2016年02月17日

世界の果てのこどもたち 中脇初枝

世界の果てのこどもたち 中脇初枝 講談社

 第二次世界大戦を扱った作品です。
 満州国の記述から始まり、終戦の年を迎えるので、満州からの帰国困難状態が書かれているのかと思いながら読んでいましたが、今は、100ページすぎ付近で、場所は横浜、空襲後、親兄弟を亡くした茉莉6才か7才ぐらいの記述です。登場人物は、まだ、満州に残っているであろう珠子、八重子、そして、満州から帰国した美子(朝鮮人)がいます。朝鮮人差別の記述もあります。現在、80代近くになっているであろう女性たちの小学校低学年時代です。

「珠子6才」両親、兄と姉、妹光子。満州から始まる。
「八重子(珠子より1歳上7才)」8人家族。祖母70才超え、両親、兄勝彦、2兄福二、妹明子と良子
「茉莉」横浜三春台関東学院の運動場が見える家。お隣に朝比奈家:2男勝士、3男清三
「冨田(朴)美子パク・ミジャ朝鮮人6才」満州国の次に横浜へ。母とふたり。
満州国の部落として、ドウヌオエ(学校、寄宿舎あり。児童は、土曜日に帰宅し、日曜日に帰校する。生徒18人、先生1人)、ウエンリームートウ(昭和18年9月に珠子が日本の高知県から来て住んだ部落。八重子もいる。)、ホワンティエン(もとは中国人が住んでいた地域の東部に日本人が住み始めた)
ちょっとつながりがわかりませんが、武の弟1年生仁、5年生一夫

言葉として、「オンドル:韓国古来の床暖房方式。かまどの熱で温める」、「アンペラ:筵(むしろ)」、「チョッパリ:日本人軽視の差別用語。豚足(とんそく。下駄や足袋たびを指して)」、「ポソン:足袋(たび)韓国衣装」、「コムシン:ゴム靴」、「シンガポール陥落:1942年」、

(つづく)

 読み終えました。
 敗戦時、満州からの帰国の過酷さ、残酷さ、凄惨さ、帰国できなかった中国残留孤児の悲しい記述があります。
 それらは、すでに、過去に、戦争体験者の作家らによって、小説、ドラマ、映画化されて、いくつもの感動を呼び起こしてきた内容です。
 今なぜ、戦争を知らない作者が、この内容に取り組んだのか。気持ちが押されるものがあったのでしょう。
 作品の後半部はさすがに泣けました。
 戦争をしてはいけないというメッセージがよく伝わってきました。いま、もしかしたら、戦争を知らない世代によって、再び、戦争への道が開かれていくのではないかという作者の危惧があるのかもしれません。
 朝鮮人差別の記述はけっこう読むのがつらい。戦後70年以上が経って、戦争を体験していない世代、人口が、お互いの国で増えているのに、いったいいつまで、対立心をもって対応していかなければならないのだろう。もういいかげん、復讐心をなくしてもいいじゃないだろうか。父系国籍主義はなくなって、今では、外国人の顔をした日本人がたくさんいる時代に変化しています。

 作品中では、「関東学院」の記事が多用されているのが不思議でした。軍隊と関係あるのかなあ。

 女性3人の波乱の人生でした。

 本屋大賞ノミネート作です。全10冊を全部読んで感想を書きました。毎年の自分の楽しいワークです。今年は、候補作10作品が発表される前に9作品を既読でしたので気持ちがよかった。4月に大賞が発表されますがもう興味はありません。予想してもこれまで当たったことがないので予想もしません。
 わたしはもう、来年の候補作に関心が移っています。これからまた、来年の候補作になるであろう文芸書を読みあさっていきます。


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