2018年06月11日

ぼくとベルさん 友だちは発明王

ぼくとベルさん 友だちは発明王 フィリップ・ロイ 櫛田理絵訳 PHP 2018課題図書

 ベルさんは、グラハム・ベルでしょう。電話を発明した人です。そういう前情報が頭の中にあってから読み始めました。今はまだ34ページです。小説というのは、だいたい36ページあたりまでに、これから読むのに必要な情報が含まれています。そのあたりまで読むのが苦労です。舞台背景とか登場人物の素性を把握していきます。36ページあたりを過ぎると読むことが楽になります。

 「ぼく」は、エディという名前で10歳です。書中では、字がうまく書けないということで、障害があるような子どもとして描かれています。
 ベルは、発明王ベルです。ベルトエディのふたりが、カナダ国ノバスコシア州「バディック」というところで出会いました。エディが、両親と弟とで暮らしている農場地帯です。時は、1908年です。今から110年前です。日本は、明治41年です。

 エディは左利きのようですが、右利きになるように親にしつけられているようです。しかし、右手で文字を書くのは苦手だと言っています。「字がかけないぼく」という項目で、本人が語ります。
 おもしろかった会話です。ベルがエディに、「きみはだれ?」とたずね、エディが、「だれでもない」と答えています。考えのポイントが凡人とは違うのです。天才かもしれない。
 ベルさんは、算数が苦手だと言います。算数はほかの人にやってもらっている。自分はアイデアを発想する人という意味でしょう。
 ヘレンケラーの名前が登場しました。三重苦を克服された女性です。見えない、聞こえない、話せない。

 ベルは教えてくれます。「みんな」の言うことは確実ではない。間違いもある。それから、できるようなりたいと思う心はいちずで、だれにもとめることはできない。ベルは加えて、「すべて」できるようになりたいとエディに語ります。

(つづく)

 「進化」の話が少し出ます。自然が間違える。それが、「突然変異」でしょう。エディ10歳主人公の障害とも関連がありそうです。

 ベルさんの教えがあります。「できたことは喜ぶ。失敗はくよくよしない。成功と失敗、失敗のほうが自分のためになる。(ベル自身について)成功は5本の指で数えることができるが、失敗は無数ある。」

 グラハム・ベルとその仲間ボールドウィン(ケイシー)、マカーディ(ドギー)が飛行機をつくっているということは知りませんでした。電話だけじゃないんだ。

 ヘレンケラーもからめてあります。一番最後、この小説を書いた作者の説明文に、物語は、いく人かの偉人を登場させたフィクション(架空のお話)とあります。障害のエディを主人公としたのでこのように創作された物語です。

 「ライム」とは、音の響きが同じ言葉を並べた唄とあります。ラップみたい。単語のつづりを覚える時のコツです。

 「例外のよいところは、人に油断を与えないこと。」ベルさんの言葉です。これはこうなるという法則には、そうならない例外があります。

「ポリッジ:おかゆ」

 この本は親が読む本という一面ももっています。子どもはほめて育てるという教訓があります。

 辞書の重要性が書かれています。

 10歳のエディは、応用数学の本を読んで、滑車を使用して、畑に埋まっていた大きな石を動かします。

「Renaissance(ルネサンス)文芸復興」

「Zeno‘s Paradox ゼノンのパラドックス アキレスと亀の競争 アキレスは亀に追いつけない。パラドックス=逆説」

 学校視察員は、にくたらしい役目の人です。権力ってなんだろう。物語のなかでは、いつも悪者扱いです。いつもいばっています。

 文字が読めない人のことが書いてあります。日本も50年ぐらい前までは文字を読めない人がたくさんいました。だから、バス停の名称を言えない人もいました。戦後の義務教育で改善されました。

 努力もありますが、出会いも大事です。

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