2018年03月12日

京都ぎらい 井上章一

京都ぎらい 井上章一 朝日新書

 かれこれ10年ぐらい前、40代の頃、しょっちゅう、古都、京都、奈良を訪れていた。
 仕事に追われていかなくなって久しい。
 そんなことを考えながら読み始めました。

 京都府に生まれて育った人の反骨の書です。(さからう)
 吉田兼好を最初思い浮かべましたが、徒然草とは、ちと違うと、読んでいる途中で思いました。
 冒頭付近にあった「屈辱の数々」 という文節がいい。

 名士の実名入りで、そういうことを書いてもいいのかなあと心配する部分もあります。言論の自由が尊重されるいい時代です。(それ以降もヒヤヒヤする部分はあります。)

 特徴として、漢字をわざとひらがな表記にしてあります。雰囲気づくりでしょう。「そだった」、「なやんだ」、「じたい」、「おちつき」、「わすれられない」、「ふえた」、「こまった」、「くりかえす」

 地図で、右にあるのが、左京区、左にあるのが右京区。南を向いての左右とする。

 京都における差別社会の実情です。排他的でもある。まあ、日本的でもある。

 「嵯峨」のことが田舎とさげすまれるとあります。意外でした。修学旅行で行きました。その後も何度か訪れました。嵯峨野、嵐山、天竜寺など。素敵なところということが一般的な評判だと思っています。先日読んだ寂聴さんの本を思い出しました。

 花街は、さびれてきている。
 おもしろいけれど、ぼんさんのことをこういうふうに書いていいのだろうか。(好色)
 最後は、「お金」 か。

 比較論です。洛中と洛外に始まって、嵯峨と伏見、宇治、京都と東京、大阪と広がっていきます。
差を相当、根(ね)に持っておられます。さらに、明治維新後、江戸時代以前と、時代も素材に上がってきます。

 無血明治維新革命に対する反論、「西陣」の名の由来(戦争の陣地が西)など、おもしろく興味深い。

 京都は、歴史の街、観光の街、寺院の街、自然の街、大学の街

 京都人らしい自尊心、作者は否定するけれど、やはり、京都人です。

 血統にこだわる。怨みを晴らしますの文化(怨霊対策のための寺院建設)、後醍醐天皇への慕情

 言葉調査です。「常套的:じょうとうてき。いつもの。お決まりの」、「黙約:もくやく。暗黙の約束」、「大伽藍:だいがらん。寺の大きな建物」、「行在所:天皇がいくときの仮の宮。あんざいしょ」、「瘴気:しょうき。山川の毒気。熱病のもと」、「手練:てだれ。腕利き」、「てらい:ひけらかす」、「僭称:せんしょう。身分を超えた称号を勝手に名乗る」、「敵愾心:てきがいしん。敵対心」、「大人の事情:はっきり言いにくい。諸般の事情。大人の都合」、「詭弁:きべん。いいくるめるためのごまかしの議論」、「イデオロギー:思想」、「残渣:ざんさ。ろ過したあとの残りかす」

良かった表現として、「だれかの犠牲のうえにあるみちたりたくらし」 同感です。


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