2023年10月02日
希望の糸 東野圭吾
希望の糸 東野圭吾 講談社文庫
以前は東野圭吾作品をよく読みましたが、その後遠ざかり、久しぶりにこの文庫を読んでみようと思い立ちました。
ところが、プロローグ部分を読んだだけで暗い気持ちになってしまい、読むのはやめようかと思い立ちました。
小学生の姉と弟が、母方実家の新潟県長岡市内で大きな地震に見舞われて、倒壊した雑居ビルに押しつぶされて亡くなってしまいます。
両親は都合が悪く一緒に帰省していませんでした。
でも、せっかく買ったのだからと流し読みを始めることにしました。
本の中では、まもなく11月の時期です。
汐見行伸(しおみ・ゆきのぶ):父親。東京に住んでいる。建設会社勤務。33歳で結婚した。
汐見玲子(しおみ・れいこ):母親です。夫とは職場結婚して退職。25歳で結婚した。旧姓竹村
汐見絵麻(しおみ・えま):小学6年生女児 (亡くなります) 私立大学付属小学校初等科
汐見尚人(しおみ・なおと):小学4年生男児。10歳。サッカー少年 (亡くなります) 私立大学付属小学校初等科
失意の夫婦は、3人目の子づくりをして、妻は妊娠します。妻は40歳です。
(つづく)
逢魔が時(おうまがとき):夕方の薄暗い時間帯。災いが起きる時刻からきている。
繰り返しになりますが、暗い出だしで、なにかしら嫌悪感をもちました。
登場人物たちの説明文が続きます。
わかりやすく書いてあります。
ふたりのこどもは、あっという間にこの世から去ってしまいました。
病気や事故、自然災害のアクシデントなどで、こどものまま死んでいくこどもがいます。親は泣きます。
もうひとつ別の話が始まりました。
場所は石川県金沢市内として、登場人物は以下のとおりです。
芳原亜矢子(よしはら・あやこ):未婚。祖父母の代から経営の旅館『たつ芳(たつよし)』の女将(おかみ)。母親正美は亜矢子が6歳の時に交通事故で脳に損傷ができた。脳に障害をもつ人となって、亜矢子が16歳高校生のときに死去した。
芳原新次(芳原亜矢子の父親。婿養子):77歳。現在入院中。まもなく逝きそう。(いきそう。亡くなりそう。緩和ケア病棟にいる。肺がん)
戸田医師:芳原亜矢子の主治医
脇坂:法律事務所経営(臙色(えんじいろ)の5階建てビル。2階がオフィス)。弁護士。76歳
松宮脩平(まつみや・しゅうへい):謎の人物
昔読んだ東野圭吾作品『秘密』のようなパターンの物語だろうか。同作品では、事故死で亡くなった人の霊魂が、事故で生き残ったこどもにのりうつります。(こちらの本を読み終えて:違っていました)
遺言書の話です。公証人役場の話も出てきます。わたし自身も同様の手続きをしたので、読んでいて内容がよくわかります。(小説では、内容は相続人に知らされていないという設定ですが、一般的には、口頭で、相続人に事前に話をしてあることが多いと思います)
芳原新次が書いた遺言書に、娘の芳原亜矢子の知らない男の名前が書いてあるのです。男は相続財産を受け取る人間です。
松宮脩平(まつみや・しゅうへい)とは:警視庁の刑事
長谷部:20代。松宮脩平の相棒刑事
松宮克子:松宮脩平の母親
花塚弥生:火曜日の朝、自営のカフェで、お客に遺体で発見された。51歳。東京都目黒区自由が丘にあるカフェ『弥生茶屋(月曜休み)開店10周年』の経営者。世田谷区上野毛(かみのげ)に住んでいる。栃木県宇都宮市出身。離婚、ひとり暮らし、こどもはない。発見時、死後12時間経過。口癖は「巡り会いを大切にしている」。客の話では「いい人」だった。凶器は、刃の長さが20センチ以上のシフォンケーキを切るナイフで店のもの。ナイフは、流し台にあった。顔見知りの犯行が濃厚。推理として、被害者が、表の顔と裏の顔を使い分けていたのではないか。被害者の両親は80歳前後
富田淳子:東急大井町線九品仏駅(くほんぶつえき)から徒歩10分に住んでいる。花塚弥生の遺体の第一発見者。カフェの客。ヨガスクールの友だちユカリと発見した。
山田:不動産屋
綿貫哲彦:55歳。被害者花塚弥生の元夫。11年前に離婚した。現在は、東京江東区豊洲のマンションに、内縁の妻と住んでいる。製薬会社で部長職をしている。
中屋多由子(なかや・たゆこ):綿貫哲彦の内縁の妻。介護施設で働いている。
『自由が丘喫茶店主殺害事件特別捜査本部』
加賀恭一郎:松宮脩平の上司。主任という職。ふたりは、いとこどうし。加賀のほうが松宮よりも年上
『明大前駅』『高円寺駅』(今年7月に電車で通過したことがあるので、身近に感じられます)
松宮脩平と芳原亜矢子は異母兄弟だろうか。芳原亜矢子は本妻のこどもで、松宮脩平は芳原亜矢子の父親の愛人(松宮克子)の子どもなのだろうか。松宮脩平の母親克子が真相を知っているようだが話してくれない。
冒頭に出てきた地震で亡くなったこどもたちの家族の話はどうなるのだろうか。
抽斗:ひきだし
読んでいて、なんだろう。何か物足りません。大衆文学の雰囲気あり。娯楽です。
62歳になった汐見行伸と娘萌奈(もな。14歳中学生。体外受精で誕生したこどもです。母親はその後癌で亡くなりました)
被害者女性の交際相手は、男性ではなく女性ということもある。(わたしの推理はその後、はずれたようですが、別の設定で復活します)
中学生にスマートフォンをもたせることについていろいろある。(14歳の娘が犯人か。ただ、この推理もはずれそうです)169ページにある娘の訴えは正当です。彼女は地震災害で亡くなったふたりのこどもの代わりではありません。『あたしはあたし。誰かの代わりに生まれてきたなんて思いたくない……』
松宮克子:松宮脩平刑事の母親
『本来悪い人間ではない。だけど心に闇をもっている』
汐見行伸の義母「竹村恒子」:夫は5年前死去した。近所に長女が住んでいる。新潟県長岡市に居住している。
カギを握る言葉として『巡り会い』があります。それから『野球』があります。そして、カギを握る人物として『中屋多由子』がいます。
(つづく)
殺人の容疑者の自白について思うことあり。人間の記憶って、そんなにあいまいなものだろうか。(ゆえに、この人は、犯人ではないと、読み手は判断します)
人は、何かを守るためにウソをつきます。ウソをつきとおせるか、つきとおせないか。意思の固さが、ご自身に求められます。
ハヤマ(旧姓モリモト):イケウチユミエの妹
花塚久恵:花塚弥生の母。栃木県宇都宮市に住んでいる。花塚鍼灸接骨院(はなつかしんきゅうせっこついん)を営んでいる。夫はまもなく80歳で鍼灸師(しんきゅうし。針とお灸(おきゅう))として働いている。
う~む。設定は、理論とか、理屈ではあり得るけれど、現実ではない設定です。
いま、304ページ付近にいます。全部で464ページあります。
(つづく)
愛光レディスクリニック:沢岡院長、神原医師(かんばらいし。50歳ぐらい。小柄)
309ページ『一人の少女の運命を変えてしまう……』の部分は、『運命』よりも『人生』のほうがいいと思いました。
なんというか、こういうことは、浮気がからむとありうる事例に類似しています。
こどもに親の夢を託すのはほどほどにしたほうがいい。
親は、『あきらめること(諦める)』を学んだほうがいい。
悲しみの感情しか浮かんでこない348ページあたりです。
ふと思い出した本があります。『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方 くどうみやこ 主婦の友社』具体的で現実的な内容の本でした。励ましの本でした。
ふつう、こどもというものは、生みの親より育ての親を選びます。血のつながりは気にしません。たぶん。
こどもができなかったから離婚したカップルがいる。
角田光代作品『八日目の蝉(せみ)』が思い出されました。本当なら蝉は地上に出て七日目に命が絶えるのです。でも、八日目があったのです。本当なら火災現場で焼死する運命だった赤ちゃんが、その家に忍び込んだ犯罪者に命を救われたのです。そして、犯罪者の手によって、赤ちゃんは育てられたのです。
養子縁組:そのような方向へ向かうことが予想できました。
捜査情報の核心は表には出ない。
ばかな父親がいます。
母親が浮気をしてできたこども。
作者はこの話をこれから先、どうもっていくのだろう。
答えは、『生みの親より育ての親』に着地させなければならない。
これで終わるのか。もう真犯人はいないのか。386ページあたりです。
女の体をおもちゃにする男たちがいます。男を信じてはだめです。
悪いのは女性ではなく、ウソをつく男のほうという定義です。(なになには、なになにという決め事)
『欲』をもった人たちだらけなのが世間(せけん)のありようと読めます。
『巡り会い』とは、男女の出会いのことではない。
やりきれなさが残る終わり方のようです。
こどもができた。いやできてない。それもうそ。できている。ほんとのことは母親にしかわからない。
まあ、暗い話です。
泣ける話ではありましたが、長かった。
以前は東野圭吾作品をよく読みましたが、その後遠ざかり、久しぶりにこの文庫を読んでみようと思い立ちました。
ところが、プロローグ部分を読んだだけで暗い気持ちになってしまい、読むのはやめようかと思い立ちました。
小学生の姉と弟が、母方実家の新潟県長岡市内で大きな地震に見舞われて、倒壊した雑居ビルに押しつぶされて亡くなってしまいます。
両親は都合が悪く一緒に帰省していませんでした。
でも、せっかく買ったのだからと流し読みを始めることにしました。
本の中では、まもなく11月の時期です。
汐見行伸(しおみ・ゆきのぶ):父親。東京に住んでいる。建設会社勤務。33歳で結婚した。
汐見玲子(しおみ・れいこ):母親です。夫とは職場結婚して退職。25歳で結婚した。旧姓竹村
汐見絵麻(しおみ・えま):小学6年生女児 (亡くなります) 私立大学付属小学校初等科
汐見尚人(しおみ・なおと):小学4年生男児。10歳。サッカー少年 (亡くなります) 私立大学付属小学校初等科
失意の夫婦は、3人目の子づくりをして、妻は妊娠します。妻は40歳です。
(つづく)
逢魔が時(おうまがとき):夕方の薄暗い時間帯。災いが起きる時刻からきている。
繰り返しになりますが、暗い出だしで、なにかしら嫌悪感をもちました。
登場人物たちの説明文が続きます。
わかりやすく書いてあります。
ふたりのこどもは、あっという間にこの世から去ってしまいました。
病気や事故、自然災害のアクシデントなどで、こどものまま死んでいくこどもがいます。親は泣きます。
もうひとつ別の話が始まりました。
場所は石川県金沢市内として、登場人物は以下のとおりです。
芳原亜矢子(よしはら・あやこ):未婚。祖父母の代から経営の旅館『たつ芳(たつよし)』の女将(おかみ)。母親正美は亜矢子が6歳の時に交通事故で脳に損傷ができた。脳に障害をもつ人となって、亜矢子が16歳高校生のときに死去した。
芳原新次(芳原亜矢子の父親。婿養子):77歳。現在入院中。まもなく逝きそう。(いきそう。亡くなりそう。緩和ケア病棟にいる。肺がん)
戸田医師:芳原亜矢子の主治医
脇坂:法律事務所経営(臙色(えんじいろ)の5階建てビル。2階がオフィス)。弁護士。76歳
松宮脩平(まつみや・しゅうへい):謎の人物
昔読んだ東野圭吾作品『秘密』のようなパターンの物語だろうか。同作品では、事故死で亡くなった人の霊魂が、事故で生き残ったこどもにのりうつります。(こちらの本を読み終えて:違っていました)
遺言書の話です。公証人役場の話も出てきます。わたし自身も同様の手続きをしたので、読んでいて内容がよくわかります。(小説では、内容は相続人に知らされていないという設定ですが、一般的には、口頭で、相続人に事前に話をしてあることが多いと思います)
芳原新次が書いた遺言書に、娘の芳原亜矢子の知らない男の名前が書いてあるのです。男は相続財産を受け取る人間です。
松宮脩平(まつみや・しゅうへい)とは:警視庁の刑事
長谷部:20代。松宮脩平の相棒刑事
松宮克子:松宮脩平の母親
花塚弥生:火曜日の朝、自営のカフェで、お客に遺体で発見された。51歳。東京都目黒区自由が丘にあるカフェ『弥生茶屋(月曜休み)開店10周年』の経営者。世田谷区上野毛(かみのげ)に住んでいる。栃木県宇都宮市出身。離婚、ひとり暮らし、こどもはない。発見時、死後12時間経過。口癖は「巡り会いを大切にしている」。客の話では「いい人」だった。凶器は、刃の長さが20センチ以上のシフォンケーキを切るナイフで店のもの。ナイフは、流し台にあった。顔見知りの犯行が濃厚。推理として、被害者が、表の顔と裏の顔を使い分けていたのではないか。被害者の両親は80歳前後
富田淳子:東急大井町線九品仏駅(くほんぶつえき)から徒歩10分に住んでいる。花塚弥生の遺体の第一発見者。カフェの客。ヨガスクールの友だちユカリと発見した。
山田:不動産屋
綿貫哲彦:55歳。被害者花塚弥生の元夫。11年前に離婚した。現在は、東京江東区豊洲のマンションに、内縁の妻と住んでいる。製薬会社で部長職をしている。
中屋多由子(なかや・たゆこ):綿貫哲彦の内縁の妻。介護施設で働いている。
『自由が丘喫茶店主殺害事件特別捜査本部』
加賀恭一郎:松宮脩平の上司。主任という職。ふたりは、いとこどうし。加賀のほうが松宮よりも年上
『明大前駅』『高円寺駅』(今年7月に電車で通過したことがあるので、身近に感じられます)
松宮脩平と芳原亜矢子は異母兄弟だろうか。芳原亜矢子は本妻のこどもで、松宮脩平は芳原亜矢子の父親の愛人(松宮克子)の子どもなのだろうか。松宮脩平の母親克子が真相を知っているようだが話してくれない。
冒頭に出てきた地震で亡くなったこどもたちの家族の話はどうなるのだろうか。
抽斗:ひきだし
読んでいて、なんだろう。何か物足りません。大衆文学の雰囲気あり。娯楽です。
62歳になった汐見行伸と娘萌奈(もな。14歳中学生。体外受精で誕生したこどもです。母親はその後癌で亡くなりました)
被害者女性の交際相手は、男性ではなく女性ということもある。(わたしの推理はその後、はずれたようですが、別の設定で復活します)
中学生にスマートフォンをもたせることについていろいろある。(14歳の娘が犯人か。ただ、この推理もはずれそうです)169ページにある娘の訴えは正当です。彼女は地震災害で亡くなったふたりのこどもの代わりではありません。『あたしはあたし。誰かの代わりに生まれてきたなんて思いたくない……』
松宮克子:松宮脩平刑事の母親
『本来悪い人間ではない。だけど心に闇をもっている』
汐見行伸の義母「竹村恒子」:夫は5年前死去した。近所に長女が住んでいる。新潟県長岡市に居住している。
カギを握る言葉として『巡り会い』があります。それから『野球』があります。そして、カギを握る人物として『中屋多由子』がいます。
(つづく)
殺人の容疑者の自白について思うことあり。人間の記憶って、そんなにあいまいなものだろうか。(ゆえに、この人は、犯人ではないと、読み手は判断します)
人は、何かを守るためにウソをつきます。ウソをつきとおせるか、つきとおせないか。意思の固さが、ご自身に求められます。
ハヤマ(旧姓モリモト):イケウチユミエの妹
花塚久恵:花塚弥生の母。栃木県宇都宮市に住んでいる。花塚鍼灸接骨院(はなつかしんきゅうせっこついん)を営んでいる。夫はまもなく80歳で鍼灸師(しんきゅうし。針とお灸(おきゅう))として働いている。
う~む。設定は、理論とか、理屈ではあり得るけれど、現実ではない設定です。
いま、304ページ付近にいます。全部で464ページあります。
(つづく)
愛光レディスクリニック:沢岡院長、神原医師(かんばらいし。50歳ぐらい。小柄)
309ページ『一人の少女の運命を変えてしまう……』の部分は、『運命』よりも『人生』のほうがいいと思いました。
なんというか、こういうことは、浮気がからむとありうる事例に類似しています。
こどもに親の夢を託すのはほどほどにしたほうがいい。
親は、『あきらめること(諦める)』を学んだほうがいい。
悲しみの感情しか浮かんでこない348ページあたりです。
ふと思い出した本があります。『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方 くどうみやこ 主婦の友社』具体的で現実的な内容の本でした。励ましの本でした。
ふつう、こどもというものは、生みの親より育ての親を選びます。血のつながりは気にしません。たぶん。
こどもができなかったから離婚したカップルがいる。
角田光代作品『八日目の蝉(せみ)』が思い出されました。本当なら蝉は地上に出て七日目に命が絶えるのです。でも、八日目があったのです。本当なら火災現場で焼死する運命だった赤ちゃんが、その家に忍び込んだ犯罪者に命を救われたのです。そして、犯罪者の手によって、赤ちゃんは育てられたのです。
養子縁組:そのような方向へ向かうことが予想できました。
捜査情報の核心は表には出ない。
ばかな父親がいます。
母親が浮気をしてできたこども。
作者はこの話をこれから先、どうもっていくのだろう。
答えは、『生みの親より育ての親』に着地させなければならない。
これで終わるのか。もう真犯人はいないのか。386ページあたりです。
女の体をおもちゃにする男たちがいます。男を信じてはだめです。
悪いのは女性ではなく、ウソをつく男のほうという定義です。(なになには、なになにという決め事)
『欲』をもった人たちだらけなのが世間(せけん)のありようと読めます。
『巡り会い』とは、男女の出会いのことではない。
やりきれなさが残る終わり方のようです。
こどもができた。いやできてない。それもうそ。できている。ほんとのことは母親にしかわからない。
まあ、暗い話です。
泣ける話ではありましたが、長かった。
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