2019年08月03日

ぐるんぱのようちえん 西内ミナミ

ぐるんぱのようちえん 西内ミナミ 福音館書店

 おおきな灰色ぞうのお話です。ほっぺたがピンクのぞうです。タイトルの「ようちえん」は、さいごまで読むと意味がわかります。
 ぞうの名前が、「ぐるんぱ」の理由はさいごまでわかりませんが、最初のページには、ぐるんぱが書いた字で、タイトルが書いてあります。長いお鼻で筆を使って書いたのでしょう。
 悪い情報から入ります。ぐるんぱは、汚くて、臭いのです。あわせて、ひとりぼっちだそうです。つまり「孤独」です。
 いじめにもあっています。8頭のぞうたちが、ぐるんぱは臭いと主張しています。無職で泣き虫でだめなぞうだという評価をくだされています。
 みんなが、ぐるんぱの体を川で洗って、教育を始めます。その結果、ぐるんぱは、きれいな体で、無臭になります。さあ、ぐるんぱの修行の始まりです。
 でも、うまくいきません。からだがでかいので、ぐるんぱがつくるものがみんなでかすぎます。びすけっと、でかすぎて食べられない。おさら、大きすぎて水をためる容器みたい。
 くつは、大きすぎてはく人がいません。なにをやってもお役に立てないぐるんぱです。
 ピアノもつくりました。大きくて、使い物になりません。自動車づくりにも挑戦。でかすぎて、ハンドルの位置から先端が見えません。
 自信を喪失したぐるんぱです。泣きそうです。読み手は、胸にぐっとくるものが湧いてきます。応援したくなります。
 22ページで転機が訪れました。12人のこどもたちが、ぐるんぱを必要としてくれます。
 特別うまいという絵ではありませんが、最後の見開きの絵は、とってもきれいです。最高の絵となりました。ぐるんぱもうれしそうです。

(後日考えたこと)
 なにをやってもうまくいかないけれど芽が出て花が咲くまでそれぞれの力量で継続していくこと。こちらの物語は、発想の転換で成功に導く結論ですが、以前読んだ「ぼちぼちいこか」では、なにをやってもうまくいかない関西弁のかばさんが、結局、成功までにたどりつけず、とりあえず、ひとやすみしましょうで途中経過地点に身を置く結論となっています。けっきょく、いろいろあっていい。「生きている」ことが一番大事という作品ごとのメッセージにたどりつきます。

この記事へのトラックバックURL

http://kumataro.mediacat-blog.jp/t135589
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません
上の画像に書かれている文字を入力して下さい