2020年04月15日
派遣添乗員ヘトヘト日記 梅村達
派遣添乗員ヘトヘト日記 梅村達 三五館シンシャ フォレスト出版
日雇いみたいな添乗員の業務があることを知ったのは、もう20年ぐらい前のことです。能力があれば個人営業みたいにして派遣会社に登録されて働ける。有能な人たちだろうと思いました。ただ、この本を読み始めて、だからといって、高給というわけにはいかないようです。66歳男性の添乗員としての就労記録です。
珍しい二段式記述です。下に用語の解説がありますが、上を読んでから、雰囲気の異なる下を読むということが読みにくいので、途中から下の部分はあまり読まないようにしました。読書のリズムがうまく流れていきません。
読んでいて、「人の世話をする」ということのたいへんさが伝わってきます。
人間はおもに、「損か得か」で生きていることがわかります。
内部告発みたいなところあるので、だいじょうぶだろうかと感じるときもあります。
繁忙期のカレンダーがすごい。一か月のうちに、トルコに行って帰ってきて、イタリアに行って帰ってきて、東北に行って帰って来てと、多忙です。地球が職場です。
新型コロナウィルス騒ぎの今この本を読むと、派遣添乗員の仕事は今、苦境にさらされているのだろうと想像できます。
お仕事マニュアルの面があります。トラブル発生に対しては、①落ち着く②不満を受けとめ謝罪する③迅速に対処するとあります。
仕事がないときは、配偶者の収入に頼る。配偶者の理解と愛情がいります。
仕事柄、海外を含めて国内旅行の体験も多いとのいうのに貧乏生活です。されど、基本的には静かな人で、読書を楽しみぜいたくはしない。人づきあいは苦手だけど、添乗員という役を演じるのは得意。そんな内容を読んでいると、男優や女優でなくても、人は働くときには、職場での役割を果たして収入を得るために、自分とは少し違う自分を演じていることがわかります。
知らない世界を知る本です。
ああ、お客さんで、こういう人っているなあと再確認できる記述部分もあります。愛想がいいから機嫌がいいと思っていたら、あとから憎悪にも似たきついクレームを上層部にくれる人です。人間は怖い。
たいへんさが伝わってきます。されど、「需要」があるから「サービス」があると思って読んでいます。
知的障害者施設のメンバーと日光江戸村へバス旅行に行ったときのお話にはほろりとしました。いいお話でした。今年読んで良かった本になりました。入所者たちはうれしさを全身からにじませていたあとに続く、にぎやかなカラオケ風景が読んでいて目に浮かびました。
読んでいると本のタイトルどおり、旅行添乗員がヘトヘトであることが伝わってきます。日本人の細かい気質が起因しているようです。イタリア人だと、手抜きだけれど、お客さんもほうも高いレベルの対応を求めていないそうです。
日本人添乗員は一生懸命働きすぎて命を落とすこともあるようです。いわゆる過労死です。そこまでストレスをためて働かなければならないのかという考えに至ります。旅館の宴会係はストレスが大きい。カスタマーハラスメントの話が出ます。(お客さんからの理不尽な要求)加害者となる人間と被害者となる人間が同一人物になることもあるようです。
愚痴をこぼしての傷のなめあいは、明るい未来が見えてきません。
読んでいると、結果的には、本づくりをするための労働体験だったと感じました。
ショッキングな旅先として「インド」。テレビ番組「東野・岡村の旅猿」シーンを思い出しました。たしかにショッキングでした。だけど、大笑いできました。
このインドの記述部分と次の添乗員があてがわれる宿泊場所の話の記述がおもしろかった。
良かった文節などとして、「運はある。運は、宿るべき人のところに宿る」、「性格のゆがんだ人というのは必ずいる」、「笑顔と右手が瞬時に消えた」、「(感謝の言葉を述べられ)目頭が熱くなった(だからこの仕事を続けられる)」、「人に頭をさげるという経験をしないで、この歳まで世を渡ってきた」、「(趣旨として)失敗をしたから中止するのではなくて、改善をしてイベントを継続していく」、「ツアーは、トラブルの連続」、「仕事を続けていける人は、打たれ強い」、「旅が好きな人が入ってくるけれど、辞めてしまう人も少なくない」、「人間は歳を重ねるとともに成熟していくわけではない」、「便意をコントロールできない参加者」、「人間は細かいことで感情が左右される(逆にそれを利用できることもできると考えました)」、「(趣旨として)効率化によって良くなったこともあるけれど、悪くなったこともある」、「運転手はベテランが多く、定年後もアルバイトで就労。労働者の年齢がかなり高齢化している。あとに続く若い人が少ない」、「夢を売る楽しいツアーの裏には、涙ぐましい光景が広がっている」、「どんな仕事でも忍耐なくしてはつとまらない」、「仮面をつけなければできない仕事」、「今は、紙の本を出すのはむずかしい」、「理想を失う時に初めて老いがくる」
調べた単語などとして、「泰然自若:たいぜんじじゃく。落ち着いていてどんなことにも動じない」、「当意即妙:とういそくみょう。瞬間的に場にかなった機転をきかせる」、「堅牢:けんろう。がんじょうでびくともしない」
日雇いみたいな添乗員の業務があることを知ったのは、もう20年ぐらい前のことです。能力があれば個人営業みたいにして派遣会社に登録されて働ける。有能な人たちだろうと思いました。ただ、この本を読み始めて、だからといって、高給というわけにはいかないようです。66歳男性の添乗員としての就労記録です。
珍しい二段式記述です。下に用語の解説がありますが、上を読んでから、雰囲気の異なる下を読むということが読みにくいので、途中から下の部分はあまり読まないようにしました。読書のリズムがうまく流れていきません。
読んでいて、「人の世話をする」ということのたいへんさが伝わってきます。
人間はおもに、「損か得か」で生きていることがわかります。
内部告発みたいなところあるので、だいじょうぶだろうかと感じるときもあります。
繁忙期のカレンダーがすごい。一か月のうちに、トルコに行って帰ってきて、イタリアに行って帰ってきて、東北に行って帰って来てと、多忙です。地球が職場です。
新型コロナウィルス騒ぎの今この本を読むと、派遣添乗員の仕事は今、苦境にさらされているのだろうと想像できます。
お仕事マニュアルの面があります。トラブル発生に対しては、①落ち着く②不満を受けとめ謝罪する③迅速に対処するとあります。
仕事がないときは、配偶者の収入に頼る。配偶者の理解と愛情がいります。
仕事柄、海外を含めて国内旅行の体験も多いとのいうのに貧乏生活です。されど、基本的には静かな人で、読書を楽しみぜいたくはしない。人づきあいは苦手だけど、添乗員という役を演じるのは得意。そんな内容を読んでいると、男優や女優でなくても、人は働くときには、職場での役割を果たして収入を得るために、自分とは少し違う自分を演じていることがわかります。
知らない世界を知る本です。
ああ、お客さんで、こういう人っているなあと再確認できる記述部分もあります。愛想がいいから機嫌がいいと思っていたら、あとから憎悪にも似たきついクレームを上層部にくれる人です。人間は怖い。
たいへんさが伝わってきます。されど、「需要」があるから「サービス」があると思って読んでいます。
知的障害者施設のメンバーと日光江戸村へバス旅行に行ったときのお話にはほろりとしました。いいお話でした。今年読んで良かった本になりました。入所者たちはうれしさを全身からにじませていたあとに続く、にぎやかなカラオケ風景が読んでいて目に浮かびました。
読んでいると本のタイトルどおり、旅行添乗員がヘトヘトであることが伝わってきます。日本人の細かい気質が起因しているようです。イタリア人だと、手抜きだけれど、お客さんもほうも高いレベルの対応を求めていないそうです。
日本人添乗員は一生懸命働きすぎて命を落とすこともあるようです。いわゆる過労死です。そこまでストレスをためて働かなければならないのかという考えに至ります。旅館の宴会係はストレスが大きい。カスタマーハラスメントの話が出ます。(お客さんからの理不尽な要求)加害者となる人間と被害者となる人間が同一人物になることもあるようです。
愚痴をこぼしての傷のなめあいは、明るい未来が見えてきません。
読んでいると、結果的には、本づくりをするための労働体験だったと感じました。
ショッキングな旅先として「インド」。テレビ番組「東野・岡村の旅猿」シーンを思い出しました。たしかにショッキングでした。だけど、大笑いできました。
このインドの記述部分と次の添乗員があてがわれる宿泊場所の話の記述がおもしろかった。
良かった文節などとして、「運はある。運は、宿るべき人のところに宿る」、「性格のゆがんだ人というのは必ずいる」、「笑顔と右手が瞬時に消えた」、「(感謝の言葉を述べられ)目頭が熱くなった(だからこの仕事を続けられる)」、「人に頭をさげるという経験をしないで、この歳まで世を渡ってきた」、「(趣旨として)失敗をしたから中止するのではなくて、改善をしてイベントを継続していく」、「ツアーは、トラブルの連続」、「仕事を続けていける人は、打たれ強い」、「旅が好きな人が入ってくるけれど、辞めてしまう人も少なくない」、「人間は歳を重ねるとともに成熟していくわけではない」、「便意をコントロールできない参加者」、「人間は細かいことで感情が左右される(逆にそれを利用できることもできると考えました)」、「(趣旨として)効率化によって良くなったこともあるけれど、悪くなったこともある」、「運転手はベテランが多く、定年後もアルバイトで就労。労働者の年齢がかなり高齢化している。あとに続く若い人が少ない」、「夢を売る楽しいツアーの裏には、涙ぐましい光景が広がっている」、「どんな仕事でも忍耐なくしてはつとまらない」、「仮面をつけなければできない仕事」、「今は、紙の本を出すのはむずかしい」、「理想を失う時に初めて老いがくる」
調べた単語などとして、「泰然自若:たいぜんじじゃく。落ち着いていてどんなことにも動じない」、「当意即妙:とういそくみょう。瞬間的に場にかなった機転をきかせる」、「堅牢:けんろう。がんじょうでびくともしない」
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