2023年11月13日

そんなとき なんていう? セシル・ジョスリン

そんなとき なんていう? セシル・ジョスリン文 モーリス・センダック絵 たにかわしゅんたろう訳 ゆかいなれいぎさほうの ほん 岩波書店

 アメリカ合衆国のこどもたちに礼儀作法を教える絵本です。
 絵はわかりやすい。『かいじゅうたちのいるところ』という有名な絵本の絵を描いた方です。
 2016年(平成28年)初版の絵本です。

 なにかしら上流階級のお上品な雰囲気がただよっています。
 紳士が、あかちゃんゾウをきみにあげると言う。『そんなときなんていう』というパターンです。
 男の子が、『はじめまして』と言う。
 あいさつ、礼儀の絵本です。

 想定が奇想天外です。
 突然竜が出てきて、口から赤い火を吹いた。
 ちょうどそのとき勇敢な騎士が現れて、竜の首をちょんぎった。
 『そんなときなんていう?』です。
 『どうも ありがとう。』

 ユーモアをまじえながらお話は進んでいきます。
 英語の教習本のようでもあります。
 『あらごめんなさい』かなと思ったら、『すみません。』でした。
 思いつかない言葉の表現もあります。
 『ケーキをとっていただける?』

 『もういちどお願いします』かなと思ったら、『しつれい、なんて おっしゃいましたか?』でした。

 アメリカ合衆国の人がつくった絵本ですが、都市名として、イギリスの『ロンドン』が出てきます。
 女王さまに招待されて、スパゲティの夕食です。
 『ごちそうさまでした。もう十分です』かなと思ったら、『さがって よろしいですか?』でした。なかなか当たりません。

 次の『ごめんなさい。』は、当たりました。

 『おはよう』かと思ったら、『ありがとう、げんきですよ、あなたは?』でした。
 不思議な絵本です。
 あいさつの本です。
 緊迫した状況(たとえば、海賊船の上)が多いのに、平然と、淡々としているのです。じたばたしてもしょうがないからなのか、出てくる人は、きちんとあいさつをされるのです。

 最近の日本の出来事ニュースのようです。
 熊が出てきました。
 熊のオーケストラが出てきて、どういうわけか、演奏のあと、熊が人間を食べちゃうぞーーなのです。
 『やめてちょうだい』かと思ったら、『これで おしまい。さようなら』でした。「おしまい」は、熊に食べられておしまいではなくて、笑顔で熊にバイバイの手をふる若い淑女(しゅくじょ。品位のあるおしとやかな女性。つつましくおしとやかな女性)なのです。  

Posted by 熊太郎 at 06:31Comments(0)TrackBack(0)読書感想文