2022年03月04日

いやだいやだの絵本 せな けいこ

いやだいやだの絵本 せな けいこ 福音館

 1969年(昭和44年)ころが初版の絵本群です。
 ロングセラーです。
 たいしたものです。
 何年たっても、ちっちゃなこどもの脳みその中にある心のもちようは同じです。

「にんじん」 1969年初版(昭和44年) 2021年132刷(令和3年)
 にんじんを好きなのはだれでしょうから始まります。
 2歳から3歳向けの絵本でしょう。
 お馬さんの表情が可愛い。
 
 先日、観た「相棒」シーズン14 第一話をふと思い出しました。
 小さい頃、親から虐待されて、文字の読み書きを習わずに育った受刑者が、刑務所の中で、絵本を読むところから始めて、服役中に、六法全書を読めるまでに能力が高まったという内容がありました。
 
 絵本にもどって、感想を続けます。
 にんじんが好きな動物の範囲が広がっていきます。
 
 にんじんをとおして、ものが、大きいとか、小さい、それから、比較の教えがあります。

 たべものの好き嫌いに発展して、うさぎさんたちの登場です。

 そして最後は人間です。
 ちびっこの登場です。
 なかなかよかった。

「もじゃもじゃ」 1969年初版(昭和44年) 2021年111刷(令和3年)
 髪の毛がぼうぼうに伸びて、ふわふわにふくらんで、ライオンのたてがみが、頭に生えているような女の子の絵が、本の表紙にあります。
 ページをめくります。
 いい感じのコラージュ(貼り絵)です。
 樹木の色合いもいい。
 ワンちゃん ワンワン
 毛糸を見ると、昭和時代のなつかしさがこみあげます。
 ああ、表紙の女の子のお名前は『ルルちゃん』なのか。
 ルルちゃんは、なんだか怒っています。だけど、怒ったお顔が笑えます。
 
 植木屋さんの剪定ばさみ(せんていばさみ)の音が聞こえてきます。
 チョキチョキ

 犬の名前は『ころ』です。
 ころの毛もチョキチョキ切りました。
 さっぱりしました。

 話は戻って、毛糸です。
 ああ、そういう展開もあるのか。繰り返し手法です。

 同じ絵の方向転換手法もあります。
 この絵本では、テクニックで仕掛けが仕組んであります。

 やっぱりチョキチョキ ハサミと櫛(くし)です。
 話のオチはどうなるのでしょう。

 ルルちゃんが美人さんにチェンジしました。
 おきれいですよ。
 もじゃもじゃの髪の毛をきれいに整えてもらいました。

「いやだいやだ」 1969年初版(昭和44年) 2021年142刷(令和3年)
 ありそうな素材です。イヤイヤ期のこどもです。なにを言っても「いやだ」と返ってくる時期です。
 表紙は、さきほどの絵本『もじゃもじゃ』で、長くて、もじゃもじゃだった髪の毛を切ってもらって、きれいになったルルちゃんですが、こんどの表紙では、とても怒った顔を見せています。
 いやだ、いやだ、いやだよー です。

 なにがいやなの? ルルちゃん
 ルルちゃんの両方のまゆ毛がつながって1本になって、左右がつり上がっています。

 読み聞かせをしていると、聞いているこどもさんと行為が重なる話になるのでしょう。
 両手両足を左右に広げて、No!ノーと意思表示をしているルルちゃんです。
 イヤイヤ期のこどもさんにとっては、鏡を見るようなものでしょう。

 ルルちゃんが怒っても、ママはルルちゃんに対抗します。
 ママはルルちゃんに、負けてはいません。
 ママも怒っています。
 だったら、やってあげなーい です。
 条件闘争です。おとなの世界ではよくある方法です。
 
 さらに発展します。
 絵本のページでは、イヤだイヤだ、と主張するのはもう人間ではありません。(なんとケーキです)
 
 案外、この話は奥が深い。
 ルルちゃんは、ウクライナに軍事侵攻したロシアの大統領のようです。
 ルルちゃんが、イヤだイヤだと主張していたら、相手もイヤだイヤだと主張し返してきました。
 どうなるんだろう。
 
 対立が生れて、絵本の中にある世界から、太陽の光が失われてしまいました。
 関係がなかったまわりのものにも悪影響が出てきました。
 それまでがまんしていたみんなが怒りだしました。なにやってんだよ。
 どうするの! どうするの! とルルちゃんは責められます。

 絵本では、答は、自分で考えなさいという終わり方になっています。

 ロシアの国が始めたことです。
 まずは、ロシアの国の人が、どうするのかを考えてください。

「ねないこだれだ」 1969年初版(昭和44年) 2021年202刷(令和3年)
 表紙には、白い、人魂(ひとだま)のような、お化けの絵です。
 『ねないこだれだ』のセリフは、秋田県のなまはげのセリフのようでもあります。たしか、『泣く子は、いねぇがー』みたいなセリフでした。
 この絵本は、ねないこだれだ、ですから、夜ふかしは禁止なのです。
 絵本の絵にある柱時計は、午後9時です。
 
 まっくらな中に、瞳がふたつ。
 ネコかな?
 ほー ほほー ふくろうさん

 その次は? 
 やっぱりネコでした。

 久しぶりにネズミさんの絵を見ました。
 昔、こどもたちがまだ小学生だったときに、ペットで飼っていたハムスターのぴーちゃんを思い出しました。
 
 絵本では、別の人物が登場しました。
 なんてやつだ。
 どろぼーです。
 昭和時代のどろぼうです。
 ほおかむりをして、サンタクロースみたいに大きな袋を背中にしょっています。
 いまどき、こんな絵のどろぼうは見かけません。
 ユーモラスです。
 
 夜です。
 ついに登場、おばけちゃん。
 けっこうこわい。(読み聞かせをした場合の、こどもさんの反応が楽しみです)

 あれ、あれ、あれ、絵本の中に、ちびっこ登場です。
 おしっこかな。
 クマさんのお人形さんを手にもっています。
 おばけが、ちびっこに迫ります。
 落語のようになってきました。
 おばけとちびっこと、ふたりはどこにいくのーー
 
 あーあー どこ行くのーー

 終わっちゃいました。
 (たぶん、ここから、どこにいったのか、読み手と聞き手で話し合うのです)

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