2018年08月14日

火のないところに煙は 芦沢央

火のないところに煙は 芦沢央(あしざわ・よう 女性) 新潮社

 6話短編です。

「第一話 染み」
 遠くから事象をみつめる読書です。
 冒頭と最後に作者が登場する不思議な出だしと終わり方です。
 
 アルコール依存と自殺願望を他者が止めることはむずかしい。自己責任、自己管理が基本です。中毒をやめるのは本人の意志です。

 良かった表現として、「人為的なものがある」。ミステリーです。

 間の作り方もいい。(行間2行あけ)

 おもしろい。

 調べた単語などとして、「接穂:とぎれた話を続けるてがかり。つぎほ」、「コールドリーディング:準備なしに(相手の心を)読む」


「第二話 お祓いを頼む女」
 出だしが現実と重なります。やはり珍しい。現実と言っても「仮想現実」です。
 この先、さきほどの作品「染み」が秘密の項目になっていくようです。
 この本は「怪談集」です。
 祟り(たたり)、謝罪、すさまじい展開になってきました。
 「染み」と同様に「痣(あざ)」

「第三話 妄言(もうげん)」
 ここで、「火のないところに煙はたたない」という文章が出てきます。
 さきほどの短編「お祓いを頼む女」と同じパターンです。この先を予想できるので失敗かと思いましたがそうではありませんでした。よく内容を練ってあります。

 調べた単語として、「微かに:かすかに。読めませんでした」

「第四話 助けてって言ったのに」
 家中に「御札」が貼ってあります。でもそれは夢です。
 深層心理を導き出して不安をあおる。
 智世(ともよ)と和典(かずのり)夫婦は、善人なのだろうか。読んでいてそうはみえない。
 途中作家が出てきます。臨場感があるのですが、読む人によってはふざけていると思うかもしれません。人によって、合う、合わないがある作品かもしれません。

「第五話 誰かの怪異」
 最後のほうがわかりにくかったので読み返します。
 ふーむ。ただ、どの短編もそうですが、現象の解明はしていない。それとも読みが不十分なのか。
 不動産物件がらみの階段が続きます。今回は木造2階建てアパートです。
 推理小説です。

 調べた単語として、「梵字:魔よけのお札の文字に使われることが多い。インドの文字」

「最終話 禁忌(きんき:してはいけないこと)」
 うーむ。よくわからない。腹に落ちませんでした。

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