2023年01月23日
同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬
同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬(あいさか・とうま) 早川書房
書評の評判がいいので読み始めます。
2021年第11回アガサ・クリスティー賞受賞作品:ミステリー小説の新人賞。
2022年本屋大賞受賞作。
まだ、読み始める前ですが、第二次世界大戦中の出来事のようです。ロシア人の戦士が英雄として描かれるとするなら、ロシアのウクライナ侵攻の今読むと、読み手としての気分は複雑です。
今回のことで、ロシアに対する不信感があるからです。本当のことを隠して、国民の人心を操作するロシアの権力者たちです。嫌悪感しかありません。
時代設定は、1940年(昭和15年)モスクワ近郊のイワノフスカヤ村から始まります。ドイツ軍がロシアの村を襲撃して村人が惨殺されます。そこから『復讐心』が生まれます。
セラフィマ・マルコヴナ・アルスカヤ:主人公の少女。貧農の娘。ソ連ではなく、帝政ロシアのままだったら一生文字も読めなかったそうです。
1924年生まれ(日本だと大正13年)。物語のスタート当時は16歳。母親のエカチェリーナをドイツ兵に殺された。狙撃の訓練学校で学んで、狙撃手になる。さきざきのことして符丁(ふちょう。名前を表す合言葉)が『ゾーヤ』
イリーナ・エメリヤノヴナ・アルスカヤ少尉:セラフィマをドイツ兵たちから救助したソ連の女性兵士。上級曹長(そうちょう)。狙撃の教官のトップ。黒髪。黒い瞳。白い肌。精かんな顔立ち。細身の体。長身。美しい。ドイツ兵98人を射殺した。前線の戦いで右手の指を失った。反体制将校の娘。
ミハエル(愛称ミーシカ):セラフィマの幼なじみ。男子。
シャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ:モスクワ工場労働者の娘。狙撃の訓練学校の生徒。「シャルロッタ」は、フランス人みたいな名前。金髪。丸顔。頬は赤い。16歳ぐらい。身長160cmはないくらい。
アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ:カザフ人女子で猟師。カザフ人は、遊牧をして大地とともに生きる自由の民族。漆黒の髪。だいだい色の肌。平板な顔。アジア風の容貌をもつやせた少女。眼光鋭く、冷え切った目をしている。14歳ぐらい。本人は、射撃の瞬間に自由を感じている。
ヤーナ・イサーエヴナ・ハルロワ:最年長の女子生徒。28歳。グループ内では、年齢が高いためか、愛称が「ママ」
オリガ・ヤーコヴレヴナ・ドロシェンコ:ウクライナ出身の女子生徒。コサック(軍事的共同体。トルコ人、タタール人がルーツ)の一員。<のちに戦地で自軍の逃亡兵と戦争遂行妨害者を射殺する役割を担当する人間であることが判明する。上司がハトゥナ>
バロン:飼い犬の名前。シェパード。伝令担当候補。
リュドミラ・パヴリチェンコ:セヴァストポリ要塞で戦っている女性狙撃兵士。ドイツ兵200人以上を狙撃して倒した。
ポリーナ:モスクワ出身の女子生徒。狙撃兵に向かず電信隊へ変わる。
ノーラ・パヴロヴナ・チェゴダエワ:女性狙撃兵教官。中央女性狙撃兵訓練学校の校長。スペイン内戦への参加歴あり。
ハトゥナ:長身の女性。
秘密警察(チェーカー。古い名称)。その後、NKVD(内部人民移民部。ソ連で、刑事警察、秘密警察、国境警察、諜報機関(ちょうほうきかん。スパイ)を統括していた組織)。
チェーカーというのは、戦場で、戦士と同行はするけれど、同行する目的は、戦場から逃げようとする自軍の兵士に制裁を加えることが役割の人間ととらえました。
独ソ戦争:1941年(昭和16年)-1945年(昭和20年)。ナチス・ドイツVSソ連
ターニャ:看護師
フョ―ドル:兵士
ユリアン:狙撃兵
ボクダン督戦隊(とくせんたい。前線の兵士が敵前逃亡しようとしたら、その兵士を攻撃して逃がさないようにする戦隊)
イェーガー:ドイツ軍の狙撃手。顔に傷あり。
ヴォルガ:ロシア西部を流れる大河。
ケーニヒスベルク:現在はロシアのカリーニングラード(飛び地の領土)
4ページの地図は、ウクライナが話題の今、テレビでよく出るような地図です。キエフとか、ハリコフの地名が見えます。
プロローグがあって、エピローグがある。第一章から第六章までです。
読み始めます。
1940年(昭和15年)5月。
イワノフスカヤ村。村人40人。
アントーノフ:薪割り中(まきわり)。その妻が、ナターリヤ。
セラフィマ16歳。(愛称:フィーマ)と母のエカチェリーナは鹿狩りに行く。生きるために鹿を撃って鹿をみんなで食べる。(1942年(昭和17年)4月、彼女が18歳のときに事件は起きる。当時の彼女の体重が55kg)
エカチェリーナ:セラフィマの母。1942年のとき38歳。体重85kg。
セラフィマの父マルク:内戦終結後、1923年(大正12年。セラフィマは1924年生まれ)に帰還し、翌年死去した。
エレーナ:12歳。ボルコフ家の娘。兄あり。
コルホーズ:民間の組合が運営する集団農場。ソフホーズが国営農場。
ゲンナジー:村人農民。
ミーシカ:16歳。エレーナの兄。ミハイル・ボリソヴィッチ・ボルコフ。金髪。アイスブルー(氷河の水の色。冷たい感じがする薄いブルー系の色)の瞳。ミハイルとセラフィマは同い年。カップルと思われているらしい。
熊が出るらしい。
ボリシェヴィズム:ロシアの革命家、政治家レーニンの思想(初めてソ連という社会主義国家をつくった)。ボリシェヴィキ党は、革命的な共産主義者の党。(アドルフ・ヒトラーが共産主義を否定する文章があります)
「第一章 イワノフスカヤ村」
この部分を読み終えたのですが、不快感があります。異常な世界が描かれています。
ドイツ軍がロシア農民を虐殺するのですが、現実には、去年1年前ぐらい、ロシア兵がウクライナで、本に書いてあるような行為を事実としてしました。
去年の本屋大賞受賞作です。この本を読んだ人たちはどのような感想をもって、この本はすばらしいと讃えたのか不思議です。
『スターリンは恐ろしい独裁者』スターリン:1878年(日本だと明治11年)-1953年(昭和28年)74歳没。ソ連の最高指導者。反対する人間を虐殺した。恐怖政治。
マトヴェイ神父
ソヴィエト:会議という意味。
フリードリヒ先生:高校ドイツ語教師。亡命ドイツ人。元ドイツ共産党員。ナチ・ファシストが嫌い。
『ヒトラーが総統になったのは、選挙で選ばれたのではなく軍人のヒンデンブルクが彼を首相にしたからだし……』(軍事政権は戦争をします)
『ソ連の対独戦争は自己防衛であるとともにドイツ人民を圧政から解放する聖戦だ……』(現在のロシア大統領の理屈と共通するイメージがあります)
帝政ロシア:ロシア帝国。1721年-1917年。
以前読んだことがある本を思い出しました。『動物農場 [新訳版] ジョージ・オーウェル 山形浩生(やまがた・ひろお)・訳 早川書房』
ボリシェヴィキのパルチザン:ソ連革命共産主義者の非正規軍。
なんだか不思議な巡り合わせです。今の時代にこの小説がこの世に存在する不思議さがあります。小説の中の被害者であるロシア国民は、現実社会の今は、加害者の立場にあります。不快な気持ちが湧いてきたので速読に入ります。そして、読み終えたら、ほかの人たちの感想を読んでみます。
フリッツの死体の数:ドイツ人の死体の数。
認識票と階級章。NKVD:内務人民委員部
復讐劇の始まりです。
セラフィマが復讐する相手はドイツ兵とドイツの狙撃兵イェーガーと母を火葬したイリーナ(教官となる女性)です。セラフィマは、殺意のかたまりになります。
「第二章 魔女の巣」
1941年6月(昭和16年)ナチス・ドイツの国防軍がソ連に侵攻した。
ドイツ軍人の多数が、森林地域で“樹上狙撃兵(女性スナイパー)”に射殺された。
フランツ・クライマー:ドイツ軍人
教条主義的な共産主義者:現実を無視して、宗教の教えを機械的に適用する。あわせて、財産を共有管理する社会を目指す。
中央女性狙撃兵訓練学校とその分校。生徒は全員ボブカット(おかっぱ)で制帽をかぶる。訓練期間は予定で1年。(人殺しの育成です)
狙撃兵に向かない人:感情に流される。無駄口をたたく。目立ちたがる。他人を頼りにする。みんなで協力してがんばろうという人は向かない。狙撃兵は孤独です。
ミル:角度の単位。射撃・砲撃の照準に用いる角度の単位。360度を6000ミルとする。
カッコー:敵の狙撃兵のこと。
フリッツ:ドイツ兵のこと。
スターハノフ:ソ連で最も虚像英雄化された炭鉱労働者。
サディスト:相手を虐待することで快感を味わう人。
戦争孤児の女子たちを狙撃兵に起用する。
戦う目的はなにか。なぜソ連は、女性兵士を戦闘に投入するのか。
今の時勢に微妙なことが書いてあります。(78ページ)『ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? …… ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪(りゃくだつ)すべき農地よ(戦争をして、(ウクライナという財産を力づくで奪う)』
狙撃のことが書いてあります。
思い出すのは、テレビ番組『相棒』のシーンです。かっこよかった。自分の感想記録を調べたらシーズン13(2014年(平成26年))第十話「ストレイシープ」でのスナイパー(狙撃手)の寺島進さんが痛快でした。かっこいいー 異次元のスーパーマンです。
オソアヴィアヒム:軍事教育や訓練を行うところ。
射撃がじょうずな順に、アヤ、シャルロッタ、セラフィマ、ヤーナ、オリガ……
イワン:牛飼い農家の主。
スターリングラード:ソヴィエト連邦ヴォルガ川西岸。現在ヴォルゴグラード。(ウクライナの東方)
スターリングラードの戦い:1942年6月28日-1943年2月2日(昭和17年-同18年)ソ連VSドイツ連合(ルーマニア、イタリア、ハンガリー、クロアチア)。ソ連の勝利。
ウラヌス作戦:1942年11月19日-同月23日。ソ連軍がドイツ軍を包囲した。
プロレタリアートの家:賃金労働者階級の家。
デカブリストの乱:1825年。ロシアでの反乱事件。デカブリストは、反乱を起こした貴族の将校をいう。皇帝専制の打破と農奴の解放が目的だった。
(ふーっ。(ため息)なんというか、読んでいて、言葉がむずかしい)
卒業試験としての模擬演習があります。以前テレビ番組「東野&岡村の旅猿」で見たサバゲー(サバイバルゲーム)みたいです。
卒業試験のあとは、実戦です。
戦う目的は『女性を守るため』もうひとつが『自由を得るため』。
(RVGK)最高司令部予備軍所属 狙撃兵旅団 第三十九独立小隊 (狙撃手専門の特殊部隊)
戦争で行方不明になってしまったドイツ兵の手紙があります。1942年11月(昭和17年)5月20日付けの手紙の内容では、自分たちの勝利を確信しています。しかしドイツ兵の願いはかないませんでした。読む方は複雑な気持ちになります。どちら側の人間も、なんだかよくわからない状況の中で国家に強制されて死んでいくのが戦争です。
SS:ドイツの政党。国民社会主義ドイツ労働者党の組織。元は親衛隊。
カフカスの赤軍:カフカス地方。コーカサス。黒海とカスピ海の間にあるカフカス山脈の南北地域。赤軍はソ連のこと。
パルチザン:占領支配行為に対抗する非正規軍。
ジューコフ:上級大将。全赤軍のトップ。
ヴァシレフスキー:上級大将。ジェーコフを支える参謀長
枢軸部隊(すうじくぶたい):第二次世界大戦時に連合国と戦った部隊。ドイツ、日本、イタリアが中心国。
練度(れんど):熟練度。習得した度合い。
ミハイル・トゥハチェフスキー:ソ連の過去の上級将校。軍事的天才。対立で粛清された(しゅくせい。処刑、強制収容、左遷ほか。異分子排除)
アレクサンドル・スヴェーチン:ソ連の過去の上級将校。戦術理論の研究者。粛清(しゅくせい)された。
ミハイル:ソ連の士官候補。曹長。主人公セラフィマの幼なじみ(ミハイルは、セラフィマと結婚するつもりだった)
スタフカ:ソ連軍総司令部(大本営)
カチューシャ:自走式多連装ロケットランチャーBM-13
斥候(せっこう):偵察(ていさつ。調査)、監視、追跡
政治将校:独裁主義国家で、政府が軍隊を統制するための役割を果たす役職。
督戦隊(とくせんたい):自軍を後方から監視する。戦地から逃げ出す自軍兵士の逃亡者、降伏希望者、裏切り者を罰する。
潰走(かいそう):戦いに敗れて逃げる。敗走。
敵愾心(てきがいしん):あくまでも敵と戦おうとする気持ち。
イーゴリ隊長:歩兵大隊の隊長。
読んでいて胸に響いたセラフィマの言葉として『ここは、地獄なのか。』
羆:ひぐま。
車長用キューポラ―:「車長」は戦車の指揮をする役割の人。キューポラは、戦車のパーツ。円蓋(えんがい)ドーム。
ペリスコープ:戦車のパーツ。潜望鏡。
ロシア民謡の『カチューシャ』の歌詞が本の中で流れ始めます。壮絶な戦闘が背景にあります。
大爆発が起こります。人がいっぱい死にます。
女子狙撃隊に犠牲者が出ます。激戦のなかで敵を12人殺した彼女はもう生きてはいません。生き返ることもありません。
怯懦(きょうだ):臆病(おくびょう)で気が弱い。
ボルシェビキ:多数派。レーニンが率いた左派の一派。
トーチカ:防御陣地。鉄筋コンクリートでできている。
ターチャナ・リヴォーヴナ・ナタレンコ(ターニャ):イリーナの仲間。第三十九独立小隊の一員。
現在のウクライナの首都『キーフ』の前の名称『キエフ』という単語が出てきました。
イリヤ・エレンブルグ:詩人。キエフ生まれのユダヤ人。詩として『ドイツ人は人間ではない…… 殺すのだ…… (殺さなければ(こちらが)殺される)』
戦いの目的は『復讐(ふくしゅう)』です。やられたら、やりかえす。人間が存在を続けていくための基本です。
今回の戦争が始まったころ、ウクライナの年配の女性がインタビューに答えていました。『絶対に忘れない。絶対に許さない』
(つづく)
テレビニュースでときおり耳にする『ハリコフ』という地名が出てきました。
ソ連に対するイランの援助物資とか、石油資源の話も出てきます。なんだか、今の状況と重なります。
ナチス・ドイツのシナリオ『電撃的勝利によって半年でソ連を崩壊させて降伏に追い込む』は、現在のロシアのウクライナに対するシナリオに重なります。
迫撃砲(はくげきほう):簡易な構造の火砲。高い射角で大きく湾曲した弾道を描く。少人数で操作可能。
誰何(すいか):相手がわかないとき、呼びとめて名前を問いただすこと。
マクシム・リヴォーヴィッチ・マルコフ上級曹長。隊長:優男(やさおとこ。上品ですらりとしている)。妻と二人の娘が戦争で亡くなった。
ボグダン:マクシムの部下。やせた小柄な男。(提督隊。逃げ出す自軍の兵士を処分する役割)口は悪いが根はいいらしい。
フョードル・アンドレーヴィッチ・カラエフ上等兵(一等兵の上、兵長の下):身長2m近い。胸板厚く、腕太い。屈強。表情は柔和で馬のような優しい目をしている。妻帯者。
ユリアン・アルセーニエヴィッチ・アストロフ上等兵:美少年。狙撃手。
慧眼(けいがん):物事の本質を見抜く鋭い(するどい)力がある。
ピオネール:共産党少年団。
コムソモール:共産党青年団。ピオネールの指導的立場。
4人しかいない第十二大隊:マクシム隊長、督戦隊ボグダン、妻帯者フョードル上等兵、狙撃兵美少年ユリアン(射殺した戦果23人)。
マクシム隊長が少女狙撃手たちに声をかけました。『ありがとう、同志少女、あー……』
チェイコフ中将
サンドラ:夫をドイツ人に殺された。20代なかばのスターリングラード市民。
ヒーヴィ:裏切り者。
玩弄(がんろう):もてあそぶ。なぶりものにする。
嗜虐的(しぎゃくてき):残虐なことを好む。
読んでいて思ったことです。『悪人とは、自分が苦労して為すべきことを、他の人に苦労させてやらせようとする人のことをいう』
ニコライ(コーリャ):6歳ぐらいの男の子。
マーシャ:6歳ぐらいの女の子。
戦場でもこどもたちは、ふつうに遊んでいる。廃墟で、砲弾の欠片(かけら)を拾って遊んでいる。
遊撃(ゆうげき):あらかじめ攻撃する目標を定めず、戦況に応じて、攻撃したり、味方の援護に回ったりする。
狙撃:ねらい撃つ。
諧謔(かいぎゃく):おどけた。こっけいな。ユーモア。
星屑作戦:作戦名に星をからめるソ連軍のやりかた。例として、火星作戦(マルス)
<むずかしい言葉が多く、登場人物も多く、コツコツ少しずつ読んでいます>
狙撃をするときの距離がかなり遠くて驚かされます。
230ページでは400m、860m、
ターニャ:看護師。
仇:かたき。仕返しの相手。敵。
ラシアン弾:小銃用の弾薬。ロシアで開発された。(ラシアンはロシアンということか)
ヒーヴィ:敵の協力者。スパイ。
ヴェーラ・アンドレ・ヴナ・ザハロワ:工科大学の学生。パルチザン(非正規軍)
アンナ・アンドレーヴナ・ザハロワ(アーニャ):同じく学生、パルチザン。ヴェーラの妹
スパム:ソーセージの材料の缶詰。
1942年12月12日(昭和17年)、ドイツ軍は、スターリングラードを逆包囲するソ連軍に攻撃を開始した。
247ページ付近まで読んできて、自分には合わない作品だと感じました。
ドイツもソ連もどっちもどっちです。敵も味方もありません。正義も悪もありません。とりあえず、自分が戦死するわけにはいかない。
作戦の打合せは、先が見えないプランづくりに見えます。
仰角(ぎょうかく):見上げた時の角度。
モシン・ナガン:ロシア製の小銃
サイロ:貯蔵庫。飼料、穀物、化学原料などを保管する。
銃とか、狙撃にいたるまでの行為が、緻密(ちみつ)に書いてありますが、その道について素人(しろうと)の自分には何のことかわかりません。ただ、かなり遠い距離から狙撃することが脅威で驚かされます。的(まと)になる敵まで、300mとか500mとか850m、860mとか。よく弾(たま)が敵に当たるものです。そんな遠くからでも命中する。恐ろしい(おそろしい)。
敵味方に分かれた狙撃手同士の撃ち合いは、日本刀を持つ侍同士の戦いのようでもあります。
『セラフィマ!(楽しむな!)』
人殺しは、戦争だと犯罪にならない。むしろ、成果となる。
スコア:(敵を)何人殺したか。(自慢の記録になる)
16歳女子いなか娘だったセラフィマが、人を殺せないと思っていたのに、今では、射殺した人間の数を誇っている。本人には、自分が「怪物」に近づいていく実感があるそうです。人間はいかなる環境に置かれても順応して変化していきます。
ドイツの作戦として『冬の嵐作戦』
ソ連軍の作戦として『土星作戦(サターン作戦)』『小土星作戦』
12月16日ドイツマンシュタイン元帥の脱出作戦『雷鳴(ドンネル・シュラーク)』
ハンス・イェーガー少尉:ドイツ国防軍人。(あとでわかりますが、セラフィマの村を焼き討ちした軍人です。つまり復讐されるべき人間です)
害意(がいい):他人を傷つけようという気持ち。
峻別(しゅんべつ):厳重に区別する。
胡乱(うろん):あやしく、疑わしい。
スラヴ女:中欧、東欧の女性。(この本では、ロシアの女性)
イワン:ロシア兵を意味するドイツ側の俗語。
ベルクマン少尉:ドイツ軍人。死去。セラフィマたちに狙撃された。
1943年1月7日ロシア正教徒のクリスマス(昭和28年):先日のロシア大統領によるみせかけだけのクリスマス停戦が思い出される本の記事です。
25人、狙撃で敵を殺すと剛毅勲章(ごうきくんしょう)がもらえる。
上司が熱くなる部下を叱る。『お前のご両親が望んでいたのは、お前が生きることだ! ……』殺そうとすると殺される。
ザイチョーノク:子うさぎ。
ヴァシーリ・グリゴーリエヴィッチ・ザイツェフ(凄腕の狙撃兵。ウラル山脈の狩人だった)の教え子が『ザイチョーノク』と呼ばれる。
膾炙(かいしゃ):いい意味での評判が広まる。
プロパガンダ:特定の思想へ誘導する意図をもった宣伝活動。
『お前も、私も神ではない……』(戦争では、市民全員を救うことはできないと続きます。(厳しい))
『誰も守れなかった』『ありがとう 同志少女、セラフィマ……』
(昨年読んだ『塞王の楯(さいおうのたて) 今村翔吾(いまむらしょうご) 集英社』を思い出します。城主の京極高次(きょうごく・たかつぐ)が、『……儂(わし)はもう誰も死んでほしくない』と言って決断をします。戦いにおいて、主が(あるじが)ある程度の犠牲はしょうがないと考えるのか、一兵(いっぺい)たりとも死なせないと考えるのかで、兵士の士気は変わります)
寡兵(かへい):兵士の数が少ない。
欺瞞(ぎまん):人をだます。ウソをつく。
303ページ付近は、読み手の涙を誘うためのシーンがつくってある。(ゆえに自分は心が揺れない)
ソ連軍のスローガン(気持ちを集中させる呼びかけ)『ヴォルガの向こうに、我らの土地なし』
ちょっと読み手の自分には意味をとれません。読解力のなさなのでしょう。
1943年1月10日、そして、同年2月5日ごろ。スターリングラード攻防戦で、ロシア軍は、ナチス・ドイツ軍に勝利しています。
おおぜいの人間が死にました。
この本は『平和』について考える本です。
幼子たちも亡くなっています。
人間の未来を自らの手で消しています。
エイリョーメンコ大将付き政治局員ニキータ・セルゲーヴィッチ・フルシチョフ
第四機械化軍司令ワシリー・チモフェーヴィッチ・ヴォリスキー少佐
とある女性の『コウモリにはコウモリの生き方がある』という趣旨のセリフが良かった。
バーニャ:おふろ。蒸気風呂。ロシア伝統のサウナ。
1943年(昭和18年)連合軍全体が戦局で優位に立つ。
ビャウィストク:ポーランド北東部の都市。
ピオネール向け:ソ連・共産圏の少年団。
RVGK:最高司令部予備軍
クルスク:ロシア南西部の州都
城塞作戦(ツイタデレさくせん)
プロホロフカ:ロシアの都市型集落
バグラチオン作戦:ベラルーシ―での作戦。
人間の歴史は戦いの歴史です。日本の戦国時代を思い出します。
(つづく)
第五章の部分を読み終えました。
戦いがひとだんらくして、小休止のような雰囲気の内容でした。
ドイツはソ連に対して劣勢です。
ベルリンの陥落が近づいているようです。ドイツ兵はおびえています。
ドイツはまだ降伏していません。
戦争の話、戦果の話、どれもこれも、異常な話題ばかりです。
男女の会話も男性同士の会話に聞こえます。
性欲の話、いじめの話、人間の陰の部分が表面に出てきます。
社会を形成する人間がコントロールしないと秩序が壊れます。
読んでいて、男の理論、男の理屈で、提示された問題点の処理がうまくてできていません。
複合的視座:物事を考える時の立場の位置、種類。多角的な視野。
狙撃手は戦後どう生きるべきか。
①愛する人を見つける。 ②生きがいとなる趣味を見つける。
(同感です)
コムソモール:共産党青年団。
ケーニヒスベルク:現在は、ロシアのカリーニングラード。リトアニアとポーランドに接したロシアの飛び地領土。1945年までドイツ帝国領内東プロイセン王国。ここが、この物語の最終戦地になるようです。384ページまで来ました。旅するように本の中を移動しています。
自走砲兵:大砲を車両に乗せて打てる状態にしてある武器の担当兵員。(この本は、軍事用語がけっこうむずかしい。日本の戦国時代の戦法や戦争用具と共通する理解のむずかしさがあります)
士気阻喪(しきそそう):やる気がそがれて、勢いがなくなる。
パンツァーファウスト:戦車への拳(こぶし)。ドイツ軍が使用した携帯式対戦車擲弾(てきだん。爆発する火器)発射機。
国民突撃隊:ドイツ市民軍。民間人の隊。
日本人の侍(サムライ)である武士も外国の軍人も、人を殺すときは、感情を排除して、冷徹になります。
類似の世界状況を描く作品として『戦場のコックたち 深緑野分(ふかみどり・のわき) 東京創元社』を読んだことがあるのを思い出しました。もう一冊同作者の『ベルリンは晴れているか』は、読んだことがありません。
『悲劇』が書いてある作品です。
素材は『戦争』です。
人間の心に潜む(ひそむ)悪魔的部分をあぶりだしてあります。
呪詛(じゅそ):呪い(のろい)。悪意をもって相手に災難を加える。
夫とこどもをなくした妻は、生きる希望を失った。妻とこどもをなくした夫も、生きる希望を失うだろう。
照準器つきのモシン・ナガン:ロシア人設計の小銃。
うらみを晴らす目的をもって相手を殺害することは、職業軍人にとっては仕事としてやったこととされる。
狙撃兵の鉄則として:一か所にとどまるな。自分の弾が最後だと思うな。(常におまえは、ねらわれている)
コミュニストの女兵士:共産主義者の女兵士
ロシアを憎んでいる民族がいます。『くたばれソヴィエト・ロシア』コサックの女子の言葉。コサック:ウクライナと南ロシアに存在した軍事的共同体。
今の戦時の時代にこの本を読むとうーむとうなります。第二次世界大戦の被害者国が、今は、加害者国になっています。
人間には二面性がある。二面性がない人間はいない。
なにか、哲学の本で読みました。そのときの読書メモを見つけました。
ニーチェ:1844年-1900年。55歳没。ドイツ・プロイセン王国の思想家。
『ツァラトゥストラはこう言った 上・下 ニーチェ著 氷上英廣訳 岩波文庫』
ニーチェという人は、ドイツの哲学者です。記述はキリスト教の預言書のようです。ツァラトゥストラ氏は孤独です。精神世界のことが綴られていきます。
教わらなければ人間は獣(けだもの)と同じ。
教育の重要性を説く部分だろうと意味をとれた箇所がありました。人間のなかには、「おのれ」と「わたし」が同居している。「おのれ」は本能で、「わたし」が理性です。
そして両者は常に争っている。人間の心を形成しているものが、「知識」と「知恵」そして「理性」です。人間は最終的に人間の手によって滅びると預言しているようです。
虚仮威し(こけおどし):みせかけだけ。中身がない。
下賜(かし):高貴な人が身分の低い人にものを与えること。
そうか。指輪が『伏線』か。なるほど。うまい。
抉った:えぐった。
(つづく)
セラフィマとオリガの関係において、セラフィマの考えは深い。
同志とは:同じ思想の仲間。
セラフィマの意志は『女性を守るために相手と戦う』
ドイツ兵がソ連の女性を襲う。
しかし、ソ連兵もドイツの女性を襲うのです。
セラフィマの怒りが爆発します。
そして、いまある戦争の現実社会では、ロシア兵はウクライナの女性を襲ったのです。
この本の意味は、今の時代において意義深い。男は女の敵です。
収斂(しゅうれん):収縮
かなりこったつくりで、筋立てが構築されています。
最後のほうは、勇み足ではなかろうか。
443ページあたり以降です。
レニングラード:ロシア連邦の州
懊悩(おうのう):悩みもだえる。
良かった文章として『戦争は終わろうとしていた』
ウクライナとロシアの戦争はいつ終わるのだろうか。
1945年4月30日ヒトラー自殺。(昭和20年)。5月9日ドイツ降伏。ソ連勝利。
エピローグ:1978年(昭和53年)のこととしての記述あり。
全体を読み終えて感じたことです。
男目線で描いた女性史という印象をもちました。女性がこの本を読んでどう感じたのかは、男のわたしにはわかりませんが、ほかの方の、特に女性の書評を読んでみます。
(その後)
いくつもの書評・感想を読みましたが、なんだかつかみどころがありませんでした。
女性問題を考える本として二冊ここに落としておきます。
『私たちにはことばが必要だ -フェミニストは黙らない- イ・ミンギョン著 すんみ・小山内園子 訳 タバブックス』
『説教したがる男たち レベッカ・ソルニット ハーン小路恭子・訳 左右社』
書評の評判がいいので読み始めます。
2021年第11回アガサ・クリスティー賞受賞作品:ミステリー小説の新人賞。
2022年本屋大賞受賞作。
まだ、読み始める前ですが、第二次世界大戦中の出来事のようです。ロシア人の戦士が英雄として描かれるとするなら、ロシアのウクライナ侵攻の今読むと、読み手としての気分は複雑です。
今回のことで、ロシアに対する不信感があるからです。本当のことを隠して、国民の人心を操作するロシアの権力者たちです。嫌悪感しかありません。
時代設定は、1940年(昭和15年)モスクワ近郊のイワノフスカヤ村から始まります。ドイツ軍がロシアの村を襲撃して村人が惨殺されます。そこから『復讐心』が生まれます。
セラフィマ・マルコヴナ・アルスカヤ:主人公の少女。貧農の娘。ソ連ではなく、帝政ロシアのままだったら一生文字も読めなかったそうです。
1924年生まれ(日本だと大正13年)。物語のスタート当時は16歳。母親のエカチェリーナをドイツ兵に殺された。狙撃の訓練学校で学んで、狙撃手になる。さきざきのことして符丁(ふちょう。名前を表す合言葉)が『ゾーヤ』
イリーナ・エメリヤノヴナ・アルスカヤ少尉:セラフィマをドイツ兵たちから救助したソ連の女性兵士。上級曹長(そうちょう)。狙撃の教官のトップ。黒髪。黒い瞳。白い肌。精かんな顔立ち。細身の体。長身。美しい。ドイツ兵98人を射殺した。前線の戦いで右手の指を失った。反体制将校の娘。
ミハエル(愛称ミーシカ):セラフィマの幼なじみ。男子。
シャルロッタ・アレクサンドロヴナ・ポポワ:モスクワ工場労働者の娘。狙撃の訓練学校の生徒。「シャルロッタ」は、フランス人みたいな名前。金髪。丸顔。頬は赤い。16歳ぐらい。身長160cmはないくらい。
アヤ・アンサーロヴナ・マカタエワ:カザフ人女子で猟師。カザフ人は、遊牧をして大地とともに生きる自由の民族。漆黒の髪。だいだい色の肌。平板な顔。アジア風の容貌をもつやせた少女。眼光鋭く、冷え切った目をしている。14歳ぐらい。本人は、射撃の瞬間に自由を感じている。
ヤーナ・イサーエヴナ・ハルロワ:最年長の女子生徒。28歳。グループ内では、年齢が高いためか、愛称が「ママ」
オリガ・ヤーコヴレヴナ・ドロシェンコ:ウクライナ出身の女子生徒。コサック(軍事的共同体。トルコ人、タタール人がルーツ)の一員。<のちに戦地で自軍の逃亡兵と戦争遂行妨害者を射殺する役割を担当する人間であることが判明する。上司がハトゥナ>
バロン:飼い犬の名前。シェパード。伝令担当候補。
リュドミラ・パヴリチェンコ:セヴァストポリ要塞で戦っている女性狙撃兵士。ドイツ兵200人以上を狙撃して倒した。
ポリーナ:モスクワ出身の女子生徒。狙撃兵に向かず電信隊へ変わる。
ノーラ・パヴロヴナ・チェゴダエワ:女性狙撃兵教官。中央女性狙撃兵訓練学校の校長。スペイン内戦への参加歴あり。
ハトゥナ:長身の女性。
秘密警察(チェーカー。古い名称)。その後、NKVD(内部人民移民部。ソ連で、刑事警察、秘密警察、国境警察、諜報機関(ちょうほうきかん。スパイ)を統括していた組織)。
チェーカーというのは、戦場で、戦士と同行はするけれど、同行する目的は、戦場から逃げようとする自軍の兵士に制裁を加えることが役割の人間ととらえました。
独ソ戦争:1941年(昭和16年)-1945年(昭和20年)。ナチス・ドイツVSソ連
ターニャ:看護師
フョ―ドル:兵士
ユリアン:狙撃兵
ボクダン督戦隊(とくせんたい。前線の兵士が敵前逃亡しようとしたら、その兵士を攻撃して逃がさないようにする戦隊)
イェーガー:ドイツ軍の狙撃手。顔に傷あり。
ヴォルガ:ロシア西部を流れる大河。
ケーニヒスベルク:現在はロシアのカリーニングラード(飛び地の領土)
4ページの地図は、ウクライナが話題の今、テレビでよく出るような地図です。キエフとか、ハリコフの地名が見えます。
プロローグがあって、エピローグがある。第一章から第六章までです。
読み始めます。
1940年(昭和15年)5月。
イワノフスカヤ村。村人40人。
アントーノフ:薪割り中(まきわり)。その妻が、ナターリヤ。
セラフィマ16歳。(愛称:フィーマ)と母のエカチェリーナは鹿狩りに行く。生きるために鹿を撃って鹿をみんなで食べる。(1942年(昭和17年)4月、彼女が18歳のときに事件は起きる。当時の彼女の体重が55kg)
エカチェリーナ:セラフィマの母。1942年のとき38歳。体重85kg。
セラフィマの父マルク:内戦終結後、1923年(大正12年。セラフィマは1924年生まれ)に帰還し、翌年死去した。
エレーナ:12歳。ボルコフ家の娘。兄あり。
コルホーズ:民間の組合が運営する集団農場。ソフホーズが国営農場。
ゲンナジー:村人農民。
ミーシカ:16歳。エレーナの兄。ミハイル・ボリソヴィッチ・ボルコフ。金髪。アイスブルー(氷河の水の色。冷たい感じがする薄いブルー系の色)の瞳。ミハイルとセラフィマは同い年。カップルと思われているらしい。
熊が出るらしい。
ボリシェヴィズム:ロシアの革命家、政治家レーニンの思想(初めてソ連という社会主義国家をつくった)。ボリシェヴィキ党は、革命的な共産主義者の党。(アドルフ・ヒトラーが共産主義を否定する文章があります)
「第一章 イワノフスカヤ村」
この部分を読み終えたのですが、不快感があります。異常な世界が描かれています。
ドイツ軍がロシア農民を虐殺するのですが、現実には、去年1年前ぐらい、ロシア兵がウクライナで、本に書いてあるような行為を事実としてしました。
去年の本屋大賞受賞作です。この本を読んだ人たちはどのような感想をもって、この本はすばらしいと讃えたのか不思議です。
『スターリンは恐ろしい独裁者』スターリン:1878年(日本だと明治11年)-1953年(昭和28年)74歳没。ソ連の最高指導者。反対する人間を虐殺した。恐怖政治。
マトヴェイ神父
ソヴィエト:会議という意味。
フリードリヒ先生:高校ドイツ語教師。亡命ドイツ人。元ドイツ共産党員。ナチ・ファシストが嫌い。
『ヒトラーが総統になったのは、選挙で選ばれたのではなく軍人のヒンデンブルクが彼を首相にしたからだし……』(軍事政権は戦争をします)
『ソ連の対独戦争は自己防衛であるとともにドイツ人民を圧政から解放する聖戦だ……』(現在のロシア大統領の理屈と共通するイメージがあります)
帝政ロシア:ロシア帝国。1721年-1917年。
以前読んだことがある本を思い出しました。『動物農場 [新訳版] ジョージ・オーウェル 山形浩生(やまがた・ひろお)・訳 早川書房』
ボリシェヴィキのパルチザン:ソ連革命共産主義者の非正規軍。
なんだか不思議な巡り合わせです。今の時代にこの小説がこの世に存在する不思議さがあります。小説の中の被害者であるロシア国民は、現実社会の今は、加害者の立場にあります。不快な気持ちが湧いてきたので速読に入ります。そして、読み終えたら、ほかの人たちの感想を読んでみます。
フリッツの死体の数:ドイツ人の死体の数。
認識票と階級章。NKVD:内務人民委員部
復讐劇の始まりです。
セラフィマが復讐する相手はドイツ兵とドイツの狙撃兵イェーガーと母を火葬したイリーナ(教官となる女性)です。セラフィマは、殺意のかたまりになります。
「第二章 魔女の巣」
1941年6月(昭和16年)ナチス・ドイツの国防軍がソ連に侵攻した。
ドイツ軍人の多数が、森林地域で“樹上狙撃兵(女性スナイパー)”に射殺された。
フランツ・クライマー:ドイツ軍人
教条主義的な共産主義者:現実を無視して、宗教の教えを機械的に適用する。あわせて、財産を共有管理する社会を目指す。
中央女性狙撃兵訓練学校とその分校。生徒は全員ボブカット(おかっぱ)で制帽をかぶる。訓練期間は予定で1年。(人殺しの育成です)
狙撃兵に向かない人:感情に流される。無駄口をたたく。目立ちたがる。他人を頼りにする。みんなで協力してがんばろうという人は向かない。狙撃兵は孤独です。
ミル:角度の単位。射撃・砲撃の照準に用いる角度の単位。360度を6000ミルとする。
カッコー:敵の狙撃兵のこと。
フリッツ:ドイツ兵のこと。
スターハノフ:ソ連で最も虚像英雄化された炭鉱労働者。
サディスト:相手を虐待することで快感を味わう人。
戦争孤児の女子たちを狙撃兵に起用する。
戦う目的はなにか。なぜソ連は、女性兵士を戦闘に投入するのか。
今の時勢に微妙なことが書いてあります。(78ページ)『ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? …… ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪(りゃくだつ)すべき農地よ(戦争をして、(ウクライナという財産を力づくで奪う)』
狙撃のことが書いてあります。
思い出すのは、テレビ番組『相棒』のシーンです。かっこよかった。自分の感想記録を調べたらシーズン13(2014年(平成26年))第十話「ストレイシープ」でのスナイパー(狙撃手)の寺島進さんが痛快でした。かっこいいー 異次元のスーパーマンです。
オソアヴィアヒム:軍事教育や訓練を行うところ。
射撃がじょうずな順に、アヤ、シャルロッタ、セラフィマ、ヤーナ、オリガ……
イワン:牛飼い農家の主。
スターリングラード:ソヴィエト連邦ヴォルガ川西岸。現在ヴォルゴグラード。(ウクライナの東方)
スターリングラードの戦い:1942年6月28日-1943年2月2日(昭和17年-同18年)ソ連VSドイツ連合(ルーマニア、イタリア、ハンガリー、クロアチア)。ソ連の勝利。
ウラヌス作戦:1942年11月19日-同月23日。ソ連軍がドイツ軍を包囲した。
プロレタリアートの家:賃金労働者階級の家。
デカブリストの乱:1825年。ロシアでの反乱事件。デカブリストは、反乱を起こした貴族の将校をいう。皇帝専制の打破と農奴の解放が目的だった。
(ふーっ。(ため息)なんというか、読んでいて、言葉がむずかしい)
卒業試験としての模擬演習があります。以前テレビ番組「東野&岡村の旅猿」で見たサバゲー(サバイバルゲーム)みたいです。
卒業試験のあとは、実戦です。
戦う目的は『女性を守るため』もうひとつが『自由を得るため』。
(RVGK)最高司令部予備軍所属 狙撃兵旅団 第三十九独立小隊 (狙撃手専門の特殊部隊)
戦争で行方不明になってしまったドイツ兵の手紙があります。1942年11月(昭和17年)5月20日付けの手紙の内容では、自分たちの勝利を確信しています。しかしドイツ兵の願いはかないませんでした。読む方は複雑な気持ちになります。どちら側の人間も、なんだかよくわからない状況の中で国家に強制されて死んでいくのが戦争です。
SS:ドイツの政党。国民社会主義ドイツ労働者党の組織。元は親衛隊。
カフカスの赤軍:カフカス地方。コーカサス。黒海とカスピ海の間にあるカフカス山脈の南北地域。赤軍はソ連のこと。
パルチザン:占領支配行為に対抗する非正規軍。
ジューコフ:上級大将。全赤軍のトップ。
ヴァシレフスキー:上級大将。ジェーコフを支える参謀長
枢軸部隊(すうじくぶたい):第二次世界大戦時に連合国と戦った部隊。ドイツ、日本、イタリアが中心国。
練度(れんど):熟練度。習得した度合い。
ミハイル・トゥハチェフスキー:ソ連の過去の上級将校。軍事的天才。対立で粛清された(しゅくせい。処刑、強制収容、左遷ほか。異分子排除)
アレクサンドル・スヴェーチン:ソ連の過去の上級将校。戦術理論の研究者。粛清(しゅくせい)された。
ミハイル:ソ連の士官候補。曹長。主人公セラフィマの幼なじみ(ミハイルは、セラフィマと結婚するつもりだった)
スタフカ:ソ連軍総司令部(大本営)
カチューシャ:自走式多連装ロケットランチャーBM-13
斥候(せっこう):偵察(ていさつ。調査)、監視、追跡
政治将校:独裁主義国家で、政府が軍隊を統制するための役割を果たす役職。
督戦隊(とくせんたい):自軍を後方から監視する。戦地から逃げ出す自軍兵士の逃亡者、降伏希望者、裏切り者を罰する。
潰走(かいそう):戦いに敗れて逃げる。敗走。
敵愾心(てきがいしん):あくまでも敵と戦おうとする気持ち。
イーゴリ隊長:歩兵大隊の隊長。
読んでいて胸に響いたセラフィマの言葉として『ここは、地獄なのか。』
羆:ひぐま。
車長用キューポラ―:「車長」は戦車の指揮をする役割の人。キューポラは、戦車のパーツ。円蓋(えんがい)ドーム。
ペリスコープ:戦車のパーツ。潜望鏡。
ロシア民謡の『カチューシャ』の歌詞が本の中で流れ始めます。壮絶な戦闘が背景にあります。
大爆発が起こります。人がいっぱい死にます。
女子狙撃隊に犠牲者が出ます。激戦のなかで敵を12人殺した彼女はもう生きてはいません。生き返ることもありません。
怯懦(きょうだ):臆病(おくびょう)で気が弱い。
ボルシェビキ:多数派。レーニンが率いた左派の一派。
トーチカ:防御陣地。鉄筋コンクリートでできている。
ターチャナ・リヴォーヴナ・ナタレンコ(ターニャ):イリーナの仲間。第三十九独立小隊の一員。
現在のウクライナの首都『キーフ』の前の名称『キエフ』という単語が出てきました。
イリヤ・エレンブルグ:詩人。キエフ生まれのユダヤ人。詩として『ドイツ人は人間ではない…… 殺すのだ…… (殺さなければ(こちらが)殺される)』
戦いの目的は『復讐(ふくしゅう)』です。やられたら、やりかえす。人間が存在を続けていくための基本です。
今回の戦争が始まったころ、ウクライナの年配の女性がインタビューに答えていました。『絶対に忘れない。絶対に許さない』
(つづく)
テレビニュースでときおり耳にする『ハリコフ』という地名が出てきました。
ソ連に対するイランの援助物資とか、石油資源の話も出てきます。なんだか、今の状況と重なります。
ナチス・ドイツのシナリオ『電撃的勝利によって半年でソ連を崩壊させて降伏に追い込む』は、現在のロシアのウクライナに対するシナリオに重なります。
迫撃砲(はくげきほう):簡易な構造の火砲。高い射角で大きく湾曲した弾道を描く。少人数で操作可能。
誰何(すいか):相手がわかないとき、呼びとめて名前を問いただすこと。
マクシム・リヴォーヴィッチ・マルコフ上級曹長。隊長:優男(やさおとこ。上品ですらりとしている)。妻と二人の娘が戦争で亡くなった。
ボグダン:マクシムの部下。やせた小柄な男。(提督隊。逃げ出す自軍の兵士を処分する役割)口は悪いが根はいいらしい。
フョードル・アンドレーヴィッチ・カラエフ上等兵(一等兵の上、兵長の下):身長2m近い。胸板厚く、腕太い。屈強。表情は柔和で馬のような優しい目をしている。妻帯者。
ユリアン・アルセーニエヴィッチ・アストロフ上等兵:美少年。狙撃手。
慧眼(けいがん):物事の本質を見抜く鋭い(するどい)力がある。
ピオネール:共産党少年団。
コムソモール:共産党青年団。ピオネールの指導的立場。
4人しかいない第十二大隊:マクシム隊長、督戦隊ボグダン、妻帯者フョードル上等兵、狙撃兵美少年ユリアン(射殺した戦果23人)。
マクシム隊長が少女狙撃手たちに声をかけました。『ありがとう、同志少女、あー……』
チェイコフ中将
サンドラ:夫をドイツ人に殺された。20代なかばのスターリングラード市民。
ヒーヴィ:裏切り者。
玩弄(がんろう):もてあそぶ。なぶりものにする。
嗜虐的(しぎゃくてき):残虐なことを好む。
読んでいて思ったことです。『悪人とは、自分が苦労して為すべきことを、他の人に苦労させてやらせようとする人のことをいう』
ニコライ(コーリャ):6歳ぐらいの男の子。
マーシャ:6歳ぐらいの女の子。
戦場でもこどもたちは、ふつうに遊んでいる。廃墟で、砲弾の欠片(かけら)を拾って遊んでいる。
遊撃(ゆうげき):あらかじめ攻撃する目標を定めず、戦況に応じて、攻撃したり、味方の援護に回ったりする。
狙撃:ねらい撃つ。
諧謔(かいぎゃく):おどけた。こっけいな。ユーモア。
星屑作戦:作戦名に星をからめるソ連軍のやりかた。例として、火星作戦(マルス)
<むずかしい言葉が多く、登場人物も多く、コツコツ少しずつ読んでいます>
狙撃をするときの距離がかなり遠くて驚かされます。
230ページでは400m、860m、
ターニャ:看護師。
仇:かたき。仕返しの相手。敵。
ラシアン弾:小銃用の弾薬。ロシアで開発された。(ラシアンはロシアンということか)
ヒーヴィ:敵の協力者。スパイ。
ヴェーラ・アンドレ・ヴナ・ザハロワ:工科大学の学生。パルチザン(非正規軍)
アンナ・アンドレーヴナ・ザハロワ(アーニャ):同じく学生、パルチザン。ヴェーラの妹
スパム:ソーセージの材料の缶詰。
1942年12月12日(昭和17年)、ドイツ軍は、スターリングラードを逆包囲するソ連軍に攻撃を開始した。
247ページ付近まで読んできて、自分には合わない作品だと感じました。
ドイツもソ連もどっちもどっちです。敵も味方もありません。正義も悪もありません。とりあえず、自分が戦死するわけにはいかない。
作戦の打合せは、先が見えないプランづくりに見えます。
仰角(ぎょうかく):見上げた時の角度。
モシン・ナガン:ロシア製の小銃
サイロ:貯蔵庫。飼料、穀物、化学原料などを保管する。
銃とか、狙撃にいたるまでの行為が、緻密(ちみつ)に書いてありますが、その道について素人(しろうと)の自分には何のことかわかりません。ただ、かなり遠い距離から狙撃することが脅威で驚かされます。的(まと)になる敵まで、300mとか500mとか850m、860mとか。よく弾(たま)が敵に当たるものです。そんな遠くからでも命中する。恐ろしい(おそろしい)。
敵味方に分かれた狙撃手同士の撃ち合いは、日本刀を持つ侍同士の戦いのようでもあります。
『セラフィマ!(楽しむな!)』
人殺しは、戦争だと犯罪にならない。むしろ、成果となる。
スコア:(敵を)何人殺したか。(自慢の記録になる)
16歳女子いなか娘だったセラフィマが、人を殺せないと思っていたのに、今では、射殺した人間の数を誇っている。本人には、自分が「怪物」に近づいていく実感があるそうです。人間はいかなる環境に置かれても順応して変化していきます。
ドイツの作戦として『冬の嵐作戦』
ソ連軍の作戦として『土星作戦(サターン作戦)』『小土星作戦』
12月16日ドイツマンシュタイン元帥の脱出作戦『雷鳴(ドンネル・シュラーク)』
ハンス・イェーガー少尉:ドイツ国防軍人。(あとでわかりますが、セラフィマの村を焼き討ちした軍人です。つまり復讐されるべき人間です)
害意(がいい):他人を傷つけようという気持ち。
峻別(しゅんべつ):厳重に区別する。
胡乱(うろん):あやしく、疑わしい。
スラヴ女:中欧、東欧の女性。(この本では、ロシアの女性)
イワン:ロシア兵を意味するドイツ側の俗語。
ベルクマン少尉:ドイツ軍人。死去。セラフィマたちに狙撃された。
1943年1月7日ロシア正教徒のクリスマス(昭和28年):先日のロシア大統領によるみせかけだけのクリスマス停戦が思い出される本の記事です。
25人、狙撃で敵を殺すと剛毅勲章(ごうきくんしょう)がもらえる。
上司が熱くなる部下を叱る。『お前のご両親が望んでいたのは、お前が生きることだ! ……』殺そうとすると殺される。
ザイチョーノク:子うさぎ。
ヴァシーリ・グリゴーリエヴィッチ・ザイツェフ(凄腕の狙撃兵。ウラル山脈の狩人だった)の教え子が『ザイチョーノク』と呼ばれる。
膾炙(かいしゃ):いい意味での評判が広まる。
プロパガンダ:特定の思想へ誘導する意図をもった宣伝活動。
『お前も、私も神ではない……』(戦争では、市民全員を救うことはできないと続きます。(厳しい))
『誰も守れなかった』『ありがとう 同志少女、セラフィマ……』
(昨年読んだ『塞王の楯(さいおうのたて) 今村翔吾(いまむらしょうご) 集英社』を思い出します。城主の京極高次(きょうごく・たかつぐ)が、『……儂(わし)はもう誰も死んでほしくない』と言って決断をします。戦いにおいて、主が(あるじが)ある程度の犠牲はしょうがないと考えるのか、一兵(いっぺい)たりとも死なせないと考えるのかで、兵士の士気は変わります)
寡兵(かへい):兵士の数が少ない。
欺瞞(ぎまん):人をだます。ウソをつく。
303ページ付近は、読み手の涙を誘うためのシーンがつくってある。(ゆえに自分は心が揺れない)
ソ連軍のスローガン(気持ちを集中させる呼びかけ)『ヴォルガの向こうに、我らの土地なし』
ちょっと読み手の自分には意味をとれません。読解力のなさなのでしょう。
1943年1月10日、そして、同年2月5日ごろ。スターリングラード攻防戦で、ロシア軍は、ナチス・ドイツ軍に勝利しています。
おおぜいの人間が死にました。
この本は『平和』について考える本です。
幼子たちも亡くなっています。
人間の未来を自らの手で消しています。
エイリョーメンコ大将付き政治局員ニキータ・セルゲーヴィッチ・フルシチョフ
第四機械化軍司令ワシリー・チモフェーヴィッチ・ヴォリスキー少佐
とある女性の『コウモリにはコウモリの生き方がある』という趣旨のセリフが良かった。
バーニャ:おふろ。蒸気風呂。ロシア伝統のサウナ。
1943年(昭和18年)連合軍全体が戦局で優位に立つ。
ビャウィストク:ポーランド北東部の都市。
ピオネール向け:ソ連・共産圏の少年団。
RVGK:最高司令部予備軍
クルスク:ロシア南西部の州都
城塞作戦(ツイタデレさくせん)
プロホロフカ:ロシアの都市型集落
バグラチオン作戦:ベラルーシ―での作戦。
人間の歴史は戦いの歴史です。日本の戦国時代を思い出します。
(つづく)
第五章の部分を読み終えました。
戦いがひとだんらくして、小休止のような雰囲気の内容でした。
ドイツはソ連に対して劣勢です。
ベルリンの陥落が近づいているようです。ドイツ兵はおびえています。
ドイツはまだ降伏していません。
戦争の話、戦果の話、どれもこれも、異常な話題ばかりです。
男女の会話も男性同士の会話に聞こえます。
性欲の話、いじめの話、人間の陰の部分が表面に出てきます。
社会を形成する人間がコントロールしないと秩序が壊れます。
読んでいて、男の理論、男の理屈で、提示された問題点の処理がうまくてできていません。
複合的視座:物事を考える時の立場の位置、種類。多角的な視野。
狙撃手は戦後どう生きるべきか。
①愛する人を見つける。 ②生きがいとなる趣味を見つける。
(同感です)
コムソモール:共産党青年団。
ケーニヒスベルク:現在は、ロシアのカリーニングラード。リトアニアとポーランドに接したロシアの飛び地領土。1945年までドイツ帝国領内東プロイセン王国。ここが、この物語の最終戦地になるようです。384ページまで来ました。旅するように本の中を移動しています。
自走砲兵:大砲を車両に乗せて打てる状態にしてある武器の担当兵員。(この本は、軍事用語がけっこうむずかしい。日本の戦国時代の戦法や戦争用具と共通する理解のむずかしさがあります)
士気阻喪(しきそそう):やる気がそがれて、勢いがなくなる。
パンツァーファウスト:戦車への拳(こぶし)。ドイツ軍が使用した携帯式対戦車擲弾(てきだん。爆発する火器)発射機。
国民突撃隊:ドイツ市民軍。民間人の隊。
日本人の侍(サムライ)である武士も外国の軍人も、人を殺すときは、感情を排除して、冷徹になります。
類似の世界状況を描く作品として『戦場のコックたち 深緑野分(ふかみどり・のわき) 東京創元社』を読んだことがあるのを思い出しました。もう一冊同作者の『ベルリンは晴れているか』は、読んだことがありません。
『悲劇』が書いてある作品です。
素材は『戦争』です。
人間の心に潜む(ひそむ)悪魔的部分をあぶりだしてあります。
呪詛(じゅそ):呪い(のろい)。悪意をもって相手に災難を加える。
夫とこどもをなくした妻は、生きる希望を失った。妻とこどもをなくした夫も、生きる希望を失うだろう。
照準器つきのモシン・ナガン:ロシア人設計の小銃。
うらみを晴らす目的をもって相手を殺害することは、職業軍人にとっては仕事としてやったこととされる。
狙撃兵の鉄則として:一か所にとどまるな。自分の弾が最後だと思うな。(常におまえは、ねらわれている)
コミュニストの女兵士:共産主義者の女兵士
ロシアを憎んでいる民族がいます。『くたばれソヴィエト・ロシア』コサックの女子の言葉。コサック:ウクライナと南ロシアに存在した軍事的共同体。
今の戦時の時代にこの本を読むとうーむとうなります。第二次世界大戦の被害者国が、今は、加害者国になっています。
人間には二面性がある。二面性がない人間はいない。
なにか、哲学の本で読みました。そのときの読書メモを見つけました。
ニーチェ:1844年-1900年。55歳没。ドイツ・プロイセン王国の思想家。
『ツァラトゥストラはこう言った 上・下 ニーチェ著 氷上英廣訳 岩波文庫』
ニーチェという人は、ドイツの哲学者です。記述はキリスト教の預言書のようです。ツァラトゥストラ氏は孤独です。精神世界のことが綴られていきます。
教わらなければ人間は獣(けだもの)と同じ。
教育の重要性を説く部分だろうと意味をとれた箇所がありました。人間のなかには、「おのれ」と「わたし」が同居している。「おのれ」は本能で、「わたし」が理性です。
そして両者は常に争っている。人間の心を形成しているものが、「知識」と「知恵」そして「理性」です。人間は最終的に人間の手によって滅びると預言しているようです。
虚仮威し(こけおどし):みせかけだけ。中身がない。
下賜(かし):高貴な人が身分の低い人にものを与えること。
そうか。指輪が『伏線』か。なるほど。うまい。
抉った:えぐった。
(つづく)
セラフィマとオリガの関係において、セラフィマの考えは深い。
同志とは:同じ思想の仲間。
セラフィマの意志は『女性を守るために相手と戦う』
ドイツ兵がソ連の女性を襲う。
しかし、ソ連兵もドイツの女性を襲うのです。
セラフィマの怒りが爆発します。
そして、いまある戦争の現実社会では、ロシア兵はウクライナの女性を襲ったのです。
この本の意味は、今の時代において意義深い。男は女の敵です。
収斂(しゅうれん):収縮
かなりこったつくりで、筋立てが構築されています。
最後のほうは、勇み足ではなかろうか。
443ページあたり以降です。
レニングラード:ロシア連邦の州
懊悩(おうのう):悩みもだえる。
良かった文章として『戦争は終わろうとしていた』
ウクライナとロシアの戦争はいつ終わるのだろうか。
1945年4月30日ヒトラー自殺。(昭和20年)。5月9日ドイツ降伏。ソ連勝利。
エピローグ:1978年(昭和53年)のこととしての記述あり。
全体を読み終えて感じたことです。
男目線で描いた女性史という印象をもちました。女性がこの本を読んでどう感じたのかは、男のわたしにはわかりませんが、ほかの方の、特に女性の書評を読んでみます。
(その後)
いくつもの書評・感想を読みましたが、なんだかつかみどころがありませんでした。
女性問題を考える本として二冊ここに落としておきます。
『私たちにはことばが必要だ -フェミニストは黙らない- イ・ミンギョン著 すんみ・小山内園子 訳 タバブックス』
『説教したがる男たち レベッカ・ソルニット ハーン小路恭子・訳 左右社』
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