2020年01月11日

挫折を経て猫は丸くなった。 天久聖一

挫折を経て猫は丸くなった。 天久聖一(あまひさ・まさかず)編 新潮社

 テレビ番組アメトークで、優良図書として紹介されていた本です。
 勘違いをしていました。古今東西の小説の書き出しだけを集めたものだと思っていました。
 内容は、ネットサイトの応募があったものから集約されています。勘違いしていたので、最初は、著作権の整理がたいへんだったろうにと思いましたが、本当に書きだしの一行のみの作品が続きます。常連さんもいるようです。川柳のようでもあります。サラリーマン川柳とか、お年寄りの川柳とか。それから、メールのタイトルとか、中身とか。
 二行目以降は、読み手が想像することになりますが、少々めんどうなので、なかなか続きません。
 1ページに3作品で、いいものは、1ページに1作品です。
 ここには、書けませんが、気に入った文章もあります。ただ、大半は、読んでもよくわかりません。
 主語の部分があって、意表を突く、述語(どうする。どんなふうだ)の部分がつながっています。
 一行完結小説の趣(おもむき)です。述語の部分が、落語やお笑いでいうところの「オチ」になっています。
 
 これはいいなと思うつくりかたは、「時空間移動」、「その場にそぐわない質問だけれど意味は通る」、「理屈よりも感覚を優先」、「実体験を誇大化」、「空想科学パターン」、「空想理論パターン」、「ふと、力を抜くパターン」、「認知症の高齢者ネタ」、「全力投球型」、「死んだ人の言葉、心の無い物体の言葉」、「社会通念なれど自由」、「ものの見方の多面性」

 2度・3度、繰り返し読むと、おもしろみの味わいが広がる本です。

 自由部門と規定部門があります。規定部門のお題「父」はどの作品も暗い。「歴史人物(国内編)」を読んでいるときに、遠い過去に、現実社会でもめていた年上の人たちを思い出しました。全員、今はもうあの世にいかれた人たちです。いったい何のためにあんなにもめたのだろう。合意点の無い対立は無益であり、無意味です。それなのに対立はなくなりません。

 ときおり、漢字が難しい。短文で表現したいがためなのか。
 いくら考えても意味がわからないものもありました。しかたありません。わかる人にしかわからない作品もあります。

 調べた単語などとして、「迂闊:うかつ」、「Ctrl+Z:元に戻す」、「笙:しょう。雅楽に使用する管楽器。息を吸ったり吐いたりして音を出す」、「迂闊:うかつ」、「虚無僧:こむそう。禅宗。尺八。深い編み笠をかぶる」、「抉られる:えぐられる」、「既鳩:不明」、「揉みたい:もみたい」、「梅田の地下ダンジョン:地下牢。複雑で迷子になる」、「ガーリー:女の子らしい、可愛い」、「裾:すそ」、「腐女子:男性同士の恋愛小説や漫画を好む女子」、「ケバブ:中東料理。肉、魚、野菜を焼く」、「レトリック:文章を良くするための技術」


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