2018年06月09日
千年の田んぼ 石井里津子
千年の田んぼ 石井里津子 旬報社 2018課題図書
(1回目の本読み)
1ページずつ、すべてのページをゆっくりめくります。流し読みよりもっと速い内容雰囲気把握読みです。最後までいくと、全部を読んだような多少錯覚が入った安心感に満たされます。
山口県日本海側に浮かぶ「見島(みしま)」が舞台で、見島には、千年以上前から同じ形態を続けている稲田があるそうです。稲田の歴史的な価値に着目です。
わたしは、同じような場所にある角島(つのしま)しか行ったことがありません。本土から島にかかる橋が美しいところでした。
本に田んぼをながめている夫婦とこどもの絵があります。雰囲気としては、奈良県明日香村(あすかむら)の雰囲気がただよっています。縄文時代をすぎて、飛鳥時代(あすかじだい)ぐらい、西暦600年代ぐらいです。
日本人の主食であるお米のお話です。
「八町八反開田:はっちょうはったん。面積の表示です。一町は1ヘクタール(100mぐらい×100mぐらい。1万㎡ぐらい)ぐらい、八町は8倍ですが、872m四方ぐらい。反が1000㎡ぐらい。町の10分の1。ちなみに1畝(せ)が、10m×10mで100㎡ぐらい。八町八反だと、8×1万㎡∔8×1000㎡だから、88000㎡ぐらい。島の一部分に水田が集中してつくられていると受け止めました。
この本は小説ではない。調査報告書のような書きぶりです。
ページの色がはじめとおわりで違います。白いページが灰色のページにはさまれています。なにか意味があるのでしょう。
イラスト、ことに人物像がやさしいタッチです。
日本人の先祖をたどるとたいていが農家です。
地籍簿(ちせきず)というものが出てきます。土地の記録です。土地の広さとか所有者が描かれているのでしょう。いっぽう、戸籍は人間の記録です。生まれ血筋、生年月日などが書かれています。
「三角ため池」という言葉がこの本の内容のキーワードになりそうです。
(2回目の本読み)
最初から、ちゃんと読みます。
94ページまで読みました。
農業に関する勉強をする本です。合わせて歴史の本です。
「水」の大切さが書かれています。
山口県の日本海側沖合にある見島(みしま)というところの田んぼが研究地です。千年以上前の田んぼの形態を今もなお維持しているそうです。
水が不足しがちなので、田んぼの角に三角形のため池がたくさんある。農作業をする人は池の水をため池から汲んで田んぼに流す。田んぼに流れた水は地下を通って再びため池に戻る。その繰り返しが延々と続く。田んぼは、貴重な、なんとか遺産に該当しそうです。三角ため池の一編は5m~6mとあります。深さは2m~3mです。
9ページに島の航空写真があります。牛の形をしています。右向いて、前足、後ろ足があります。
ため池の石垣は丸い石で組まれている。海岸の丸い石が活用されている。海岸には同じく丸い石でつくられたジーコンボ古墳群がある。なにごとも自然のものを自然に使ってつくる。
「ユンボ(重機):岩を砕く。土を掘ったり、削ったりするための小型ショベルカーに見えます。」
佐賀県の吉野ケ里遺跡を見学したことがあります。本書中では、佐賀は干潟を干拓して出来上がった土地とありました。(干拓:海ほかと仕切って、水を抜いて土地を干す。)
佐賀県内は、延々と続く平野で、どこまでも平たく、見て驚きました。
農業というテーマをはずれて、なにごとにおいても、「自分が思う疑問を解決するために探求心をもつ。判明した時に喜びが湧く。」ということがあると、読みながら考えました。
著者の出身が香川県で、水がなかったため、ため池が多かったという記事を読んで、そういえば、小学生のときに、香川県内はため池が多いと習ったと、大昔のことが脳によみがえりました。
気に入った文節の主旨です。「自然は大きな脅威、日本人はそこに神々を見出し、祈り続けた。」
84ページに田んぼづくりの手順が書かれています。荒おこし→ひきかえし→代かき(しろかき)→しろ。4回の作業があります。これは、田んぼづくりだけに限らず、なにごとにも通じます。最初は荒く、徐々にていねいにすき間をつめていき、最終的に、できばえのいいものをしあげるのです。いいものをつくるためには時間と手間がいります。
89ページ付近の牛の話には共感します。うちでも、牛を飼っていました。牛は労働力で家族でした。食べるものではありません。
89ページの牛の絵が良かった。
「ゲノム:遺伝の関係の言葉」
読みながら、昔は昔、今は今という言葉が浮かびました。昔のやり方を今もすることは無理です。耕作放棄という言葉が出てきます。以前、日本海側を旅行した時に、ここで生まれた若い人はここを出たいだろうなあ。出たら帰ってこないだろうなあと感じるものがありました。92ページにありますが、次代の人は都市に出て家を買い新しい場所で暮らします。
八町八反の田んぼは、定規で引いたようなきれいな田んぼです。1300年以上前につくられた。条理という形式でつくられた。京都や奈良に昔あった平城京のつくりです。
八町八反の田んぼは、標高1.8mぐらいあるから干拓地ではない。(海を干したところではない。)
戸籍をつくり田んぼを割り当てる。米をつくらせ年貢(税)を収めさせる。土地も民も国のもの。
日本海に浮かぶ小さな島なれど、昔は国の防衛のために国の役人家族が住んでいた。今は自衛隊のレーダー基地がある。ジーコンボ古墳群のジーコンボは英語だと思いましたが、おじいさんのお墓で、ジーコンボとは気づけませんでした。
さだまさしさんの「防人の歌(さきもりのうた)」を思い出しました。ドラマがあります。
外国から国を守るために法令に基づく国家が島を警備するために役人とその家族を住まわせた。豊富な武器、高級な食器が古墳に埋葬されている。次々と意外なことが判明していきます。「ラスト豪族」という言葉が最後に登場します。
米の貴重さ、重要さが書かれています。一粒が2000粒になる。稲の恩恵は大きい。米二俵半で人ひとりが1年間生きていける。米100万石で100万人が1年間生きていける。
子が生れた祝いに大凧をあげる。
千年前の知恵があります。工夫をしないで、文句ばかり言っている現代人は、昔の人に学ばねばなりません。
(1回目の本読み)
1ページずつ、すべてのページをゆっくりめくります。流し読みよりもっと速い内容雰囲気把握読みです。最後までいくと、全部を読んだような多少錯覚が入った安心感に満たされます。
山口県日本海側に浮かぶ「見島(みしま)」が舞台で、見島には、千年以上前から同じ形態を続けている稲田があるそうです。稲田の歴史的な価値に着目です。
わたしは、同じような場所にある角島(つのしま)しか行ったことがありません。本土から島にかかる橋が美しいところでした。
本に田んぼをながめている夫婦とこどもの絵があります。雰囲気としては、奈良県明日香村(あすかむら)の雰囲気がただよっています。縄文時代をすぎて、飛鳥時代(あすかじだい)ぐらい、西暦600年代ぐらいです。
日本人の主食であるお米のお話です。
「八町八反開田:はっちょうはったん。面積の表示です。一町は1ヘクタール(100mぐらい×100mぐらい。1万㎡ぐらい)ぐらい、八町は8倍ですが、872m四方ぐらい。反が1000㎡ぐらい。町の10分の1。ちなみに1畝(せ)が、10m×10mで100㎡ぐらい。八町八反だと、8×1万㎡∔8×1000㎡だから、88000㎡ぐらい。島の一部分に水田が集中してつくられていると受け止めました。
この本は小説ではない。調査報告書のような書きぶりです。
ページの色がはじめとおわりで違います。白いページが灰色のページにはさまれています。なにか意味があるのでしょう。
イラスト、ことに人物像がやさしいタッチです。
日本人の先祖をたどるとたいていが農家です。
地籍簿(ちせきず)というものが出てきます。土地の記録です。土地の広さとか所有者が描かれているのでしょう。いっぽう、戸籍は人間の記録です。生まれ血筋、生年月日などが書かれています。
「三角ため池」という言葉がこの本の内容のキーワードになりそうです。
(2回目の本読み)
最初から、ちゃんと読みます。
94ページまで読みました。
農業に関する勉強をする本です。合わせて歴史の本です。
「水」の大切さが書かれています。
山口県の日本海側沖合にある見島(みしま)というところの田んぼが研究地です。千年以上前の田んぼの形態を今もなお維持しているそうです。
水が不足しがちなので、田んぼの角に三角形のため池がたくさんある。農作業をする人は池の水をため池から汲んで田んぼに流す。田んぼに流れた水は地下を通って再びため池に戻る。その繰り返しが延々と続く。田んぼは、貴重な、なんとか遺産に該当しそうです。三角ため池の一編は5m~6mとあります。深さは2m~3mです。
9ページに島の航空写真があります。牛の形をしています。右向いて、前足、後ろ足があります。
ため池の石垣は丸い石で組まれている。海岸の丸い石が活用されている。海岸には同じく丸い石でつくられたジーコンボ古墳群がある。なにごとも自然のものを自然に使ってつくる。
「ユンボ(重機):岩を砕く。土を掘ったり、削ったりするための小型ショベルカーに見えます。」
佐賀県の吉野ケ里遺跡を見学したことがあります。本書中では、佐賀は干潟を干拓して出来上がった土地とありました。(干拓:海ほかと仕切って、水を抜いて土地を干す。)
佐賀県内は、延々と続く平野で、どこまでも平たく、見て驚きました。
農業というテーマをはずれて、なにごとにおいても、「自分が思う疑問を解決するために探求心をもつ。判明した時に喜びが湧く。」ということがあると、読みながら考えました。
著者の出身が香川県で、水がなかったため、ため池が多かったという記事を読んで、そういえば、小学生のときに、香川県内はため池が多いと習ったと、大昔のことが脳によみがえりました。
気に入った文節の主旨です。「自然は大きな脅威、日本人はそこに神々を見出し、祈り続けた。」
84ページに田んぼづくりの手順が書かれています。荒おこし→ひきかえし→代かき(しろかき)→しろ。4回の作業があります。これは、田んぼづくりだけに限らず、なにごとにも通じます。最初は荒く、徐々にていねいにすき間をつめていき、最終的に、できばえのいいものをしあげるのです。いいものをつくるためには時間と手間がいります。
89ページ付近の牛の話には共感します。うちでも、牛を飼っていました。牛は労働力で家族でした。食べるものではありません。
89ページの牛の絵が良かった。
「ゲノム:遺伝の関係の言葉」
読みながら、昔は昔、今は今という言葉が浮かびました。昔のやり方を今もすることは無理です。耕作放棄という言葉が出てきます。以前、日本海側を旅行した時に、ここで生まれた若い人はここを出たいだろうなあ。出たら帰ってこないだろうなあと感じるものがありました。92ページにありますが、次代の人は都市に出て家を買い新しい場所で暮らします。
八町八反の田んぼは、定規で引いたようなきれいな田んぼです。1300年以上前につくられた。条理という形式でつくられた。京都や奈良に昔あった平城京のつくりです。
八町八反の田んぼは、標高1.8mぐらいあるから干拓地ではない。(海を干したところではない。)
戸籍をつくり田んぼを割り当てる。米をつくらせ年貢(税)を収めさせる。土地も民も国のもの。
日本海に浮かぶ小さな島なれど、昔は国の防衛のために国の役人家族が住んでいた。今は自衛隊のレーダー基地がある。ジーコンボ古墳群のジーコンボは英語だと思いましたが、おじいさんのお墓で、ジーコンボとは気づけませんでした。
さだまさしさんの「防人の歌(さきもりのうた)」を思い出しました。ドラマがあります。
外国から国を守るために法令に基づく国家が島を警備するために役人とその家族を住まわせた。豊富な武器、高級な食器が古墳に埋葬されている。次々と意外なことが判明していきます。「ラスト豪族」という言葉が最後に登場します。
米の貴重さ、重要さが書かれています。一粒が2000粒になる。稲の恩恵は大きい。米二俵半で人ひとりが1年間生きていける。米100万石で100万人が1年間生きていける。
子が生れた祝いに大凧をあげる。
千年前の知恵があります。工夫をしないで、文句ばかり言っている現代人は、昔の人に学ばねばなりません。
この記事へのトラックバックURL
http://kumataro.mediacat-blog.jp/t129102
※このエントリーではブログ管理者の設定により、ブログ管理者に承認されるまでコメントは反映されません