2020年03月21日

生きるって、なに? たかのてるこ

生きるって、なに? たかのてるこ テルブックス

 ラジオ放送でいい本だと流れていたので読んでみることにしました。
 同作者の「ガンジス河でバタフライ」「サハラ砂漠の王子さま」「モロッコで断食」「ダライ・ラマに恋して」「モンキームーンの輝く夜に」「キューバ―でアミーゴ」などを読んだのは、2008年から2012年頃のことでした。内容はおもしろかった。世界中を旅する作者です。
 
 生きることの意味を追求していく本です。薄くて小さいサイズの本ですが中身は濃い。写真絵本の構成です。言葉には気取りがなく、生身で、現実的です。大事なことが書いてある本です。今年読んで良かった1冊になりました。

 「わたしはなぜ生きてるの?」からはじまります。
 幼児が言葉を覚えてしばらくすると、「どうして?」の連発が始まります。知りたいというどうして? と、どうしてとたずねて相手の反応を楽しむ面があります。「どうして、どうして」がくりかえされると、聞かれた方は最後に、「どうしても!」と質問をさえぎってしまいます。そんなことを思い出しました。

 生きるために、自分を大事にする。自分を否定しない。
 作者からのメッセージを、なんども繰り返して読むと、味わいが深まります。
 
 世界中の民族の笑顔の写真がかもしだす効果が大きい。

 雄大な空と海の風景写真が、忘れていた何かを思い出させてくれる。

 日本人の弱点といえる部分の指摘があります。「人に迷惑をかけてはいけません」ではなくて、「人は人に迷惑をかけて生きているのだから、人の迷惑も許してあげなさい」というインドの教えがあります。ほんとうの迷惑行為は犯罪に限る。

 海外体験旅行を重ねた作者らしい言葉が続きます。

 54ページの写真が好きです。場所は日本の山奥の田舎でしょう。季節は夏で、小学生の男子ふたりがすっぽんぽんで川でうつぶせになっています。豊かな自然のなかにこどもたちの笑顔があります。

 後悔があったとしても、過去の出来事を変えることはできません。
 だから、今を楽しむ。
 写真は笑顔がいっぱいです。
 
 60ページにある「この本が生まれるまで」の部分は秀逸です。作者が本音で語りかけてきます。本をとおして、作者の願いが伝わってきます。


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