2017年05月09日

がん消滅の罠 完全寛解の謎 岩木一麻

がん消滅の罠 完全寛解の謎 岩木一麻 宝島社

 タイトルだけ見るとなんのことかわからない。(正直、別のタイトルのほうがいい)
 カバーの裏を読みました。がんにかかって、保険金が生存中に支給される。しかし、がん細胞が消滅する。保険加入者はまる儲け。保険金詐欺ではないか。そういう推理小説のようです。

 2016年と2006年を行ったり来たりします。2006年にとある大学の先生が退職される。これがきっかけになるようです。そして、2016年に事件の活動がある。ただし、まだ、それは事件として発見されていない。医師が術中に犯罪行為を行ってもなかなか表面には出にくい。そんな記述があります。読者には、その内容はまだわかりません。

(詳細に)
 作者は、「寛解かんかい」という言葉にこだわりがあります。がんの症状部分が薬で治癒されることで、一部寛解と全部寛解があると解説にあります。

 最初のトリックは、種明かしの前に気づけました。しかし、そのあと、本題のトリックに入っていくのですが、わかりません。「がん治療薬が進化した」は、解答ではないでしょう。この先、作家はどうするのか。

 ここまで読んで(57ページ)自分の考えは、「がんではない人にがんの診断をして(CT写真とか嘘のもので)、がん保険をもらえる対象者にする。治療はしたようにみせかける」

 たぶん将来の推理のために、「慈恩会・じおんかい」、「殺人事件ではなく、活人事件(かつじん・人を生かす)」、「救済!」、「腫瘍崩壊症候群:TLS」、「医師にできない。医師でないとできない。これまで医師に成し遂げられなかったこと」、「自分たちがしていることは正しいが、犯罪である」、「Aは肯定、Bは否定」、「憂鬱な人には想像力がある」、「情緒と認知との関係」、「先生の娘は強姦された(作品中に「復讐」の目的あり)

(つづく)

 読み終えました。
 癌の教本を読むようでした。
 仕掛けは巧妙です。

 世間の人は、こういう作品を望んでいるのだろうかと考えました。
 自らが癌、あるいは、親族が癌で、親しき人を亡くす人は多い。
 作中、登場人物が思う「自分はあと何度桜の花を見ることができるだろうか」は、自分自身も同じ季節に同じく思うことであり、他の方も同様でしょう。

 地名は身近です。浦安、湾岸、市川市、上野など。

 わからなかった言葉として、「臨床はやってない:現場」、「喧伝:けんでん。いいふらす。販売の宣伝とは異なる」、「プラセボ:偽薬」

 不思議だったこととして、「大学の研究者(先生)も学食で食事をとる」

 いいなあと思った表現として、「裏社会」

 ショックだった文節として、「ふたりにひとり、一度はがんになる」


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