2020年07月31日

幸せへのキセキ 洋画DVD

幸せへのキセキ 洋画DVD 2012年日本公開

 父子家庭の家族三人が、動物園に住むお話です。
 先日観た『プライベート・ライアン』でライアンを演じていたマット・ディモンさんが、この映画で主役のお父さん役を演じていたのでちょっとびっくりしました。
 主役のお父さんは、仕事はライターをしていますが、最近、妻を病気で亡くしたふたりの子連れのお父さんで、ベンジャミンといいます。
 息子が14歳で反抗期、ひねくれものに見えるディランです。娘さんの名前は、まだ7歳のロージーといって、可愛らしくて優しい。
 
 いろいろむしゃくしゃある冒頭です。妻は病死、夫は解雇に近いような退職、息子はおそらく私立中学を盗みで退学させられたのでしょう。
 家族の気分転換のために引っ越しです。引っ越し先が、動物園付きの物件で、動物と動物を世話するスタッフのめんどうもみなければなりません。

 実話に基づくとありますが、まあ、映画ですので、いろいろ仕掛けがしてあります。

 物語の柱のひとつは、やはり、病気で亡くなった奥さんの扱いです。
 父親も息子も娘も、すでに亡くなった奥さん・母親のことを忘れられません。精神的に悲しみをひきずっています。
 けっこうつらい。テレビ番組で、『家、ついて行っていいですか』という番組があるのですが、ときおり、妻を亡くしたひとり暮らし年配男性の映像が出ます。病気で亡くなった奥さんのことを忘れられません。非常に哀しい(かなしい)映像が流れます。しみじみします。やっぱり、生きているうちに、奥さんに優しくしておいたほうがいい。一年中長時間労働の連続による仕事漬けよりも、家族が大事です。
 話が脱線しましたが、この妻に先立たれるケースの場合、ふたつの選択肢があります。
 ひとつは、亡くなった奥さんを偲びながら(しのびながら。なつかしみながら)自分は死ぬまでひとり者でいくパターン。もうひとつは、心の奥に奥さんの思い出をいったんしまいこんで忘れるパターンです。次の再婚相手の姿が見えます。今、生きている人間のこれから先も続く長い人生も大事だという説もあります。

 この映画のラストは、中途半端な終わり方だったのですが、映像の上では、亡くなった奥さんを思い続ける趣旨で終わったと受け取りました。

 また、話は脱線しますが、重松清作品「その日の前に」では、入院中の奥さんが病気で亡くなる前に、夫に、「(わたしのことは)忘れていいよ」という言葉を残します。その日というのは、奥さんが病気で亡くなる日です。妻から夫に対する愛情が厳しくも温かい。
 忘れるのか、忘れないのか、どちらの道を選ぶかは、人それぞれです。正解も間違いもないと思います。

 舞台が動物園ですので、いろんな動物の映像が出てきて楽しめました。
 
 劇中のセリフで、「どうして、ここを買ったの?」という質問にはちゃんと答えてほしかった。「いけない?」では、答えになっていません。

 車で往復29kmの道を遠いと表現されたのですが、たった29kmだと思うのです。外国のなにもない田舎道ゆえに、時速60kmで走れば往復29分間、片道15分間ぐらいです。

 ヘビだらけのシーンがおもしろかった。

 映像にあった役所の動物園立ち入り検査は、役所の職員ひとりだけではやらないと思う。必ず複数名で検査するでしょう。

 パパには遺産があって、お金の余裕があるので、その点では、ちょっと変わった映画です。

 高齢で衰弱して、かつ、病気にかかっているという動物園で飼っている虎を安楽死させるシーンで、主人公の父親が安楽死を決断するまでに深く悩みます。妻の病死が記憶に残っていたからでしょう。
 たまたま、最近医師による嘱託殺人事件として、人間の安楽死のことが報道されていたので、むずかしいものを感じました。
 人間の場合は日本の法律の世界では、安楽死は殺人になるのでできないと思います。ましてやお金をもらってやってはだめです。最低限、本人の了解と合わせて、身近な親族の了解がいると思うのですが、なかなか了解できる親族はいないと思います。それでも生きていてほしいのです。

 映画の中では、がんこなお父さんと甘えん坊の息子です。

 よかったセリフとして、「女の子は、話すのが好き。(ボーイフレンドとして)会話のコツは、よく聴くこと」「お互いに(相手が言ってほしいと思う)言ってほしいことを言い合う」

 貫くメッセージとして、『20秒間だけの勇気をもつ』あるいは、『20秒間だけ恥をかけば、いい結果がついてくる』

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