2015年09月28日

大放言 百田尚樹

大放言 百田尚樹 新潮新書

 名作「永遠の0(ゼロ)」の作家さんです。彼の書いた小説のほとんどを読みました。永遠のゼロといういい作品を書いた人なのに、失言(本人はそうは思っていない)が絶えません。残念に思っているのはわたしだけではないでしょう。

 彼の作品を読み始めた頃、一歩危ういものがあると感じました。作品は純粋な小説家の筆記ではなく、事件記者の記述です。新聞や雑誌記者タイプの人物が書く描き方です。
 ひとつの事件を突き詰めて、だれかを攻撃する。その攻撃は、あるときは、脅しともとれる。

 「大放言」を読み始めて、いま、102ページあたりです。感想を書き始めます。
 現在の日本人像を憂い、将来は悲観的です。同感です。この国はいずれ、高齢者だらけの社会を通過して、人口減少、学力・経験値低下の民族集団になります。高みを目指さず。経済は衰退化します。遠い過去に栄光を誇ったスペインやボルトガルのようになるでしょう。しかたがありません。国民がそれを望んでいるのです。おそれなければならないのは、中国の侵略です。武器とか戦争ではなくて、経済や資産で日本の財産が奪われていくのです。

 内容はなかなか面白い。こどもに対する失望が書いてあります。わたしも以前業務妨害をする中学生たちに対して、どうやったらこんな人間に育つのかと憤りを感じたことがあります。生まれるところからやりなおしてもらいたいとすら思いました。

 作者は、他者への干渉が多い。放置でいいのではないかと思う。自己主張が強い。本を出して、収入を得るわけだから、生活のために発言せざるを得ない立場にはある。
 「対立」ではなくて、明日は我が身と考えて、「共存」を目指した方がいい。
 作者自身の誤解もあるのではないか。作者が言う事実がどこまで確定している真実なのかはわからない。韓国人の平均寿命は24歳だったが42歳まで伸びた。本当だろうか。

 この作者さんの作品の特徴に、「読みやすさ」があります。ページ数が多くてもすらすらと進んでいきます。
 読みや=(イコール)ストレートさです。感情がむき出しです。だから反発される。

 人間のずるさ、日本人の民族性(米国に攻撃されて敗戦したのに米国を慕う)、単一民族純血主義、いじめ社会である日本国、井の中の蛙(かわず)の平和主義・主張、本音は続き、読み手も共感する部分が多い。
 こどものままおとなになって老いていく。こどもがこどもを育てている社会。損をすることがわかっているのに商売をしたがる素人ビジネスマン。それが日本人、それが人間。

 加工されたテレビ番組を見なくなってから久しい。書中では、つくりものの感動ドラマの作り方が書いてあります。人民の人心を操作しようとするマスコミの人間たち。仕事でいる知識だからしかたなしに新聞をとっているけれど、退職したらせめて夕刊はやめようと思っている自分がいます。マスコミに対する不信感は強い。マスコミは正義の味方ではない。収入を得るために餌を探し求めている姿しか思い浮かびません。

 ハゲと薬の関係話は面白かった。
 「ブラインドタッチ」はいいと書いてありますが、だめだと思います(障害者差別用語として)、たしかタッチタイピングという。障害者と障碍者の字の違いはピンときません。

 「ツイート」というものがどういうものか知りません。作者はツイートで攻撃を受けたそうです。ツイートといものをやらなければいい。やらなくても人は死なない。知らなくても生活できる。

 作者の口調は激しい。読み手が若ければ感化されるかもしれません。長い人生経験を経てきて思うに、刺激物に動揺させられることがなくなりました。小さな個々の人にとっては、結局どちらでもいいことなのです。生きる時は生きるし、死ぬときは死ぬ。
 1億人以上の人間が群れになっている国で、固有名詞の氏名を知られて活躍できる人はいい悪いは別として選ばれた人です。大部分の人は名もなく質素に暮らして寿命を終えていきます。


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