2016年12月06日

猫鳴り 沼田まほかる

猫鳴り 沼田まほかる 双葉文庫

 パンチのある恐怖に満ちた作品です。90ページまで読んだところで感想を書き始めます。
 ふたつの物語が進行していきます。ひとつは、流産した信枝40歳の話、もうひとつは、13歳ぐらい不登校行雄の話、公団住宅の最上階に住む父子家庭の中学生です。どちらも猫がからんできます。行雄の話のほうがおぞましい。殺意が起立してきます。行雄の同級生有山アヤメというトカゲみたいな女子がふたつの物語をつなぐようです。

 話ははずれますが、文庫カーバーをはずしたあとの表紙の絵がGoodです。

 猫の復讐がある恐怖小説だろうか。詩を読むようで独特な部分もあります。

わからなかった言葉・表現などです。「目つきがしんねりしたところ:ねちねちして粘り強い」、「有山アヤメんのしれっとした無表情:すました顔」、「こどもの背をねめつけた:にらみつける」、「噎せ返る:むせかえる。漢字を初めて見ました」、「浮腫み:むくみ。これまた、漢字を初めて見ました」、「猫鳴り:猫がゴロゴロとのどを鳴らす音」

印象の深かった表現です。「神と融合する」、「ブラックホールの位置にいる」、「(父親が拝み(おがみ)たおすこと)会社でいつもやっていることだ」、「折り合いなんて一生つかない」、「(解説の記述から)きれいは、汚い。汚いはきれい」

(つづく)

 読み終えましたが、わけがわかりませんでした。
 幼児に殺意をもっていた中学生行雄のその後はどうなったのだ。
 「解説」を読んで、意味をつかめました。
 モンちゃんというオス猫の生命であった20年間の時が流れていたことに気づけませんでした。

弱い者が弱いものをいじめるという不快感を伴った恐怖があります。それと、この小説は恐怖小説ではなく、「生」への執着を描きながら「死」への終着を追求した小説でした。

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