2024年03月29日

これはのみのぴこ 谷川俊太郎・作 和田誠・絵

これはのみのぴこ 谷川俊太郎・作 和田誠・絵 サンリード

 『これはのみのぴこ』というのは、『これは、のみの、ぴこ』という意味で、さらに、『これは、蚤(のみ)のぴこ』という、蚤の名前が、『ぴこ』ということなのです。
 こどもさん向けの絵本です。1979年(昭和54年)にできたお話です。

(1回目の本読み)
 今の子どもは、『蚤(のみ)』を知らないのではないか。(わたしでさえ、わたしがこどものころに、一度だけしか「蚤(のみ)」を見たことがありません。とても小さくてぴょーんとはねます)

 ねこの名前が、『ごえもん(五右衛門)』です。
 こどものころ、近所の家にあった五右衛門ぶろに一度だけ入ったことがあります。
 お釜が熱いので、板を踏んづけて沈ませながら入りました。恐ろしかった記憶が今も残っています。
 石川五右衛門のことです。有名な大泥棒です。1590年頃の人物。関ヶ原の合戦が1600年です。
 捕まって、かまゆでの刑に処せられたのですが、同時に、こどもであった息子もお釜に入れられたとだれかから聞きました。お湯が湧きだした最初は、熱くなるお湯からこどもをかばって、お湯の上にこどもを持ち上げていたのですが、お釜の底は鉄で、だんだんお湯が熱くなると、五右衛門は自分のこどもを自分の足の下にしいたと聞きました。こどもは死んじゃいます。残酷です。その話が、ほんとか、どうかは知りません。そんなふうにだれかに聞きました。おとなから聞いた覚えです。最後は、五右衛門もお釜の中で死んじゃうんです。ふろに入れてあったのは、わたしが思うお湯ではなく、油だったという話もあります。ちょっと思い出しました。小学校低学年の時に、学校の先生から聞いた話でした。

 この絵本に出てくるねこに、『五右衛門』と名づけたということは、そのねこは、どろぼうねこだったのかもしれません。
 ひとつ思い出しました。小学生の時に、石川くんという男の子がいて、石川五右衛門とからかわれていました。気が強い子だったので、『五右衛門』と呼ばれるとかなり怒っていました。

 絵本では、だんだん文章が長くなっていきます。
 そういう連鎖か。落語の『寿限無(じゅげむ。ながーいお名前)』みたいです。
 左のページは、長い文章、右のページが絵です。
 さいごはどうなるのだろう。
 ずーっと話が続いて、「おしまい」でした。

 谷川俊太郎さん・文:1931年(昭和6年)生まれ。92歳
 和田誠さん・絵:2019年(令和元年)83歳没。料理愛好家平野レミさんのだんなさんで、テレビ番組徹子の部屋で、平野レミさんがゲストのときに、だんなさんのことが毎回紹介されます。

(2回目の本読み)
 文章は、ぜーんぶ、ひらがなです。
 ところどころのページで、ちっちゃなのみを絵の中でさがす楽しみがあります。ちびっこと読み手でさがしましょう。のみは、どーこだ?

(のみの)ぴこ→(ねこの)ごえもん→あきら→あきらくんのおかあさん→おだんごやさん→ぎんこういん→おすもうさん→かしゅ(歌手)→どろぼう→やおやさん→しちょう(市長)→はいしゃさん(歯医者さん)→ほるんのせんせい(ホルン(管楽器)の先生)→(ねこの)しゃるる→のみのぷち(蚤のぷち)
 のみから始まってのみで終わる。物語づくりの基本パターンです。
 そして、よーく見ると、のみの名前が、最初と最後で違うのです。のみの名前は、『ぴこ』で始まって、最後の、のみの名前は、『ぷち』で終わっています。オチですな。(お話の締め。結末)

 世の中には、いろいろなものがあるということを、ちびっこに教える絵本です。
 ちびっこに音読させると、読み方の練習にもなるでしょう。  

Posted by 熊太郎 at 07:32Comments(0)TrackBack(0)読書感想文