2020年09月01日

ルーム カナダ・アイルランド・イギリス・米国合作洋画DVD

ルーム カナダ・アイルランド・イギリス・米国合作洋画DVD 2016年日本公開

 シリアス(深刻でまじめ)そうな映画です。心して見てみます。(十分な心構えで)

 かわいらしい男子の声で始まりましたが、とまどいます。
 映像に出てきたこどもは、長い髪をもつ女の子に見えます。
 でも、その女の子に見えるこどもは、自分のことを、「ぼく」と呼びます。性別がわかりません。
 なんだかわからなくて、頭の中が混乱しますが、ようやく、5歳の誕生日を迎えたばかりの男児であることが判明します。彼の名前がジャックで、若い母親の名前がジェイ・ニューサムです。
 男児と24歳の母親のふたり芝居が続きます。ていねいにつくられた物語です。

 以下、鑑賞の経過です。
 精神病の母親だろうか。ひきこもり生活を送る母子家庭に見えます。
 日曜日だけ、男が、生活必需品を持って来ます。異常な雰囲気がただよっています。
 こどものベッドルームは、衣装ダンス(クローゼット)の中です。
 母親の虫歯が抜けました。「虫歯」は、このあと物語をつらぬく伏線になるのだろうか。
 髪の毛へのこだわりもあります。髪にはパワーが宿っているそうです。

 ジャックのともだちは、ネズミ。この子は、外の世界を知らずに5歳の誕生日を迎えている。母とテレビの声と、日曜日に来る男とネズミしかいない世界です。地下室みたいな部屋ですが、天窓があって、そこから青空と雲は見えます。男児は、部屋の外は宇宙だと言います。

 よく観察しましたが、母親は精神病患者には見えません。
 なにかしら、暗黒の世界です。重苦しい。状況がよくわからない。男は何者? 犯罪者だろうか。
 徐々に事実が明らかになっていきます。母子は7年間監禁されている。
 だれもここを知らない。

 疑問点として、ジャックの母親に対する反抗的な態度が不自然でした。それから、日曜日の男は、犯罪者には見えない風貌でした。
 なにか、仕掛けがあるんじゃないか。男は、犯罪者ではなくて、母親は嘘をついているのではないか。なにかしら、この女性は言動がおかしい。映画鑑賞者には、見えていない世界があるのではないか。
 母親は子どもを離しません。だから、筋立てのつじつまが合わない。ふつうなら、ふたりして逃げるか、子どもを逃がそうとします。

 映画鑑賞後1時間が経過して、全容解明となりました。あと残り1時間はどうするのだろう。過去へさかのぼって、現在の時点にもってくるのだろうか。(そうはなりませんでした)
 ひと山越えてしまいました。
 このまま話を続けるとなると、ここからが苦しい。

 冒頭でおしゃべりしていたのは5歳男児のジャックでした。映画の最初と最後あたりにある彼のひとり語りは美しい。とくに、最後のほうの語りがすばらしい。

 母親は、自殺をしようとしたり、身近な人を傷つけたりするような行為があるようには見えないから、強制的に精神病院に入れるような状態ではないと判断して観ていましたが、話は悪い方向へと進んでしまいました。

 親の役割を最初から果たせる能力と経験をもったおとなはなかなかいません。失敗を繰り返しながら試行錯誤をして、体得していくものです。
 救出された母親の実家の家は大きいのに、幸せは大きくありません。
 母子ふたりが閉じ込められていた狭いルーム、そして、寝室代わりのクローゼットにいたときのほうが、母子は幸せだった。
 ママが壊れちゃった。
「ごめんねジャック」
「だいじょうぶだよ。もうしないでね(自殺企図)」
「いいママじゃないよね」
「でもママだよ」

 雪のラストシーンが良かった。

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