2020年05月30日

タンタンタンゴはパパふたり 

タンタンタンゴはパパふたり ジャスティン・リチャードソン&ピーター・パーネル文章 ヘンリー・コール絵 尾辻かな子・前田和男訳 ポット出版

 珍しい絵本の内容です。おとなのおとこペンギン二羽が、温められなくなったよその夫婦の卵をもらいうけて、あたためて、こどもが生まれて、自分たちのこどもとして育てていきます。おとこどうしの同性愛カップルによる血のつながらないこどもの養育話です。動物園であった実話の絵本化だそうです。

 ニューヨークのまんなかにあるセントラルパークに動物園があります。動物園の正門の絵を見て、昔行ったオーストラリアのシドニーにあるタロンガ動物園に雰囲気が似ているなあと感じました。絵本の絵の色合いがとくにいい。落ち着きます。
 岩場に立つペンギンの集団の絵を見たときには、東京都葛西臨海水族園に行ったときのことを思い出しました。雰囲気が似ています。
 また、絵本にある展示室の絵を見たときは、名古屋港水族館にあるペンギンの展示室を思い出しました。これもまた雰囲気が似ています。
 
 夫婦になるのは、おとこペンギンのロイとシロで、ふたりはまえから仲良しだったそうです。
 飼育係のグラムジーさんが、二匹の同性愛に気づきます。ふたりともいっしょうけんめいに巣づくりをしてもらいうけたペンギンの卵を温めます。ふふふと読んでいて笑みがもれました。
 卵が割れて、中からヒナが誕生してくる絵は、小さいお子さんにとっては、新鮮でしょう。絵がリアルです。グラムジーさんが、生まれてきたヒナに、「タンゴ」という名前を付けました。
 
 『家族』ってなんだろうと考える絵本です。
 思うに日本人の人口の半分ぐらいは、お年寄りにしても、若者にしても、ひとり暮らしをしているような気がします。単身世帯が増えました。ほかに、核家族、シングルマザー・シングルファーザーの家族も多くなりました。
 家族の人数や、組み合わせの形態が変化している現在です。
 状況に応じて、ていねいにメンバーの組み合わせを考えて、思いやりのある家族になろうよというメッセージが絵本からだされているという流れでした。
 否定をしない。これは、こうすべきと、肯定もしない。新時代が始まっています。


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