2021年10月13日

漫画バビロン大富豪の教え 原作:ジョージ・S・クレイソン

漫画バビロン大富豪の教え 原作:ジョージ・S・クレイソン 漫画:坂野旭 企画・脚本:大橋弘祐 文響社

 バビロンは現在のイラクあたりにあった王制国家です。相当昔、今が西暦2021年、バビロンがあったのが、紀元前18世紀から紀元前4世紀ですから、日本はそのころ縄文時代とか弥生時代です。
 大昔の話ですが、この本では、バビロン人の知識・能力は発達していて、数学をもとにした交易社会があったと紹介されています。原書は「The Richest Man in Babylon」(バビロン一(ばびろんいち)の大金持ち)とあります。
 この漫画の原作が発表されたのが、1926年とされています。日本だと大正15年・昭和元年です。ずいぶん昔のことになりました。その年に生まれた人が今生きていれば95歳です。
 
 以前、渋沢栄一氏の伝記を読んで株式投資に興味をもって調べて、現代は、定期預金の利息が皆無に近く、銀行や郵便局の預金でお金を増やすということができない時代であることを理解しました。
 たぶん、これから読み始めるこの本には手持ちのお金を増やすというようなこともあるのだろうと、予測しながら読書が始まりました。
 株式市場の動きを見ながら自分は次のようなことを思いました。
 株は、上がれば下がる、下がれば上がる。上がれば株を売りたい人がいるし、下がれば株を買いたい人がいる。株価は、ずっと上がり続けることはないし、下がり続けることもない。だから気持ちのもちようとして、上がっても浮かれず、下がっても悲観せず。気長に構えて未来を楽しみにする。
 未来の株価がどうなるかということは、たいていは、わからない。
 儲かるか損するかは、各個人がもつそれぞれの「金運」次第と自分は判断しました。
 株式投資をしている人たちが書き込みをしている掲示板を読むと、投資している会社ごとにカラー(雰囲気)が違うことに気づきます。短期で売り買いをして差額で儲けようとしている投資家が集まる掲示板は、とげとげしさがあります。
 いっぽう、特定の企業を応援する人たちが集まっているところもあります。買った株を手放す気持が薄い人たちです。彼らは、毎年の配当金や株主優待を楽しみにします。
 ありようはいろいろですが、お金と人間の関係は切り離せません。

「プロローグ」
 大場拓也:現代の主人公。考古学者
 近藤武:大場拓也の友人。大企業の社長。イラクでの仕事がある。イラクで発掘された粘土板に書いてある古代文字の解読を大場拓也に依頼する。
 『黄金の法則』に富を得るための真理が記されているとあります。
 大富豪になる。金を失わずにキープ(維持)する秘訣(ひけつ。コツ)です。5つの法則があるそうです。
 
 はじめのほうのページを読んでいて、株式投資の勉強をするような雰囲気を感じる本です。

 お金は使えばなくなります。
 お金を残さなければ、富豪にはなれません。
 通常は、結婚後、出産と育児で、教育費、そして、住宅取得で住宅ローンと、かなりの出費をともなうのが人生です。

「第一章 バビロン一の大金持ち」
 古代バビロンでの物語がスタートしました。
 貧しい職人の息子が、この時代の主人公で、バンシルという15歳の男子です。
 こどもが労働力として、奴隷で売り飛ばされる時代背景です。
 商人の息子として15歳のコッビが出てきます。
 アルカドというおとなのお金持ちがいます。
 「説明」を漫画にしての表現です。
 収入の一割を貯蓄する。お金は使うものであるが、貯めるものでもある。
 昔、収入の一割を団体に差し出すという活動を聞いたことがあります。団体の運営費にあてるのでしょう。運営が善良になされればいいのですが、金銭管理の担当者による使い込みが発生しやすそうです。
 「一割」というのは、いろいろなパターンでの基準になりそうです。

 「第二章 学びの殿堂」
 知恵(知識を含めて)が大事。優先順位をつけてコントロール(管理)する。定期的な収入が見込める手段を活用する(貸金業)。財産を守る。そのほかの提案があります。
 野生動物に餌を与えないでくださいという注意喚起文を思い出すような内容です。
 食べ物を与えると自力で食べ物を狩る能力が低くなって命を落とします。
 人間も同じで、与えられて生きるのではなく、自力で利益を獲得する手段を学びます。
 魚を与えられるのではなく、魚の釣り方を学ぶのだと、わかりやすく表現されています。
 
「第三章 試練」
 手間賃をとる。
 お客には、すげなくしない:冷たい、そっけない、あっさりしない。
 夢をもつ。
 素材は金もうけですが、人間哲学(人間とは何か)がメインテーマの本です。性悪説、性善説にも関係があるようです。
 
 ぎこちなさはありますが、大切なポイントを示してある内容です。

 詐欺行為でお金を増やす人間たちがいます。
 他人を利用して自分が金もうけをする人間がいます。
 お金を増やしていくのに「信用」という財産と「知恵」という武器があります。

「第四章 帰還」
 アッシリア人の侵攻に対して交戦するバビロニア人たちです。
 うまくいかなったときの対応を考えておく二段構えの勧めがあります。先日テレビで観た「ローカル路線バス乗り継ぎの旅で鬼ごっこ」のシーンを思い出しました。絶対大丈夫だとうぬぼれて安心していたら足もとをすくわれるのです。人生にはだれしもたいてい落とし穴が待ち受けています。
 
 「自分が資本」という考え方には賛同します。自分に投資して、自分で判断ができるようになるのです。本書では「知恵」と表現されています。知恵には対価があると説明されています。

 現代において、お金を増やすには、株式投資とか、投資信託で優良企業に投資をすることが望ましいというような宣伝があります。ただし、ご自身の責任においてやってくださいというものです。

「第五章 ザ・ウォール(壁)」
 古代の歴史は国盗り物語ばかりです。
 略奪して金貨を得ても、金貨を消費してしまえばなにも残りません。経済は行きづまります。

 家族をはじめとした自分の身の回りにいて自分を支えてくれる人たちを守って大切にしましょうというメッセージがあります。次の章では「恩」として紹介されます。

「第六章 奴隷だった男」
 大富豪が貧民にまでおちぶれるのには違和感がありますが、原書がそういうお話なのでしょう。
 「宦官(かんがん。去勢した男性)」という言葉からは中国の歴史を思い浮かべます。王朝に仕える男性職員です。
 
 リテラシー:能力や知識

「第七章 伝承」
 戦争がお金と親族と友人を奪います。
 王女の考えはわがままで自己中心的です。
 それでも止めることはできません。
 これからも起こるあちこちの国のお話にも思えます。
 洋画「ローマの休日」でのオードリーヘップバーンのような毅然とした(きぜんとした。意志が強くてしっかりしている)王女にはなれない現代人です。
 
 「働く意味」についての考察があります。
 いくらお金があっても、勤労年齢なのに無職だと一人前(いちにんまえ)のおとなとして見られないということはあります。

 「お金」とはなにかというところまで考えます。本書では「おまけ」とあります。わたしは「道具」だと考えます。

 仕事をとおして、人から感謝されることで、自分がこの世に存在する価値を感じる。流通するお金には、働く人たちの幸せになりたいという思いがこめられている。そういうメッセージがあります。

 お金だけでは幸せではありません。「健康でいられること」が大事です。
 本書では、健康をさまたげるものとして「孤独」が提示されています。
 昔、職場で習ったことです。「人が生きていくために必要なものは、水、空気、食べもの、そして、コミュニケーション」
 
 最後のほうで家族を大事にしようというメッセージがあります。
 先日、テレビ番組「家、ついて行ってイイですか?」で、出演されていた年配の男優さんが家族仲良くについて熱っぽく強調されていたシーンを思い出しました。
 この物語の場合は、考古学者の男性が、ストーカーぽいことが気になるのですが、「一度離婚した夫婦が復縁する(こどもあり)」というチャレンジは、一度はやったほうがいいと思いました。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t145324
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい