぼっちになっていきます。さみしいときは、図書館で、図鑑を見ながら植物のスケッチをします。
中学1年の終わりから、完全な不登校になって、ずっと家でテレビゲームをして過ごします。
先日読んだ『さみしい夜にはペンを持て 古賀史健(こが・ふみたけ) 絵・ならの ポプラ社』を思い出しました。学校に行きたくない中学生少年の話でした。
母親が寛容です。中学校には行きたくなったら行けばいいとアドバイスします。
中学生だった女性は、父親が買ってくれた科学雑誌に強い興味を示します。(本の力があります)女性は、物理学に目覚めます。
中学校に行けない女性は、『フリースクール』に通い始めます。仲間がいます。10人くらいいます。
高校に行きたいと思い始めます。
不登校でも受験できる学校を探して、個別指導の塾に通って受験勉強を始めて、高校受験に合格します。
(親御さん(おやごさん)のご苦労が、自分も親としてわかります)
女性の宇宙に対する興味が強い。
高校の女教師から、宇宙のことを研究するために東京大学に行きなさいと勧められます。
成績が、学年で下から4番目だった女性は、予備校で猛勉強をしました。一浪して、みごと東京大学に合格されています。
東京大学入学後、女性の志向が変化します。宇宙から、『人工生命の研究』に心が傾きます。
人間の心の中にある感情を科学で解明する研究を行うそうです。
お金がいる話ですから、女性はかなりがんばります。
共感覚(きょうかんかく):数字に色や性格を感じる現象
28歳の春にイギリスへ留学する。
うつ病になる。(小説家夏目漱石みたいです)
帰国して、ひたすら寝る。
波がある人生を送っておられる方です。
重度障害児を支援する技術を開発する研究者として要請を受ける。
東京大学で研究員になる。
読んでいて思ったことは、仕事の選択とは、自分の居場所探しだということです。
3話全部を読んでみて、不思議な成り立ちの本だという感想をもちました。
ただの職業紹介本ではありません。続編が出ているので取り寄せて読んでみるつもりです。
この記事へのトラックバックURL
http://kumataro.mediacat-blog.jp/t153248
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません