2016年03月13日

ロマンシェ 原田マハ

ロマンシェ 原田マハ 小学館

 まだ、読みかけです。原田マハさんの小説は2本ぐらい読んだことがありますが、この作品は毛色がかなり違います。これまでに読んだ作品は高尚な美術小説でした。対してこの作品は軽妙なコミックです。(以前の記録を調べました。「太陽の棘(とげ)」と「楽園のカンヴァス」の感想文が残っていました。)
 出だし付近からはじまりころがる展開の内容は、これから読む人のためにここに書くことができません。

 両親とひとり息子がいる。絵の世界で食べていくことを目指している息子はフランス・パリに絵画留学をする。

 ロマンシェ:小説家のこと。98ページにあります。

(つづく)

 140ページまできました。
 なんというか、立て板に水が流れるようなスムーズな文章さばきが素晴らしい。実は、オカマ言葉の一人称連続記述方式なのですが、フランスの香りに満ちています。リトグラフ工房(版画製作所)などの記事を読んでいると、フランスに行きたくなります。幻聴でシャンソンが聴こえてきそうです。
 深刻なお話は何もありません。ケセラセラ、どうにでもなれ、どんなふうでも、幸せになれる。そんな気分で、楽しみながら、読み進んでいます。

 ひとり息子の遠明寺美智之輔(おんみょうじ・みちのすけ)20代初めがパリに絵画留学をして、彼がファンである小説<暴れ鮫>の作者に遭遇して、というような流れで進んでいきます。今は、彼が24才ぐらいです。

(つづく)

 読み終えました。
 <暴れ鮫>の作者高橋春子42歳独身女性、ペンネーム羽生光晴(はぶ・みつはる)が、絶筆(作家をやめる)を思い立つが、思いとどまり、創作活動を再開するという内容です。そこまでの間のドタバタ騒ぎが、性別交錯をからめてコメディ仕立てにしてあります。そして、恋物語、失恋物語(ただし、男が男に失恋する)です。シャンソンの世界みたい。(男が男を愛するのがフランス文化とか、シャンソンのテーマと思いこんでいる自分がいます。)

 最後は「回転」方式です。
 高橋春子の心境は、原田マハさんの心境なのかなあ。こういう作品を創造したかったことが、本音なのかなあ。ちょっと疑わしい。

 記憶に残った名文句として、「男でも女でもない、どっちつかずの自分が嫌い」

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