2022年11月23日

一つの花 文・今西祐行 絵・鈴木義治

一つの花(ひとつのはな) 文・今西祐行(いまにし・すけゆき) 絵・鈴木義治 ポプラ社

 第二次世界大戦の戦争体験者だから書ける内容です。
 幼女が、戦争に行く若い父親から、お別れの時に、一輪(いちりん)のコスモスの花をもらいます。
 泣けてくるお話です。
 そして、戦争反対を訴える絵本です。

 ちっちゃなゆみ子さんが、初めて覚えた言葉が『ひとつだけちょうだい』です。
 物資不足の戦争中で、食べ物が少ない。だから『ひとつだけちょうだい』です。

 空襲があります。
 敵機(てっき)が空から爆弾を落とします。

 だれも戦争を止められません。
 今のロシアが仕掛けた戦争のようです。

 かなり、せつない。
 『おとうちゃん、へいたいちゃんに なるんだって、バンザーイって……。』

 人は花に祈ります。
 人は花に願いを託します。(たくします)
 『花』は『命』であったりもします。

 これを書いている今は、ちょうど絵本に出てくるコスモスの花が咲くような時期です。
 毎朝、散歩のときにコスモスの花を見かけます。(この部分を書いてからちょっと時間が経過してしまいました)
 
 おとうさんは、戦地から帰ってきませんでした。
 おとうさんは、コスモスの花になったのです。

 ゆみ子さんは大きくなって、結婚して、いつかお母さんになることでしょう。

 ふと、お葬式のときに、棺桶の中に、みんなでたくさんのお花を入れたことを思い出しました。
 去年のことです。二か月続けて義父母を見送りました。

 最後のページに作者の書いた「あとがき」があります。
 この作品を昭和27年に書いたそうです。(1952年。戦後7年)
 終戦時に建っていたみすぼらしい家のまわりをいっぱいのコスモスの花とオシロイバナが囲んで咲いていたそうです。
 作者は2004年(平成16年)に81歳でご逝去されています。(ごせいきょ)
 絵の担当の方は2002年(平成14年)に89歳ぐらいでご逝去されています。
 絵本はいつまでもこの世で読み継がれていきます。平和がなによりです。

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