2020年02月12日

ルドルフといくねこくるねこ 斉藤洋

ルドルフといくねこくるねこ ルドルフとイッパイアッテナⅢ 斉藤洋・作 杉浦範茂(すぎうらはんも)・絵 講談社

 2002年2月初版です。前回読んだ2作目の初版が1988年ですから、14年が経過しています。
 5月から始まりました。英語の本に対する苦情があります。アイ・アム・ア・ボーイ。ぼくは少年です。そんなことは、見ればわかる。わざわざ説明する理由がわからないとのこと。
 ネコであるイッパイアッテナことタイガーの飼い主である日野さんは、仕事で日米を行ったり来たりしています。
 事件発生、なんとなく、ヤクザの世界風です。千葉県市川市、松戸市、船橋市などの地名が出てきます。以前、そのあたりで道に迷ってタクシーを利用したことがあります。競馬場があって、ああここに中山競馬場があるのかと思ったのを覚えています。まだ、都市化されていない田舎道の風景でした。
 市川のネコ、ドラゴン三兄弟(ブラッド・ジャック・テリー)のトラブルが紹介されます。どうもドーベルマン犬に襲われたらしい。長男のブラッドがやられて入院中です。イッパイアッテナとルドルフに助けてのお願いがあります。三兄弟の飼い主は、モンタというダックスフントも飼っているという補足があります。
 なお、ルドルフとイッパイアッテナは、江戸川区内にいて、今回イッパイアッテナは、野良犬から東京を守るために市川市へでかけて、ほとんど登場シーンがありません。
 
(つづく)

 柴又の帝釈天(たいしゃくてん)が登場しました。男はつらいよフーテンの寅さんの舞台です。

 そば屋の三毛猫は、言いふらしの「放送局」というニックネームで、「鉄橋の下に、いつでもふなだんす(船の中におくたんす)がある」という話をブッチーに残します。

 ねこたちは、電車に乗って、浅草の浅草寺へ、食べるために、鳩を捕りに出かけました。(鳩をつかまえる理由が後半に出てきますが、せつない理由です)
 どうも、地下鉄にも乗車するようです。
 野生動物にとって人間はたいてい敵で、ペットにとっての人間は味方という動物と人間の関係があります。
 ねこたちが電車にのっていても無関心な都会の人たちです。
 鉄道は、一時的な滞在地であり、通過地点に過ぎません。
 鉄道に乗車体験があるこどもでないと、書いてあることに共感ができないでしょう。
 浅草寺雷門に到着しました。大きなちょうちんに、「松下電器」の表示があります。ああ、なつかしい。むかしは、街中に、「松下電器」の看板をたくさん見かけました。今のパナソニックです。
 浅草寺の境内で、ルドルフはドラマチックな体験をします。偶然、岐阜にいたときの飼い主リエちゃんと遭遇します。リエちゃんはいま、中学生です。再会シーンですが、リエちゃんはルドルフに気づけません。似ているねこがいるというだけで、以前自分が飼っていた本当のルドルフとは思いません。なんだか、リエちゃんとルドルフの関係が、恋人や夫婦の関係に思えてきます。そこに、愛情の発生があります。リエちゃんの家には、いなくなったルドルフの代わりに、その後生まれたルドルフの弟ねこ、黒ねこの新しいルドルフがいます。再会は、浅草寺の観音様のお導きでしょうが、もう、ルドルフは、リエちゃんの岐阜の家では居場所がありません。

 「ふなだんす」の話が出てきました。たんすの引き出しは、人間の引き出しのようなもので、引き出しの中に思い出をしまっておくのです。

 ルドルフは文字の読み書きができるので、図書館で本を読んで学習を積んでいます。

 ルドルフのともだちであるブッチーの彼女は、獣医が飼っている「アメリカンショート・ヘア:よく見かける縞模様のねこ」です。

 ねこたちは、「親分」にちなんで、お互いの名前の末尾にブンを付けて呼び、相手を立てます。テリーは、テーブンです。

 電車に乗るとき自動券売機が出てきますが、令和になった今は、ICカードです。

 人間界の現実が出てきます。ホームセンターができて金物屋がつぶれて、金物屋で飼っていた飼い猫は、金物屋さんの家族の転居先アパートのついていくことができません。だから、飼い猫は野良猫として自分で鳩を捕まえて生きていこうとします。なんとかなると思ってもなんともなりません。

 後半の野良犬との対決シーンはスリルがありました。野良犬になりたくて、野良犬になるわけではないので、作品は、ほかのことも含めて、グレーな大人の世界が広がる内容となっています。それでも生きていくのです。後半は、血統とか、純潔種とか、雑種とか、血統による身分の区別とか差別に関することも出てきます。

 調べた単語などとして、「能書き:自己宣伝のための文句」

 心に残った猫の言葉として、「おれは、おれ。飼い猫だとか、野良猫だとか、そんなことは関係ない」
 ねこたちの会話は、中学1、2年生同士の会話内容にも思えました。


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