2021年04月26日

ふぶきのあした 木村裕一・作 あべ弘士・絵

ふぶきのあした 木村裕一・作 あべ弘士・絵 講談社

 「あらしのよるに」シリーズの第6巻です。
 まるで太宰治氏の入水心中事件(じゅすいしんじゅうじけん)のようです。オオカミのガブといっしょに飛び込んだヤギのメイの姿が見つかりません。
 ページをめくって、メイは生きていました。よかった。まずは、生きていることが大事です。
 友情を超えた愛情によるふたりの逃避行です。そういえば昔そういう歌謡曲がはやったことがありました。「逃避行」麻生よう子さんが歌い手だったと思い出します。だんだんくわしく思い出してきて、あの曲は逃避行の相手が来なくて結局ひとりで旅立ったという内容で、この絵本の話とは異なっていることに気がつきました。
 オオカミ軍団に追われているふたりです。みつかりそうになったとき「ここに……かわいい はなが さいているぞ。」の部分で笑いました。野蛮そうで相手を脅かしそうな(おどかしそうな)オオカミもきれいな花は好きです。
 オオカミのガブとヤギのメイは、お互いのために別れるしかないような展開です。
 されど、愉快です。押したり引いたりのかけひきが続きます。男女の仲は不可解、不条理、不合理、それでも成立するのは感情があるからでしょう。
 オオカミのガブは、逃げていて、食べ物がなくて、困り果てました。オオカミのガブは、連れ合いのヤギのメイを食べてしまうのか。ヤギのメイは、自分を食べてあなたは生きてみたいなほろりとくる恋愛劇のようになってきました。ドラマチック(劇的)です。
 ガブは話し相手としてメイがいつまでも自分のそばにいてほしい。
 すごい展開になってきました。オオカミのガブが雪崩(なだれ)に巻き込まれてしまいました。さて、次はどうなる。最終巻です。

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