2019年05月19日

かべのむこうになにがある? 2019課題図書

かべのむこうになにがある? ブリッタ・テッケントラップ 2019課題図書 BL出版

 作者はドイツ人女性です。「かべ」と聞いて、「ドイツ」といえば、有名な「ベルリンの壁」を思い出します。ドイツを分断するための壁でした。資本主義の西ドイツ、共産主義の東ドイツです。1961年につくられて、1989年に壊されました。
 この壁を越えようとして、命を落とした東ドイツの住人もいました。
 さて、本読みの感想です。
 読み終えてみれば、やはり、ドイツの壁が関係あるような気がします。いっぽう、「壁」は、人生における「壁」とも共通します。
 ねずみくんが登場します。
 赤い壁があります。ねずみは、赤い壁に囲まれた区域のなかで生活しています。
 ねずみくんが、素朴な疑問をもちます。「かべのむこうにはなにがあるのだろう」
 まわりにいる動物たちにその質問をしますが、ちゃんとした答えは返ってきません。
 ねこ、くま、「壁」イコール既成概念(社会で認められた考え方)で、自分たちの安全を守るためにあるものとか、どうしてという疑問をもってはいけないものというような扱われ方をされていることがわかります。
 きつねの答も同様です。年老いたライオンは、かべのむこうには、「闇(やみ)」があると答えます。暗くて終わりがない空間といえます。
 そらいろの鳥にのったねずみは、「ニルスの不思議な旅」で、がちょうの背中にのって北欧の半島を旅したニルス少年のようです。
 壁の外、鳥の背中からねずみが見た世界は、たくさんのいろであふれるゆめのような楽しそうな世界でした。東ドイツ人が見た西ドイツの風景と重なります。あるいは、既成概念を破った若者の新鮮な体験です。
 次のページを開いて頭に浮かんだ言葉は、「壁は、自分自身がつくってしまったもの」という言葉です。
 絵がきれいです。
 若い時には冒険をしよう。まだ見ぬ知らない世界を知って、成長しよう。かわいい子には旅をさせようということわざもあります。
 やはり、おはなしは、「壁のないお話し」になりました。壁は、自分自身でつくったものだったのです。
 古い世界から動かない。変わらないことの強さがあります。されど、それを踏まえて、新しい世界に踏み出す一歩も必要です。変えるか変えないかを考えるのはそれからです。
 なかなかついてこなかったライオンがついてきました。ページにすがすがしい絵の空間が広がっています。
 やっぱり政治的な意味合いも含まれている絵本でした。あとは、人生の生き方のお話しでした。

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