2020年01月23日

もりのへなそうる わなべしげお・さく やまわきゆりこ・え

もりのへなそうる わなべしげお・さく やまわきゆりこ・え 福音館書店

 へなそうるとは?
 本の最後のほうにあるページで、キリンのような姿がちらりと見えました。
 表紙には、森の中にある木のそばで、兄弟らしき男の子ふたりがなにか気配があって、不思議そうな表情で立っています。
 これから読み始めます。
 1971年(昭和46年)初版発行のロングセラーです。作者の渡辺茂男さんは2006年に亡くなっています。

(つづく)

 表紙を開くと、山の上につづく風景があります。渓流が流れています。

 てつたくん:5才、幼稚園生
 みつやくん:3才、幼稚園はまだ。

「でっかいたがも」
 短編4本になっているようです。
 言葉がまだ追いつかないみつやくんです。「たがも」は、「たまご」のことです。
 地図の話になります。冒険が始まるきっかけの地図です。
 おかあさんが、おべんとうをつくってくれました。

 きちんとまだ発音ができないこどもさんの「言葉」の物語です。
 兄の物まねをする弟のみつやくんです。
 言葉の言い違えが、漫才のようです。

 てつたくん5才は、たどたどしいけれど、ひらがなが書けます。
 ふたりは森の中で、大きなたまごを発見します。きょうりゅうのたまごと名づけて隠しました。
 たのしいお話でした。ここから、本好き少年少女がスタートするのでしょう。

「へなそうる」
 前話からのつづきになっていました。
 次の日、ふたりは、森へきょうりゅうのたまごをさがしにいきましたが見つかりません。きょうりゅうのかわりにみたこともない動物がいます。それが、へなそうるなのですが、ふたりは、頭の中が、きょうりゅうのたまごのことでいっぱいで、へなそうるに興味をもちません。へなそうるが、たまごから産まれたので、もう、たまごはないのですが、へなそうるじしんも、自分はたまごをみたことがないといいだします。おもしろい。あったかみがわいてきました。
 へなそうるは、ふたりとともだちになってあそびはじめます。ともだちづくりのノウハウを教える本になっています。あたたかい。今年読んで良かった1冊になりそうです。
 46ページと47ページにカラーでへなそうるの絵があります。体格はきりんみたいで、顔はかばみたいで、色はインコかオウムみたい。話し方は、裸の大将放浪の画家山下清画伯のようです。そして、くいしんぼうなのです。
 つらいことがあったとき、こういう世界に逃げたいという気分になります。

「かくれんぼ」
 かくれんぼあそびです。読み終えて、自分もいっしょに遊んだ気分になりました。たのしかった。
 てつたくんとみつやくんが、両手を広げてひこうきのまねをしながら森へ行くシーンがいい。

 3才のみつやくんが、かくれんぼでかくれていて、ほっぺたを蚊に刺されたあたりがおもしろかった。かゆいかゆい。
 ことばの言い間違いネタで、漫才のようです。「蚊に刺された」が、「カニにはさまれた」になって、次はみんなで、カニをつかまえにいくそうです。

 調べた言葉などとして、「バンデージ:包帯、テープ」、「たかれ:集まれ。集る(たかる)」
 
「かにとり」
 読み終えました。いい本でした。
 もりのおくのきれいな川にかにがいて、ふたりとへなそうるが、かにをとりに行きました。
 きょうりゅうみたいな、キリンみたいな姿のへなそうるは、おにぎりが大好きなくいしんぼうです。読んでいて、思わずふふふとほほえみがこぼれます。
 こどもたちをつつみこむ自然があります。
 へなそうるは、おおきなからだなのに、こわがりです。カニがこわい。カエルがこわい。オタマジャクシもこわい。へなそうるは、川の水に映った自分の姿を自分だと思わずにびっくりしました。
 平和でいいなあ。


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