2023年10月26日

おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん

おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん 長谷川義史(はせがわ・よしふみ) BL出版

 最初にページを最後までゆっくりめくってみる。
 かなりおもしろい。
 今度親戚のちびっこたちに会ったらプレゼントする候補の一冊にします。

 筆致が太い絵です。ぬくもりがあります。
 2000年(平成12年)の作品です。

 表紙をめくると古い物の絵がたくさんです。
 アメリカンクラッカー(わたしが小学生の時にはやりました)、しちりん(わたしが小中学生の時に家で使っていました)、殺虫剤の噴霧器(ふんむき。取っ手を押して薬剤を噴射します。おもちゃにして遊んでいました)、ボンネットバス(ふつうに乗っていました。路線バスです。車内に切符売りのお姉さんがいました)、白黒テレビ(見てました)、オート三輪(走っていました)、ミシン(踏み台に座って、わっかをハンドル代わりにして遊んでいました)、裏表紙のほうも同様です。つるべ式の井戸(こどものころ、家には水道がありませんでした)、洗濯板(せんたくいた。川で洗濯をしていました)、きねとうす(正月前にもちつきをしていました)。いろいろなつかしい。伝承があります。発展もあります。

 歴史がテーマの絵本です。
 今があるのは、昔があったからです。
 親族をさかのぼる。昔、『ルーツ(根っこ)』というドラマ番組がありました。

 ぼく:5歳。幼稚園のたんぽぽ組です。
 ぼくのおとうさん:38歳。渓流釣りが趣味です。『ぼく』は、おとうさんが33歳のときに生まれています。
 おじいちゃん:72歳。おひげが白い。息子は、おじいちゃんが34歳のときに生まれています。ぼくのおとうさんもおじいちゃんも晩婚だったのだろうか。
 おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん:もう亡くなっています。絵には『変体仮名(へんたいがな)』が使われています。わたしが社会人になったとき、変体仮名はまだ使用されていました。飲食店の店名などに使われます。漢字をくずして、ひらがなとして使用したのが変体仮名です。
 カストリ:戦後出回った密造焼酎(みつぞうしょうちゅう)

 おじいさんのおじいさんのおじいさん…… と、どんどんさかのぼっていきます。『チャップリンの黄金狂時代』(1925年(大正14年)アメリカ映画)の絵があります。
 時代はさかのぼっていきます。『パーマネントの始まり』(1923年(大正12年)、明治時代の絵があります。1907年から日本における自動車が始まっています。(明治40年)。絵本の絵ではまだ人力車が人を運ぶ手段です。

 絵は江戸時代になりました。おじいちゃんの頭には、ちょんまげがあります。
 次のページから『ひい、ひい、ひい、ひい……』と、ひいが連続します。ひいおじいちゃんのことです。すさまじい量です。ざーっと数えたら133人ぐらいのさかのぼりです。読み聞かせをするときに困り果てるぶんしょうです。(いらぬことですが、宗教団体が、あなたの先祖があなたに悪さをしている。わたしたちの団体にお金を寄付して先祖供養をしなさいというフレーズを思い出しました)
 ひぇーー。『ひい(おじいさん)』の細かい文字がページにびっしり書いてあります。絵本の読み聞かせではとうてい読めません。なんとか、ごまかさなければ、読み手が倒れてしまいます。(でも、おもしろい)
 
 時代はついに原始時代になってしまいました。
 人々の食料として『マンモス』の絵があります。マンモスは、400万年前から1万年前ぐらいに地球上で生息していました。時代はさらにさかのぼり、人間は猿の姿になってしまいました。人類は500万年前のアフリカで、猿人(えんじん。アウストラロピテクス)から始まり、原人、旧人(ネアンデルタール人)、新人(クロマニヨン人など)と進化しました。

 最後のほうにあるページです。奥行きのある絵です。奥のほうが古い時代という表現がしてあります。いい感じです。自転車のタイヤのようでもある。
 なかなか良かった。

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