2022年02月18日

はなのすきなうし 岩波書店

はなのすきなうし おはなし/マンロー・リーフ え/ロバート・ローソン やく/光吉夏弥(みつよし・なつや) 岩波書店

 1954年(昭和29年)発行の絵本です。(お話自体は、1936年(昭和11年)のもののようです)
 厚い表紙をめくって出てくるのは、闘牛の牛に思えます。牛の絵は怖そうです(こわそう)。
 荒々しい闘牛をする牛のイメージがあるのですが、どういうわけか、お花を手に(前足に)もっています。

 やはり『むかし―― すぺいんに、』から始まりました。
 孤独な牛? ひとりぼっちな牛? 思索が好きな牛? (思索(しさく):理屈で深く考える)
 『ふぇるじなんど』が牛の名前です。

 ひとりで、はなのにおいをかいで、一日を過ごす雄牛(おうし)は、LGBTの牛だろうか。(体と性が一致していない)
 ページをめくり続けています。(ふむ。この雄牛は、女子だ)
 
 ふぇるじなんどのお母さん牛がいい。母心があります。
 人間のモデルがいるのではないか。モデルは母子です。
 息子を責めない、いいお母さんです。
 
 ふぇるじなんどは、大きな体格の牛に成長していきます。
 『柱の傷は、おととしの、五月五日の背比べ……』という歌を思い出しました。
 樹木に牛の背丈を示す傷が付けられています。

 『まどりーど』という都市名が出てきました。
 『闘牛』という文字も出てきました。

 闘牛ができるような性格のふぇるじなんどではありません。
 されど、起承転結の転で、『運命』が訪れます。
 ふぇるじなんどは、闘牛場へ向かうことになってしまいました。
 ユーモアがあります。

 ふと思う。
 牛の肩口から牛の心臓を剣でぶっ刺して、牛を血祭りにあげて痛めつけるスペインの人たちは野蛮ではないのか。(野蛮(やばん):粗暴、乱暴者)
 
 結果がどうなるのか。不安でしたが、ふぇるじなんどは、だいじょうぶでした。

 いいなあ。のんびりしていて。
 マイペースは大事です。
 バス旅のえびすよしかずさんみたいな牛でした。

 余分なことですが、長続きする結婚相手を選ぶときのポイントです。
 心が穏やか(おだやか)な人。がんこじゃない人。まじめで心が優しい人。お金よりも愛情を大切にする人。
 ふぇるじなんどと、ふぇるじなんどのお母さんは、そういう人(牛)でした。

 牛のふぇるじなんどのように、人にもそれぞれ個性があります。
 人と違っていても、許してね……
 怒らないでね(おこらないでね)……
 あきらめてね……
 お願いね……

 がんばろうというお話が多い中で、がんばらないという勧め(すすめ。そうするように誘う(さそう))がおもしろかった。

(その後)
 都会の生活になじめなかったアルプスの少女ハイジを思い出しました。

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