2022年04月13日

運び屋 アメリカ映画

運び屋 アメリカ映画 1時間56分 2018年 動画配信サービス

 『死にたくない 一億総終活時代の人生観』 蛭子能収(えびす・よしかず) 角川新書のなかで、えびすよしかずさんが、いい映画ですと推薦されていたので、観てみました。
 映画を観たなあという気分に浸れました。(ひたれました)
 今年観て良かった一本です。

 主役のクリントイーストウッドさんは、お年を取られました。
 90歳の麻薬や銃の運び人としての役を演じておられます。たいしたものです。
 2022年5月で、92歳になられます。

 主人公であるクリントイーストウッドさんは、家族よりも仕事優先のクソオヤジだったという設定です。
 歳をとって、家族からは見放されて、孤独でカネなしです。
 彼が一人暮らしをしている家は、お金を払えなくて、差し押さえられました。

 伏線として『花』があります。
 映像は、花に始まり、花で終わる流れです。
 お花や緑の植物の映像がきれいでした。

 まともな父親でも夫でもなかった。(妻から責められます)
 仕事バカです。
 家族がたいへんな肝心(かんじん)なときに、仕事を優先して、家庭にいなかったのです。
 日本でも、どこにでもいそうなタイプの男性像ではあります。
 主人公は、親族一同から、冷たい視線を浴びせられます。
 あんたなんか、いなくていい。いなほうがいいという存在です。(職場での英雄は、家庭ではいなくてもいい存在です)
 親族の集まりでは、主人公の居場所がありません。
 
 主人公は反省しています。家族に対して申し訳なかったと心から思っています。
 だけど、お金がありません。
 『車で走るだけでいい。いい収入が入る』
 主人公は、無事故無違反のお年寄りです。
 警察からは目をつけられにくいタイプです。
 ギャングから悪事の誘いがあります。ものを運ぶだけで高収入の支払いを確約する。
 だけど、何を運ぶのかは教えてくれません。

 主人公は最後に気づきます。
 『お金』よりも『(家族と過ごす)時間』のほうが大事だった。

 主人公が大金を手にして、ポンコツトラックから買い替えた黒いトラックがかっこいい。
 
 どうなるのだろう。(まあ、最後は、逮捕されるのだろう)

 稼いだお金で家族に奉仕して、いいところを見せたい。いい人だと認められたい。賞賛されたい。
 ただ、ブツを運ぶだけで、1回当たり、100万円から300万円ぐらいの大金が、手に入っているようです。
 ふつうは、破産寸前だった人が、急に金回りがよくなると、なにかやらかしているなと疑われるのですが、まあ、映画ですからそういうことはありません。

 気に入ったセリフなどです。
 『戦場で(第二次世界大戦)で戦ったんだ。おまえなんか怖くない』
 怖いものはありません。もう超高齢です。いつ死んだってどうってことないという度胸があります。加えて、お気楽じいさんです。ギャングのほうが、あきれます。
 『人生を楽しめ! 俺みたいに』(これは、ギャングのボスの言葉です。この助言に対しての返答が)『あんたは、楽しみすぎだ』(主人公のじいさんの言葉です)
 
 映像を見ながら、お金持ちは、レベルの高い生活を続けるための維持費がかかると考察しました。

 (妻の言葉)『ここで何しているの?』
 (主人公である夫の言葉)『失った時間を取り戻そうとしている』
 
 主人公『まったく、(どこもかしこも)携帯電話ばかりだ。(携帯電話を手離して)ほかに人生を生きられないのか』

 主人公『家族のことを考えなきゃいけない。女は記念日が好きなんだ』

 主人公『娘が口をきいてくれない。娘と12年間、話をしていない』

 映画だなあと安心して観ていられます。

 奥さんが亡くなる少し前に夫にかけた言葉『あなたが家族に愛されるのに、お金持ちになる必要はなかった』
 ひどい父親だったと主人公は落ち込みます。
 妻は夫に、そばにいてくれるだけでよかったのに。
 あなたは、いつも、仕事だといって、家族のイベントに顔を出してくれなかった。

 映画です。胸にジーンとくるものがありました。

 主人公は、裁判所で立ち上がって『(自分は)有罪です(服役します)有罪です。やりました。』
 傍聴席に座っていたご家族が、主人公であるご主人を励まします。
 『(刑務所に)会いに行く!』
 『(これからさき)何度でも会いたい』
 『(孫の言葉として。祖父の)花畑の世話もする』

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