2014年10月10日

跳びはねる思考 東田直樹

跳びはねる思考 東田直樹 イースト・プレス

 常識の枠を破って、世界観が広がる本です。会話ができない自閉症である著者が自らは意識をもっていることを証明しています。その知能レベルは高い。22歳同年齢の健常者以上です。奇跡を感じます。驚きました。
 自然を享受し、物事を考える。歴史をふりかえり戦争や差別を分析して繰り返される人間の愚かさを思う。民話「鶴の恩返し」から人は罰(ばち)があたることを恐れる宗教観を導き出す。人は本能を抑えて説明を必要とする。信じられない人がたくさんいるから、信じられる人間関係を大切にする。人間は時間の流れの中で常に死に向かっている。著者は人間とは何かを希求する哲学者です。いくつもの金言が記されています。たくさんの本を読んだ人の文章です。
 当初、パソコンほかの機器の発達が彼の能力開発と表現力の向上に貢献したと考えました。違っていました。彼が使用しているのは、1枚のペーパーのような文字盤でした。アルファベットを指でさして意思表示をするのです。シンプルです。文字による会話の最後に必ず「おわり」が入ります。読書の途中からその「おわり」の部分は意識して読まないようにしました。そのほうが読みやすい。
 こどもの頃は、つらくて苦しいことばかりだったとあります。挨拶は苦手でできない。
 行動を自分でコントロールできない。フラッシュバック(突然過去の嫌だったことが脳によみがえる)で、体が勝手に跳びはねる。
 ストレス解消法は乗り物に乗ること。時間と空間の感覚の旅ができるそうです。悲しいとか、つらいとかいう感情から解放されるそうです。
 家族からの声かけは、光そのものだった。自身は、別の世界から現実の出来事を見ているような感覚がある。
 カラオケが好き。会話はできなくてもカラオケはできる自閉症患者さんはいるそうです。彼は、音楽と文学の重要性を説きます。
 心に残ったフレーズとして、「明日に希望を求めるのではなく、今日のやり直しを明日行う。」それから、「僕が流した涙と同じくらい、家族も泣いてくれた。」心優しい人です。類似集団にレッテルを張るのではなく、ひとりの個人としてみる。
 イラストはどなたが描いたのかはわかりませんが、文章の内容とマッチしていました。


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