2019年07月31日

生きてるだけで、愛 邦画DVD

生きてるだけで、愛 邦画DVD

 前知識はなく観ました。
 寧子(やすこ)さんという20代始めぐらいの女性がいます。うつ病だそうです。
彼女の素行を並べてしてみます。クレイジーです。明らかに心の病があります。ひきこもり傾向があります。たいていふとんで横になっています。スマホ依存です。本人いわく、「自分は性格が悪い。あたしよく針が振り切れるんです」、ときおり、死ぬ話が出ます。暴力的な面もあります。大声をあげて豪快な人です。うーむ。男性への寄生があります。ヒモの女性版です。無職ですが、後半カフェバーでアルバイトをします。そういう人です。
 わざと変なことをするように、主人公女性を動かしてはいないだろうか。彼女を3年間同居しながら世話をする若い男性津奈木(つなき)さんとの恋愛物語ですが、男女の愛というよりも、男性が女性を介護しているようにも見えます。同棲とか内縁の形態には見えにくい。そこに、津奈木を愛する別の女性が現れて、三角関係話も重なります。
 恋愛というよりも生きることのむずかしさが表に出ています。青春時代のどうしようもない、どうすることもできない破裂するほどたまってしまったストレス、欲望。吐きだし口のない不満。ときにわがままとしかみえません。
 三角関係で、津奈木を愛する女性安堂(あんどう)は、厳しいけれど、正論を言うし、実は優しい。彼女の言う社会復帰という言葉が光ります。
 寧子(やすこ)の言うことは、まっとうなときもあるのですが、いかんせん、無職で自活できていないので、いくら立派なことを言っても、世間は信用してくれません。
 印象的だったことを並べてみます。弁当ばかりの夕食。カフェバーのスタッフの異様なほどの優しさ、度量がある受け入れ態度。「(寧子と自分たちは)家族みたいなものでしょ」、登場人物の姉だったか、彼氏の元カノだったかが言った言葉として、「一生寝ているのと死んでいるのはいっしょのこと」

 小さな明るい光が、だんだん大きくなって広がっていくのに、同情によって、心が折れて、立ち直れない。寧子の言葉、「自分が自分に振り回されている。他人はわたしと別れられるけれど、わたしはわたしとは、一生別れられない。(だから、別れるためには自死するという作者の意図まで予測できます)生きているだけで疲れる」

 クズだなあという思いが生まれます。ゴシップ記事をつくっている週刊サタデーナイトの社員津奈木の上司の言葉、「おれたちは、下半身で飯を食っている」、取材相手が、記事が原因で自殺をしても、雑誌が売れればいいというような雰囲気があります。
 登場人物のほとんどが、心が病気の人ばかりです。なんともいいようがありません。
 まわりの人間のペースに合わせて標準化していけない苦しさが、せつなく表現されています。本人の努力だけでは解決に至れません。

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