2020年08月05日

だるまちゃんとかみなりちゃん 加古里子

だるまちゃんとかみなりちゃん 加古里子(かこ・さとし)さく/え 福音館

 こどもさん向けの絵本です。
 あたまに小さなツノが出ている雲の上にいるというかみなりさんのこどもと赤いだるまさんという不思議な組み合わせのペアです。
 1968年(昭和43年)初版です。手元の本には、2020年1月で第120刷とあります。
 作者の加古里子さんは、2018年に92歳で亡くなっています。わたしが以前読んだのは、「からすのパン屋さん」でした。

(1回目の本読み)
 おもに、文字を優先しながら読んでみます。
 「だるまちゃん」は地上に住む人、「かみなりちゃん」は雲の上に住む人です。
 空から浮き輪が落ちてきました。つづけて、かみなりちゃんも落ちてきました。どしん、がらがら、ぴかぴか、ごろごろです。
 浮き輪が気の枝にひっかかっています。
 だるまちゃんが、まるじ、じいじ(まごからみたおじいちゃん)のように、がんばって、ジャンプして、木にひっかかったかみなりちゃんの浮き輪をとろうとしますが、なかなかとれません。ふたちのようすは、おじいさんと孫のようです。
 じいじのだるまちゃんは、傘をとばして、浮き輪にぶつけて浮き輪を落とそうとチャレンジしました。
 ざんねーん。こんどは、かさもひっかかってしまいました。
 かみなり雲ののったかみなりちゃんのおとーさん登場です。
 まるで、浦島太郎のように、だるまちゃんは、かみなりさまの住む国へご招待されます。おもしろい。
 楽しいものがたりでした。

(2回目の本読み)
 こんどは、絵を中心にみながらページをめくってみます。
 だるまちゃんが、せなかにかみなりちゃんをのせて、ぎっこんばったんをしています。ちいさいころ、そうやってきょうだいたちと遊んだっことを思い出しました。だるまちゃんとかみなりちゃんは、なかよしです。
 こぢんまりとした絵なのですが、まずもっては、筆致(ひっち)と色合い、表情が優しい。そして、点としてはこぢんまりとしているのですが、無限の広がりがあります。
 浮き輪は、まんまるではなく、ツノの部分があります。ツノがあるかみなりさまのこどものもつ浮き輪だからだとわかります。
 11ページの絵がきれいです。ふたりの表情がしっかりしています。レインボー(虹)もきれい。
 15ページの浮き輪がとれずにうまくいかなかったシーンへの展開がおもしろい。
 18ページから19ページに広がる絵では、ひとつひとつの絵は小さいのですが、ここにも無限の広がりがあります。
 20ページと21ページの絵は、『未来都市』です。続く22ページをめくって、和洋折衷(わようせっちゅう。日本風と西洋風の様式を両方取り入れる)昭和35年ぐらいから昭和45年ぐらいの夢があった時代が思い出されます。

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