2018年05月05日

すごいね! みんなの通学路

すごいね! みんなの通学路 西村書店 2018課題図書

 もう、30年ぐらい前、この本と類似する本を読んだことがあります。
 場所は、ヒマラヤ山脈のちゅうぐらいの海抜の土地で、そこに住むこどもさんが学校へ行くのですが、距離は遠く、道は険しい、氷河をとおったり、細くて危険な標高のある山道を歩いたり、川を越えたりというものでした。過酷な通学路なのですが、こどもが学校に行く理由は、勉強をして、いい仕事に就いて、十分な収入を得るためというものだったという記憶があります。高い教育=安定収入につながるという一面があります。(それがすべてではありませんが、読み書き計算、企画立案、実行の頭の良さは必要です。)
 それは、単一の国の通学路の紹介でしたが、この本は、複数の国のこどもたちの通学路を紹介しています。

 ではこの本を読んだ感想を書きます。
 まず、ひととおり、1回目をとおすように読みました。そのとき、ページを見て感じたことを、付箋(ふせん、ポストイット)にメモして貼りました。次にもう1回ていねいに読みこみました。また、付箋にメモをして貼りました。

 わたしは、付箋を見ながら感想文をつくります。

 まず、ノーベル平和賞を受賞したマララさんの紹介があります。実はマララさんは、地元のパキスタンでは嫌われている一面があると別の記事で読みました。英国居住で、守られている。経済的に保障されている。されど、この本を読むと彼女は、私財を出して女学校をつくっています。彼女への援助資金は地域の人たちのために還元されています。なかなかできることではありません。当然と言えば当然ですがたいしたものです。15歳のときにタリバンから銃撃された彼女ももう20歳になりました。人類にとっての偉大な人です。

 この本の趣旨は、「こどもには教育を受ける権利がある。同様に、女子には教育を受ける権利がある。おとなは、子どもに平等に、教育を受けさせる義務がある。」 だから、危険な思いをしてでも、こどもたちは学校へ通う。その通学路、安全ではない、世界の通学を紹介するものです。

 通学がたいへんで学校へ行かなくなる子どももいるでしょう。
 学校でいじめられたから学校へ行けなくなる子どももいるでしょう。
 世界のことを知り、日本のことを考える。
 アフリカウガンダでは、子どもたちが机を運びながら通学しています。通学ではありませんが、日本も昔は、修学旅行にお米を持参して行きました。持参したお米を旅館に渡すのです。第二次世界大戦後の小学生の修学旅行ではそれが普通でした。

 地震、津波、台風、自然災害で、橋がくずれて傾いている。それでも、その橋を渡って学校へ行く。自治体なり国家には、橋を修理するお金がない。(税金がない。) インドネシアの写真を見ながらそう考えました。

 上と下、川をまたいで、ワイヤーを渡してあるだけです。上のワイヤーにつかまって、下のワイヤーに足をのせて、少しずつ体をむこうの岸へと動かす。怖い。

 友だちと遊べるから学校へ行く。
 学校が大好きだからあぶない思いをしてでも学校へ行くとありますが、しかたがないから行くという理由もあるでしょうし、友だちがいるからということもあるでしょうし、新しい知識や体験があるのが楽しみということもあるでしょう。

 本で紹介されている国は、日本、フィリピン、中国、インドネシア、タンザニア、ハイチ、ラオス、インドです。インドは暑い国という先入観がありますが、紹介写真を見ると氷河の上をはって移動しているように見えます。インドでも寒い地域はある。

 通う手段として、自分の足、川の渡り方は、まるで、人間ロープウェイ、人間リフト、人間ケーブルカーで、信じられないというおもいがします。危険です。まるで登山です。崖をのぼります。はしごを登ります。山腹の狭い通路みたいな道を歩きます。うそみたいです。
 訓練と体験で、強くなれるでしょう。知恵もつくでしょう。

 日本の都市部、中心の商業地区にあるマンション住まいのこどもたちは、地下街が通学路です。以前、その光景を見たことがあります。まだ、開店していないお店を横に見ながら、地下街の廊下のような幅の広い通路を集団登校して小学校へ行くのです。田舎ではちょっと考えられません。

 人間は生きている。人間はこれでも生きていくというメッセージが伝わってきて、今年読んだよかった1冊です。

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