2018年06月01日

ユリゴコロ 邦画DVD

ユリゴゴロ 邦画DVD 2017年公開
 連続殺人モノなので、映像で見るとかなりグロい。文章を読むのとではちがいます。映像、音楽に押されます。
 あの日、あの時、あの場所で、あの人に会わなければ、こんな不幸な人生を歩まなくても済んだ。巡り合わせの宿命があります。こういう殺人好き傾向をもつ性質の人が現実にもいるので不気味です。

 吉高由里子 松阪桃李 松山ケンイチ 監督 熊沢尚人


2012年3月6日の読書感想文 ユリゴゴロ 沼田まほかる 双葉社
 ぐいぐいと読ませてくれます。288ページあります。遅い昼食後に読み始めて、途中お昼寝をはさんで午後8時00分頃読み終えました。情景描写に不足な点がありますが完成度の高い作品でした。ホラー、サスペンス、推理が充実しています。心の病がある人にとっては読みたい本です。
 「ユリゴコロ」とは、「拠り所(よりどころ)」を聞き違えたものです。「依り所」とも解釈します。気持の依り所なのです。それは「家族」を指します。困ったときに頼るところがファミリーなのです。
 読書中に主人公亮24歳の母親が入れ替わったことには気づけます。背景と具体的な手法、理由はわかりません。
 1冊の本のなかに2本の小説が交互に収められています。表の物語よりも裏の物語のほうがメインです。裏の物語は芥川賞選考対象作品です。人間の汚れた悪の部分があからさまに表現されています。秘密のノートです。秘密は読書欲をそそります。公序良俗を否定する内容です。自傷行為を幇助(ほうじょ、助ける)する記述もあります。登場人物は仕置き人(殺し屋)です。途中、秘密ノートの内容は創作であろうと、読み手の気持はいったん薄まりますが、その後濃厚さは復活します。裏作品は「胎児」のようです。この1冊の本が母親の母体で、裏作品が「胎児」という構成です。この本は「妊婦」なのです。
 戸籍に関する記述に多くのページ数が使用されています。戸籍にこだわるのは20代までです。年齢を重ねるにつれ戸籍というものから気持は遠ざかってゆきます。戸籍は行政が住民を管理するための行政のものであって、本人の所有物ではありません。戸籍制度に従っていれば生活が保障されますが、家族の実体は家庭にあります。親子が一緒に暮らせる期間は短い。早い人は義務教育終了後、親から離れます。親子は、離れてからの期間がはるかに長い。読書マニア受けする作品でした。わたしは十分満足しました。

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