2023年03月13日

こんどちびっこたちにプレゼントする絵本

こんどちびっこたちにプレゼントする絵本

(以下は、2023年1月のときの記述として)
 忘れないようにメモしておきます。
 いつもふるさとの九州に帰省したおりに、きょうだいの孫であるちびっこたちに絵本をプレゼントしています。
 翌月2月に訪問予定です。きょうだい、甥姪おいめいとその配偶者、きょうだいの孫たちの三世代が集まって、大衆食堂で昼食懇親会を開いています。
 たまにしか会えないので、あれもこれもとおみやげの量が増えてしまいました。
(5歳の女の子と3歳の女の子にあげたい絵本など)
 まあちゃんのながいかみ たかどのほうこ 福音館
 ちくわのわーさん 岡田よしたか ブロンズ新社
 むれ ひろたあきら KADOKAWA
 自分が手づくりをした絵描き歌の歌集。ポケモンとか、動物、恐竜、アンパンマンのキャラクターの絵があります。歌いながら絵を仕上げていきます。
 ピカチュウとカビゴンの仮装のためのかぶり顔部分が付いたバスタオル。
 ドラえもんとドラミちゃんの人形
(4歳の女の子と2歳の男の子にあげたい絵本など)
 まあちゃんのながいかみ たかどのほうこ 福音館
 ドアがあいて… エルンスト・ヤンドル・文 ノルマン・ユンゲ・絵 斉藤洋・訳 ほるぷ出版
 にじいろのさかなとおおくじら マーカス・フィスター作 谷川俊太郎訳 講談社
 絵描き歌の歌集。
 ピカチュウとクロミちゃん(サンリオのキャラクター)の仮装のためのかぶり顔部分が付いたバスタオル。
 ドラえもんとドラミちゃんの人形

『2月に開催した昼食懇親会のときのようすです』
 5歳の女の子と3歳の女の子は、絵本は、家に帰ってから見るそうでした。本読みよりも体を動かすことのほうが好きそうです。
 意外だったのは、5歳の女の子が、わたしが鉛筆書きをした原稿のコピーでこさえた、お手製の絵描き歌の歌集をずーっと右手に握ったまま離さず、気に入ってくれたことでした。うれしかった。ポケモンの『イーブイ』の絵が大好きだそうです。

 4歳の女の子は、たぶん物語好きの素質があります。
 最初は『にじいろのさかなとおおくじら』を見ていましたが、それは、短時間でした。お魚のウロコの一部で、キラキラ輝く部分があるので、最初はそこにひかれます。
 次に『ドアがあいて』を長いこと声を出して読み上げていました。最近ひらがなが読めるようになったそうです。でもまだカタカナは無理で、ママに助けられながら読んでいました。楽しそうにママと会話をしていました。
 それがすむと、さらに『まあちゃんのながいかみ』を長いこと読んでいました。絵本を縦にしたり(長い髪を強調するために、絵本を縦にして、髪の長いことをアピールする構図になっている絵の見開き2ページがあります)、横にしたりして、かなり気に入ったようすでした。

 みんな心健やかに(すこやかに)育ってほしい。  

Posted by 熊太郎 at 07:47Comments(0)TrackBack(0)熊太郎の語り

2023年03月11日

ウクライナ戦争 小泉悠

ウクライナ戦争 小泉悠(こいずみ・ゆう) ちくま新書

 BSや地上波のテレビ報道番組でよく見かけるお方(おかた)です。
 軍事評論家としてのわかりやすい解説に好感をもっています。
 奥さんがロシア人、複雑なお心もちでしょう。小さなお子さんもおられます。(237ページに、妻エレーナさん、娘さんが、ありささんとあります)
 この本は売れています。読んでみます。

 本の帯に『第3次世界大戦はあり得るのか?』と書いてあります。
 ところが、この本以外のほかからの情報として、先日テレビで『第三次世界大戦はすでに始まっている。2022年2月24日ロシアがウクライナに侵攻した日が開戦日である』と説明があり、自分は納得しました。
 たいへんなことになりました。ロシア大統領の言動がうらめしい。本人に誤算があったのでしょう。短期間で占領できると自信があったのでしょう。
 現時点では、いつ終わるのかわからない状態ですが、自分が思うに、最後はロシアが衰退化するのでしょう。
 いつどこで、決着をつけるのか。ロシア国民と中国が鍵を握っています。

 わたしは、実用書を読むときは、最初にすべてのページをゆっくりめくります。
 237ページあります。
 目次があって、地図があります。
 本の内容は、2021年(令和3年)から始まります。コロナ禍もあって、世界は大混乱です。
 そんな混乱の中で、ゼレンスキー大統領という偉大な人が生まれました。
 命がけで国民を守ってくれる大統領です。
 
 西欧諸国は、ウクライナを犠牲にして無難に話をまとめようとしたような初動(しょどう。初めの動き)が見受けられます。ゼレンスキー大統領に国外退避を勧めています。
 ウクライナの土地がロシアに奪われることは、日本の北方領土が奪われる。さらに、北海道がロシアに奪われることの見込みにつながります。
 他人ごと(ひとごと)ではないのです。
 類似の状況にある他国も同様です。
 
 42ページに『コメディアンVSスパイ』とあります。(なるほど)(その後、コメディアンは、偉大な政治家になり、スパイはコメディアンになったというオチがありました)

 第1章から第5章まであります。
 第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月
 第2章:開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日
 第3章:「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月
 第4章:転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~
 第5章:この戦争をどう理解するか

 ベラルーシという国について考えさせられます。ロシアと心中(しんじゅう。ともに死す)するつもりはないでしょう。
 日本の戦国時代だと、寝返り(ねがえり。裏切り)が頻発(ひんぱつ)しています。

 ハラショー:「いいだろう」というロシア語(許可。同意)が出てきました。(去年読んだ伊坂幸太郎作品『ペッパーズ・ゴースト』を思い出しました。“ハラショー”が出てきます。『ハラショー、アメショー、松尾芭蕉』(相手を仲間だと確認する合言葉でした))

 そうか。ロシアの外相(外務大臣)は、針の筵(むしろ)に座らされている状態なのか。
 腹の中にある自分の意見と自分の口から出す言葉が正反対の状態があるのかも。

 昨年テレビの戦争報道番組を観ていて強烈に記憶に残ったシーンがあります。
 ウクライナの人たちが(ロシアを)『絶対に許さない』(今回のことを)『絶対に忘れない』と何度も繰り返して強くつぶやいていました。大声をあげるのではなく、小さな低い声で何度も繰り返していました。憎しみ、憎悪の気持ちが強い。
 このことは、これから先50年から100年以上、いやそれ以上、半永久的には続く国民感情として、ロシアとの対立になっていくでしょう。(第二次世界大戦を体験した韓国の年配の人たちがもつ日本に対する感情に似ています)
 ロシアの大統領は大変なことをしでかしました。

 ロシア国民の主体性のなさを感じました。
 独裁者に依存する国民性が浮き彫りになりました。
 判断や決定を権力者にゆだねる。
 失敗があった時は、権力者のせいにする。
 自分の頭で自分のことを考えない楽な生き方です。
 あわせて、ロシア軍は強くなかった。
 世界は、誤解と錯覚で成り立っている。
 そんなことを再確認できた出来事でした。

 138ページにロシア軍人によるブチャでの残虐な行為が書いてあります。
 先日読んだ『これでいいのだ 赤塚不二夫 文春文庫』に、赤塚一家の母子5人が、終戦後、当時いた満州から日本へ逃げてくる最中(さいちゅう。父はシベリア抑留に連れて行かれた)のことが書いてありました。
 侵攻してきたソ連軍兵士たちが現地で野蛮な行為をしていました。
 時代と場所が違っていても兵士のやることは同じです。

 ネオナチ国家:日本人には聞きなれない言葉でピンときません。
 ウクライナの人が、ナチスドイツのような人とは思えません。

 核兵器の使用:使った国は、そのときは優勢でも、最後には滅びます。

 全体のページをめくり終えました。

(2回目の本読み)

第1章:2021年春の軍事的危機 2021年1月~5月

 ロシア語とウクライナ語の勉強です。
 マラジェーツ!:ロシア語で「えらいぞ!」
 キエフ:ウクライナ語では「キーウ」
 ウラジミール・ゼレンスキー:ウクライナ語では「ヴォロディミル・ゼレンシキー」
 ハリコフ:ウクライナ語では「ハルキウ」
 ドネツク:ウクライナ語では「ドネツィク」
 ルガンスク:ウクライナ語では「ルハンシク」
 オデッサ:ウクライナ語では「オデーサ」


 ほかの方たちの感想を知りたいと思って、ネットでこの本の読後感想を複数読みましたが、みなさん書き方がむずかしくて、ちょっとわたしには理解ができませんでした。

 2022年2月24日ロシアのウクライナ侵攻が始まる:読み手の自分の思いです。なぜこんなことになったのか。ロシア国民が、独裁者の誕生を許したからです。
 彼の判断と決断で、ロシアとウクライナの人たちが、たくさん亡くなったり、傷ついたりしています。

 ロシアに対する民族主義的野望:特定の民族が中心となって、政治、経済、文化、言語を統一した組織を立てて、特定の民族が利権を独占する。
 今回の戦争の動機とか理由がはっきりしません。ネオナチ思想は、根拠がない。ロシア軍人は自分がなんのために戦っているのかわからない。給料をもらうためにということしか思い浮かべるものがありません。
 動機は、ロシア大統領の意向だけです。
 
 ロシアとウクライナは共有関係にあるそうです。
 歴史、文化、宗教、言語が重なる。
 ウクライナ人の3割から半数がロシア語を母語としている。(母語:ぼご。生まれて始めて話す言葉)
 
 農耕地としての豊饒(ほうじょう。作物が豊か)な土地をもつウクライナです。
 ロシア人とウクライナ人の民族紛争は、土地の取り合いと理解しました。

 トランプ前大統領もからんでいます。
 ロシアにとって、ウクライナに冷たかったトランプ大統領は都合のいい存在だった。
 トランプ大統領はロシアに対して甘かった。(「アメリカ・ファースト(他国の紛争に米国は加勢しない)。見方によっては、トランプ大統領は、ロシア政府側の担当者ポストの位置にいたのではではないかと思えてきます)

 ナラティブ:物語、語り、話術

 バイデン大統領の息子はウクライナの天然ガス企業で重役を務めている。

 なんだか、組織の上層部は、敵対しているようで、実はグル(仲間)の様相(ようそう。ようす。ありさま)があります。

 アレクセイ・ナヴァリヌィ:ロシアの弁護士、政治活動家。野党活動家。ロシアの刑務所に収監されている。

 国民が洗脳されている。(心を権力者にコントロールされている)
 
 ハゲの悪魔:ロシアの大統領のこと。(ウクライナの大統領がそう呼ぶ)
 ウクライナの大統領は、2015年(平成27年)テレビドラマ『国民の僕(しもべ)』にウクライナ大統領役で出演して、2019年(令和元年)に本物の大統領に就任した。まるで、ドラマか映画のようです。

 シュタンマイヤー方式:シュタンマイヤーは人の名前。ドイツ人外務大臣。①住民投票を行う。②ウクライナは、法律を発効させる。③ウクライナは、法律を恒久化させる。 
 ドンパス:ウクライナの東南部に位置する地方。ドネツィク州とルハンシク州
 
 メドヴェチューク:ウクライナの政治家。親ロシア組織『ウクライナの選択』の議長。ロシア大統領の協力者。ウクライナに逮捕されたのちロシアに引き渡された。

 読んでいて考えたことです。
 ウクライナの東南部にはロシア人が住んでいて、ロシア人の自治がある。
 ロシアは、親ロシア地域だけをロシアにとりこめば満足するのだろうと思いつくのですが、ロシア大統領は、ウクライナの国土全体をロシアにとりこもうとしています。なぜだろう。(これから読み続けるとわかるような気がします)

(つづく)

第2章 開戦前夜 2021年9月~2022年2月21日

 読んでいて、ウクライナもロシアと共倒れになる危険性があると思いつきました。
 ウクライナは、経済力を失って、国家が貧しくなるような気がしてきました。
 他国からの援助頼みだけでは……
 自力で稼がねば、国は成り立っていきません。

 (読み手の自分の気持ちとして:ロシアはまえまえから、ウクライナを自国に併合しようという気持ちがあったに違いない。ゆえに、遅かれ早かれこうなっていたに違いない)

[2021年7月12日に発表されたロシア大統領の論文『ロシア人とウクライナ人の歴史的一体性について』]
 どうにでも読み取れる内容です。
 ロシア、ウクライナ、ベラルーシは、民族・言語で共通性をもっている。(だから、ウクライナはロシアに含まれると解釈している。
 この付近を読んでいて思い出した二冊があります。
『同志少女よ敵を撃て 逢坂冬馬(あいさか・とうま) 早川書房』
 (78ページ)『ウクライナがソヴィエト・ロシアにどんな扱いをされてきたか、知ってる? …… ソ連にとってのウクライナってなに? 略奪(りゃくだつ)すべき農地よ(戦争をして、(ウクライナという財産を力づくで奪う)』
 もう一冊あります。絵本です。
『こすずめのぼうけん ルース・エインズワース・作 石井桃子・訳 堀内誠一・画 福音館書店』
 鳥の鳴き声で鳥の種類を分類します。民族を分けるようにみえます。
 こすずめは、ほかの鳥たちから拒否されてばかりです。
 『血統主義(子は親と同じ国籍を取得する)』を感じる外国絵本です。
 民族主義。
 同一民族で国家を築く。
 他の民族を排除し、同じ民族での結束を重視する。

 ロシア大統領いわく『ウクライナなどという民族はない』
 ソ連:民族別共和国制度を導入した。ロシア大統領は、その政策は誤っていたとする。
 ロシア大統領は、ウクライナの独立は、政治的手違いとする。
 なにもかもウクライナと西側(諸国)が悪いとする。
 ウクライナの主権は、ロシアにあるとする。
 自分は悪くない。相手が悪い。
 判断は相手がすべきだ。
 (まるで)他人事(ひとごと)です。
 自分の未熟さが原因なのに、相手のせいにする。
 自立しているようで、自立していない考え方です。

 デタント:フランス語。戦争の危機にある二か国が、緊張緩和すること。平和的共存を目指す。

 開戦してしばらくは『ウクライナの中立化』という言葉を聞きましたが、最近は聞かれなくなりました。

 第二次ミンスク合意:ベラルーシにあるミンスクで2015年にウクライナ東部ドンパス戦争の停戦を意図したウクライナとロシアの合意。
 ①治安項目:戦闘停止、重火器撤去、ロシア軍の撤退
 ②政治項目:ウクライナが、ドンパスに特別の地位を認める。現地で住民投票を行う。

 ①と②の順序で折り合いがつかない。ウクライナは①が優先。ロシアは②が優先。
 ドイツ外務大臣が提唱したシュタインマイヤー方式は、まず②を行う。そのことをウクライナ大統領が受け入れようとしたことに対して、ウクライナ国民の世論が反発した。

 CSIS:戦略・国際研究センター。アメリカ合衆国ワシントンに本部を置く研究機関

 読んでいて思うのは、ベラルーシが戦争の協力者であること。
 されど、ウクライナの首都で核爆弾が爆発すれば、ベラルーシにも放射能を帯びた空気が届くでしょう。(ベラルーシはそのことをわかっているはずです。ベラルーシもこの戦争の犠牲者なのかもしれません)

 著者のもつ性質として『軍事屋(ロシア侵攻は確実と踏んだこと)』そしてもうひとつが『ロシア屋(ロシアに愛情をもつ者として迷いがあった)』があるそうです。
 結果として、ロシア大統領が、今回、何をしたのかがわからない。

 ウクライナの大統領は、ウクライナ語を話せなかった。ロシア語が母語だったということは、なかなか衝撃的なことがらです。
 
 ロシア国とかロシア人とかは、嘘をつく民族。お互いに信頼関係を築ける相手ではないと思ってしまいます。
 相手が弱っているときに、相手の領土へ攻め込んでくるという卑怯(ひきょう)なことができる民族と感じてしまいます。
 
 ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国がある。ロシア大統領が両国を正式に国家として承認した。
 第二次ミンスク合意は、破棄(はき。捨てられた)された。
 
 97ページから98ページは、まるでドラマです。
 永遠の命をもつ人間はこの世にはいません。
 『神』という存在が、本当はいるのではないかという錯覚をもってしまいます。

第3章 「特別軍事作戦」 2022年2月24日~7月

 ウクライナの首都キーウから30kmの地点にあるアントノウ空港をロシア軍が占拠して、多数のロシア軍人を置く。
 ロシアが、キーウにある議会と官庁を占拠する。
 臨時議会を招集して、傀儡政権(かいらいせいけん。ロシアの意向に従う政権)を樹立する。
 斬首作戦と呼ぶそうです。(ざんしゅさくせん。行政組織のトップの首をとる)

 ロシアの幹部からウクライナの幹部に降伏をうながす電話が入る。
 ベラルーシの幹部からウクライナの幹部に降伏を勧めるメッセージの電話が入る。

 ウクライナの国内にスパイやスパイ的組織がすでにできあがっていた。(ただし、本当に戦争になるとは内通者であるスパイ自身が思っておらず、スパイは、お金だけもらって、逃げ出して仕事を放棄したという状態だったようです)

 味方の顔をした敵(スパイ)がたくさんいます。
 ウクライナ国内は、スパイだらけです。
 特別軍事作戦:軍事力をあまり使わず、短時間で、敵の主権を奪うつもりの作戦だった。
 チェールノービリ(チェルノブイリ)原子力発電所の責任者は、ロシアの協力者だった。(だからロシア軍に原発を乗っ取られたのか)
 デルカチ:ウクライナの議員。ロシアの長年のスパイ。
 スペツナズ:ロシアの特殊任務部隊
 ロシア大統領は、ウクライナ大統領に死んでもらいたかった。(政治的にという意味がある)
 現実に侵攻しているドラマを見ているようです。
 ロシアには互いの『信頼関係』がないようです。
 若いころ、仕事場で習った言葉を思い出しました。『組織というものは、外部からの力で壊れるのではなく、内部からの力によって壊れる』
 
 『予想』というものは、はずれることもある。いやいや、けっこうはずれる。100%予想を信用してはいけない。
 『予想』がはずれる理由のひとつが『慢心(まんしん。いい気になる。おごりたかぶる)』です。
 ウクライナ軍は組織的な戦闘力を保有し、維持していく力があった。
 対戦車ミサイル『ジャベリン』が効果を発揮した。
 ミーム化:真似することによって、人から人に伝わり、増殖していく状態。
 ウクライナ人は、ウクライナのために戦うことを決心した。ウクライナ人は、ウクライナの領土に関して、ロシアに譲歩しない。(譲らない。ゆずらない。ロシアの意見や要求には従わない)
 ロシア空軍は機能しなかった。
 潰走劇(かいそうげき):戦いに惨敗して敗走すること。
 
 ロシアの生物・化学兵器の使用に関する報道が一時期ありましたが、最近は聞かなくなりました。
 
 西側諸国は、ロシアが、自分たちと直接衝突にならないことを願っている。

 停戦交渉がストップしたのは、ロシア軍人たちによるブチャでの大虐殺が原因である。
 もう元には戻れない。
 ロシアは国際社会から追放されるような状態にあるが、ロシアの味方をする国々がいる。
 ロシア軍人のブチャにおける行為は『悪』である。
 これが『戦争』である。
 ニーチェの言葉を思い出しました。
 ニーチェ:1844年-1900年。55歳没。ドイツ・プロイセン王国の思想家。
『ツァラトゥストラはこう言った 上・下 ニーチェ著 氷上英廣訳 岩波文庫』
 ニーチェという人は、ドイツの哲学者です。記述はキリスト教の預言書のようです。ツァラトゥストラ氏は孤独です。精神世界のことが綴られていきます。
 教わらなければ人間は獣(けだもの)と同じ。
 教育の重要性を説く部分だろうと意味をとれた箇所がありました。人間のなかには、「おのれ」と「わたし」が同居している。「おのれ」は本能で、「わたし」が理性です。
 そして両者は常に争っている。人間の心を形成しているものが「知識」と「知恵」そして「理性」です。人間は最終的に人間の手によって滅びると預言しているようです。
 『戦争』は「おのれ」の世界なのでしょう。人間の強欲(ごうよく)がむきだしになります。

 この本は中身が濃い。
 今年読んで良かった一冊になりました。
 
 ブラフ:ハッタリ。こけおどし。虚勢(きょせい)、脅し(おどし)

第4章 転機を迎える第二次ロシア・ウクライナ戦争 2022年8月~

 ドヴォルニコフ:2015年シリアへの軍事介入での有能な貢献者。統括司令官(2022年5月半ば以降姿を見せなくなった)解任されたという話あり。ロシア大統領が軍のやりかた、ありかたに、口出しを始めたのではないか。
 読んでいると、ロシア大統領自身が、ロシア軍の中で、爆弾のような存在に思えてきます。
 ショイグ:国防大臣。軍人としての経験はない。ロシア大統領のイエスマン。

 HIMARS:高機動ロケット砲システム。ハイマース。
 武器の供与について、アメリカ大統領は、第三次世界大戦を避けたいがために、言葉を操ろうとしている。(あやつろうとしている)

 M270多連装ロケットシステム:MLRS

 ウクライナの戦法として、ロシアの軍部隊を攻撃するのではなく、部隊を支える部分を狙う(弾薬集積場)、燃料集積場、橋など)。兵たん(前線への補給路)と火力を妨害する。
 ウクライナは、南部へ兵力を集めると見せて、東部のロシア軍を南部へ移動へと導いて、手薄になった東部へ進出した。(日本の戦国時代の戦法をみるようです)
 ロシアの体力をゆっくりと消耗させていく。
 
 戦争が始まったころ、経済制裁でロシアは大きなダメージを受けるという話がありましたが、そのようには見受けられません。とかく、予想ははずれます。お金が動くときは、別のルートで動かせたりもします。

 ロシアが本格的な戦争にもちこめない(総動員)理由が書かれています。
 虚構の箱の中にあるような国です。
 戦争をやるなら一般国民を巻き込まずに職業軍人だけでやってくれです。
 一般人に実害が出たら、政府を支持しないです。
 国民不在の戦争です。
 奇妙です。
 大都市部のお金がある国民の動員は避けて、少数民族や貧困層に戦争への動員をかける。
 
 核使用(原子爆弾)について書いてあります。
 パターンが3つあるそうです。
 読んでいて自分なりの受けとめとして、
 ①大規模爆発(現実にはありえないだろうとの予想)
 ②限定的爆発(広島、長崎のような中小規模の都市に落とすということか)
 ③被害のないところで爆発(威嚇いかくのため)
 
 エスカレーション:戦争の規模が段階的に拡大する。

 ロシアが核兵器を使用したら、アメリカ合衆国は、同程度の核使用でロシアに応える(こたえる)。潜水艦から、核弾頭を搭載したミサイルを目的地に発射する。
 ロシアがヨーロッパにある米軍基地を核攻撃したら、ロシアの友好国ベラルーシに同様に核攻撃をするという発想もある。(なにやら、地球の終わりが近づいて来るようです。ロシアも理解している。ゆえに核戦争にはならないだろう)

 思うに、ウクライナ国民のロシアに対する憎悪は強い。核攻撃をされても気持ちはひるまない。なおさら憎悪は強まる。『絶対に許さない』『絶対に忘れない』というウクライナの人たちの言葉が思い出されます。

 昔、映画館で観た邦画『宇宙戦艦ヤマト』をなぜかしら思い出しました。
 
第5章 この戦争をどう理解するか

 戦争の『性質』と『特徴』についての記述があります。善か悪か。
 性質:なんのために戦争が行われているのか。戦争と社会との関係。
 特徴:戦争の様態(ようたい:形、ようす、ありさま)。武器。戦術。
 
 特徴は、『無人航空機(UAV)』が大掛かりに使用されている。ドローン。それから、宇宙が利用されている。衛星通信、衛星航法システム。されど、80年前のドイツ・ロシアの戦争と同じ部分がある。場所の取り合い、攻撃のしかた、一般市民への暴力など。

 ハイブリッド戦争:『情報(政治、経済、文化、宗教、心理、思想など)』を戦争の材料にする。敵国を不安で不安定にする。軍事力を抑制する。政権を機能不全にする。

 軍事オタク(愛好者)の文章が続きます。
 研究者の文章です。
 ヒズボラ:1982年に結成された政治武装組織。レバノンシーア派イスラム主義の政治組織。

 ウクライナ大統領は、米国や英国へと自由自在に移動します。
 ロシア大統領は、中国へは移動しません。ウクライナ大統領のほうが、役者が一枚上なのか。
 ロシアは、国民の言論統制や、思考において心理を誘導します。反対勢力者を捕まえて自由な発言を封じ込めます。圧力はいつまで続けることができるのか。

 迷走しています。
 だれがこの戦争を止めるのか。
 ロシア国民が止めるしかありません。
 給料が払われなくなったら、兵隊の動きは止まるでしょう。
 武器を使い果たしたら、もう攻撃はできないでしょう。
 いつかその時が訪れる。
 
 『徴兵制』について考えました。
 他国にはある徴兵制です。日本はだいじょうぶだろうか。
 あっという間に他国に支配されてしまわないか。のんきでいいのか。
 思い出した本があります。
 『カエルの楽園 百田尚樹 新潮社』人をカエルにたとえた擬人法です。
 「カエルの楽園」であるツチガエルのナパージュ王国が日本でしょう。国民は、三戒(①カエルを信じろ ②カエルと争うな ③争うための力をもつな)で、争いを放棄しているから争いには巻き込まれないとかたくなに信じています。(カエル=さまざまな国の国民です。ツチガエルが日本人、ウシガエルが中国人、エンエンが韓国。巨大な鷲がアメリカ合衆国です。最終的に、ナパージュ王国(日本)は滅びるのです)

 ウクライナは、ネオナチ国家ではない。一部にそのような組織があったが(アゾフ連隊ほか)、国民全体のことではない。

 読みながら思うに、ロシア大統領は単純にウクライナの土地が欲しかった。
 ロシア大統領に失策(エラー)があった。見込み違いがあった。
 軽はずみなことで、事態の収拾ができない状態になっている。
 
 『核兵器』を脅し(おどし)に使うと効果がある。
 戦争当事者国になる可能性として、日本は直接的には大丈夫だろうが(間接的にはある)、台湾は危うい(あやうい)。
 いろいろあります。
 ロシア大統領をとめるのは、ロシア国民と思いたい。
 それでも、今回の件は、半永久的に続く案件です。ひきずります。ウクライナ人は、ロシアがやった行為を『絶対に許さない』し『絶対に忘れない』のです。
 本には、世界はもはや安全ではないと書いてあります。(欧州、大西洋の空間、そして、日本を含むインド太平洋の空間に危険な要素がある)

 読み応え(ごたえ)のある本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:15Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年03月10日

クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳

クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳(ひかつ・ともみ) 福音館書店

 なんだろう。表紙にあるこの動物は。
 『クネクネさん』とある。
 夢を食べる空想の動物『獏(ばく)』のようだ。
 現実にいる生き物としては『マレーバク』のようだ。たしか名古屋東山動物園にいました。
 ぶあつい表紙をめくると「なんでこんなにたくさんの、ももひきの絵があるのか」(のちに、ダンスを踊るときにはくタイツだとわかりました)

 マラカス:楽器。振って音を出す。マラカスにふれる機会はそれほどありません。カラオケぐらいでしょう。キューバ音楽でよく使われる。

 お仲間集合です。三人体制です。敬老会みたいです。
 クネクネさん
 パーマさん:あたまの上にボールみたいな髪の毛がのっています。
 フワフワさん:ライオンみたいなたてがみが、顔を囲んでいます。
 クネクネさん:3ページでは、バクではなくて、犬に見えます。
 
 こどもを喜ばせる絵本です。
 リズム絵本です。
 読み聞かせは、歌に変わりそうです。

 絵はふざけているように見えるのですが、まじめな絵本です。
 
 8ページまできて、これまでは、三人とも男だと思って読んでいましたが、どうもみなさん女性のようです。婦人会のようです。絵本で、このようなパターンの描き方は初めての体験です。新世界です。

 おばちゃんor(オア。または)おばあちゃんの世界。
 こんな三人が現実にもいそうです。
 たとえば、フラダンスチーム。

 むかしはやったマンボなんとかという曲を思い出します。マンボ:南米ラテン音楽。
 調べました。『マンボNo.5(ナンバーファイブ)』チャチャチャです。マラカスを振っている人がいます。
 絵本の中は、幼稚園の発表会のようでもあります。
 フワフワさんの舞台はしっこ乗りがおもしろい。
 
 発表会の途中ですが、昼食タイム(時間)です。
 食事は大切です。
 談笑タイムです。
 身内の演奏、身内の観覧なので、自画自賛の雰囲気はあります。
 
 食後の縁起で、クネクネさんは失敗してしまいました。
 でも、パーマさんとフワフワさんは、食後のためかいねむりをしていて、クネクネさんの失敗に気がつきません。
 起承転結のストーリーの流れのうちの『転』の部分でした。
 話は急に理屈っぽくなりました。
 失敗はつきもの再起をうながすふたりです。(パーマさんとフワフワさんがクネクネさんを元気づけます)
 絵本を読みながら、読んでいるほうもクネクネさんを応援します。
 がんばれーー クネクネさん!
 いいぞーー クネクネさん!
 おお、去年のサッカーワールドカップでなんども聞いた言葉が出てきました。『ブラボー! ブラボー!』この絵本に、あのときの選手の発声の起源があったのかも。

 毎日のなにげない暮らしのなかに、幸せがある。
 そんな人生の機微(きび)を表現した絵本でした。
 機微(きび):表面には表れないちいさな心配り。
 2013年(平成25年)発行の絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:52Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年03月09日

福岡県博多櫛田神社(はかた・くしだじんしゃ)

福岡県博多櫛田神社(はかた・くしだじんしゃ)

 前回訪れたのは、たぶんもう二十年以上前のことです。
 もう記憶が薄らいでいます。
 そのときは、境内(けいだい)に大相撲の力士が持ち上げたというような大きな石がありました。
 横綱・大関の名前が表示してあった記憶です。



 いい雰囲気でした。
 外国からのお客さんの姿も目立ちます。
 お着物姿の日本人女性も多い。



 屋根の下に『風神・雷神さま』がおられます。
 次におられますのが『雷神さま』です。
 正面に向かって、左側におられます。



 正面に向かって右側におられるのが『風神さま』です。
 雷神に向かって、『あっかんべー』をしているそうです。
 雷神が暴風雨を起こそうぜと風神を誘っているのですが、風神は『やーだよ』と意思表示をしているそうです。人間関係といっしょで、神さま関係にもいろいろあるごようすです。



 お祭り(博多山笠)の飾りです。
 二十年以上前に来たときの飾りは『決闘巌流島(がんりゅうじま)』でした。
 宮本武蔵と佐々木小次郎による巌流島の決闘シーンでした。
 今回は、次の写真が『義経千本桜』です。



 そして、もうひとつありました。
 次の写真は『怪童金太郎』です。
 写真撮影はにがてで、へたくそなので、わかりにくくてすいません。
 もっと近づけばよかった。







 お馬さんの銅像です。



 牛さんの銅像です。
 写真をながめていたら思い出したことがあります。
 たしか、滋賀県比叡山延暦寺(えんりゃくじ)の入口付近にも牛さんの像がありました。
 お寺さんと牛って関係があるのでしょうなあ。



 近くにあった『博多町屋ふるさと館』に入って、ゆっくり見学させてもらいました。
 博多山笠のようすについて、メガネのようなゴーグルをかけて映像を見ました。また、スクリーンの映像も見ました。博多弁講座とか、昔の生活をのぞくようなところもありました。
 展示の入口付近に年表がありました。
 たまたま前日に、福岡県飯塚市にある歴史資料館を見学したのですが、同館と同様に『西暦57年 魏志倭人伝(ぎしわじんでん。奴国(なこく。日本)が後漢に使いを送る。後漢が奴国に「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)という金印を贈る(福岡県志賀島(しかのしま)で発見』とか『西暦239年 卑弥呼が(ひみこが)魏(ぎ)に使いを送る。魏志倭人伝(ぎしわじんでん。魏志倭人伝は、読んだことがありますが、意外に長い文章だったので驚きました)』のことが書いてあり縁を感じました。福岡県は海を越えた大陸と交流がある古代からの歴史がある地域です。

 櫛田神社を見学したあと、おなかがすいていたので、近くのうどん屋で定食を食べました。
 そのあと、博多駅まで歩いて、列車内での夕食代わりの駅弁を買って、新幹線に乗りました。
 博多駅は、ものすごい人出で驚きました。
 去年の晩秋に、宮城県を旅行したのですが、東北の大都会である仙台市仙台駅周辺での人の多さに驚きましたが、九州の都である博多駅はさらに人が多い。
 されど、この日、新幹線で下車した名古屋駅は、夜7時半ごろでしたが、博多駅よりももっと人が多かった。びっくりしました。
 これだけおおぜいの人が動いているということは、たくさんのお金が動いているということです。
 なんだかんだといいながらも、日本の経済力のパワーは強い。

 駅ごとに人の雰囲気が異なります。名古屋駅は、人は多いけれど地味です。みんなが同じような雰囲気で淡々と移動しています。まあ、車の街ですから、個性的な人は、車で移動をしている人が多いこともあるのでしょう。
 いっぽう、博多駅を流れていく人たちには、勢いがあります。
 個々が、文化的な雰囲気をまとっておられます。
 『華(はな)』があります。
 スポーツ選手とかタレントさんみたいな人もいます。
 ファッショナブル(おしゃれ)であったり、国際的であったりもします。
 ここにいるとなにか楽しいことがありそうだという期待感があるのが博多駅です。

(その後の追記 博多べい)

 写真を整理していたら櫛田神社の境内(けいだい)にあった写真で『博多べい』が出てきたので追加することにしました。
 豊臣秀吉の意向で、黒田官兵衛と石田三成が博多にこの塀をつくったそうです。
 写真を見て、愛知県名古屋市熱田区にある熱田神宮に『信長塀(のぶながべい)』という塀があることを思い出したのです。
 織田信長は、今川義元との桶狭間の合戦(おけはざまのかっせん)の前に、熱田神宮で勝利祈願をしています。祈願どおり勝利がかなったので、お礼として熱田神宮に『塀』を寄進したのです。
 そのことを思い出して、戦国時代の武将たちにとって『塀』というのは、ずいぶん思い入れがある物体だったのだなと妙な解釈をした次第です。


  

Posted by 熊太郎 at 06:59Comments(0)TrackBack(0)福岡県

2023年03月08日

これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝

これでいいのだ 赤塚不二夫自叙伝 文春文庫

 以前、著者の娘さんの本を読んだことがあります。『ゲゲゲの娘、レレレの娘、ラララの娘 水木悦子 赤塚りえ子 手塚るみ子 文藝春秋』それぞれ有名な父親をもつ娘さんたちの対談集でした。おもしろかった。水木しげるさん、赤塚不二夫さん、手塚治虫さんたちの娘さんたちです。有名漫画家の娘さんたちです。
 父親が亡くなったあと、娘たちは、父親の作品をむさぼり読み、亡き父親が残したメッセージを読み取ろうとします。また、作品中に自分をモデルにしたキャラクターを探そうともします。父と娘の関係とか愛情にまで言及(げんきゅう)が至ります。
 有名な漫画家さんの家族は派手な生活を送っているものとの誤解がありました。中小企業、家内工業のようなもので、地味で、かつ身近に倒産の危機があるものでした。また、父親3人は仕事に対してとても真剣で、天才といえども朝から晩まで、あるいは夜も寝ずに徹夜で何日もマンガの構想を練り、描(か)いていたことがわかります。

 さてこちらの本を読み始めます。
 著者は昭和10年生まれ(1935年)で、わたしの親の世代です。
 満州で生れて、第二次世界大戦後、帰国されています。たいへんなご苦労があった戦争体験者の世代です。ご本人は平成20年(2008年)8月2日に72歳でご逝去されています。
 この本は、1993年(平成5年)に単行本で発行されています。
 構成は①戦中編満州1 ②満州2 このあたりまでが、10歳になるまでのころでしょう。
 続いて③戦後編1大和郡山(奈良県でしょう)と新潟県でのこと ④東京でのこと

 とりあえずすべてのページを全部ゆっくりとめくってみました。
 文章がしっかり書き込んであります。
 全部で211ページあります。
 思い出話でもあります。50代後半のときに原稿をまとめられたのでしょう。66歳ぐらいのときに脳出血を起こされています。手術をされて、以降、創作活動は休止されています。(意識不明のまま6年間ぐらいが経過して、72歳でご逝去されています。その6年間の間に、妻と前妻が亡くなっていますが、本人はご存じありません)

『戦中編(満州1)』
 現在の北京市(ぺきんし)北東部にある古北口(こほくこう)生まれ。本籍は新潟市だそうです。
 北京は行ったことがあるので、地図を見てイメージしてみました。古北口は、ずいぶん山のほうにあるところでした。万里の長城があるところのようです。自分は八達嶺というところの長城を見学しました。(はったつれい。登るのがたいへんで、わたしはインチキをして、一方通行を逆行したら、中国人男性警備員に警棒で脳天をコーンとたたかれました。「おそるべし中国」と、恐怖におののきました)

 著者の父親が、特務警察官です。日本と対立する中国のゲリラ対策対応が業務のようです。ずいぶん危険そうな職業です。髭(ひげ)を生やして(はやして)いた。怖い人というイメージだった。
 読んでいて、子育てがにがてな男親だったのだろうと思いました。
 父親の息子に対する夢は警察官になってくれることでした。厳しい反面酒席では下ネタの歌ばかりを歌っていた。(日本人男性の原点を見るようです)
 本人の日記のような記録が残っている。『星霜の記憶』星霜:せいそう。年月、歳月、一年。昭和8年12月5日結婚。父26歳。母24歳だった。ああ、だから、作品天才バカボンに警官が登場するわけか。
 著者は、産婆さん代わりの近所の奥さんにとりあげられたそうです。(出産時のこと)
 わたしも自宅で産婆さんの手によって産まれました。半世紀以上前は、それがふつうの出産でした。
 自分がいて、その下に、妹、弟、弟とお生まれになっています。昔の女性はたくさんこどもを産みました。
 内容は、きちんとした記録文を読むようです。

(つづく)

 父は新潟生まれ農家の七人きょうだいの末っ子。だから名前が『藤七(とうしち)』。吃音(きつおん)があった。
 軍隊に入隊して憲兵になったが、満州に渡り警察官になった。
 パールー:中国共産党軍。八路軍(はちろぐん)

 戦時中のことの記述は壮絶です。
 平和な現在をのんきに過ごしている今の日本人にとっては、記述内容は身が引き締まる思いがします。生きるか死ぬか、殺されるか、殺すかの世界です。法令は命を守ってくれないこともあります。
 中国人に対して、残虐非道(ざんぎゃくひどう)なことをすれば命を奪われます。
 財産をひとりじめしない。富(とみ)をひとりじめすると命を失います。ワケワケ(分け分け)することが平穏と安全につながります。
 父親の人間観を表す言葉があります。『敵も味方も同じ人間じゃないか』父親は中国人の村人に物資を分け与え続けます。
 天才バカボンのモデルはお父さんだそうです。息子からみて父親は『これでいいのだ』という生き方をめざした人だったそうです。

 ペチカ:ロシアの暖房器具。暖炉(だんろ)兼オーブン。

 記述内容は、まあ、昭和時代です。他人のこどもでも悪さをすれば、叩きます(たたきます)。体罰OKの時代です。
 
 滝沢家(たきざわけ):満州大連小学生当時の親戚。著者は身の安全のために預けられた。
 生きていくための心意気があります。
 読みながら思うこととして、一見(いっけん)ばかなことを描いて(あるいは書いて)いると思われている人は、実は知的な人なのです。
 日本では想像できない中国大陸の変化が激しい自然があります。(ふだん水のない川が豪雨によって短時間で大河に変化する)

 昭和20年8月15日が終戦記念日、満州に居る著者は小学4年生です。
 これから生きるか死ぬか、中国に置き去りになって中国残留孤児になるかの緊張の中で、日本への帰国を目指します。
 敗戦国の国民の厳しい生活が描かれています。戦争に負けた国の国民の悲劇があります。中国人に対して、これまでの上下関係の立場が逆転します。
 当然、日本人が中国人に追いたてられます。それでも、著者の家族を救おうとしてくれる中国人がいます。父親がこれまで中国の人たちを大事にしてきたからです。

 父親はシベリアへ送られます。
 翌年昭和21年6月、母子5人で満州から日本への帰国にチャレンジです。かあちゃんと小学5年生の長男の著者と長女、長女の背中にはまだ生後5か月のあかちゃんの次女、そして、4才の次男がいます。こどもたちは、はぐれたら中国残留孤児になってしまいます。こどもを売ってくれという中国人たちがいます。おそろしい。
 帰国の経過の悲惨さとして、なかにし礼さんの作品『赤い月』があります。みなさん、ほんとうにご苦労されました。
 (たまたまですが、この部分を読んだ翌週に、福岡県飯塚市にある歴史資料館で、満州から帰還する家族を描いた大型の油絵を見ました。この物語の内容に合致する情景が描かれていました(えがかれていました)油絵のタイトルは『満州から引き上げる母子』でした)

 ふと読んでいると『東洋タイヤの社宅』とういう安全な場所に家族が移動できたとあります(中国人のおかげです)
 これもまた、たまたま偶然なのですが、現在自分が保有している株のなかに『TOYO TIRE(トーヨータイヤ)』があります。ちょっと嬉しくなりました。同じ会社ではないのかもしれませんが、なんとなく親しみを覚えました。
 
 戦後満州に進駐したソ連兵の残虐さが表現されています。ウクライナに侵攻したロシア兵と同じです。現地の人たちに暴力をふるいます。許せません。
 
 話は飛びますが、先日、電子書籍に目を通していたら、ベトナム人は日本人以上に優秀な頭脳と体力をもっていると紹介された文章を読みました。現地に滞在したことがある日本人の方の記憶でした。
 案外日本人は島国意識で、自分たちが一番だと誤解しているのかもしれません。
 ベトナム人は、知恵と体力で、米国の軍事力に負けなかった(ベトナム戦争)と書いてありました。

 今年読んで良かった一冊になりました。
 漫画家の方なので、ギャグが飛びかうのかと思っていたら、まじめな一冊です。

 奉天(ほうてん現在の瀋陽市(しんようし。北朝鮮の北西に位置する)から葫蘆島(ころとう。北京の東に位置する。日本人帰国者の収容所があった。ここで日本に帰国するための乗船順番を待った。ここには、港がある)
 
 戦争で人間の心が崩れていく様子が書いてあります。ひどい。

 長崎県佐世保港へ到着しました。
 先日番組『東野&岡村の旅猿』で、平成ノブシコブシの吉村崇さんをゲストに迎えて、岡村隆史さんが船を操縦して佐世保港の軍艦を見学していたシーンがありました。
 佐世保港は、軍国主義時代の歴史の地です。昭和時代初期は、外交手段が戦争でした。

(つづく)
 
 65ページから戦後編①(大和郡山・新潟)です。昭和21年6月15日が長崎佐世保港への上陸でした。
 母親の実家がある現在の奈良県大和郡山市内で暮らす赤塚一家です。著者は小学5年生です。のちのちの作品となる『おそ松くん』の下地がつくられる生活内容です。(チビ太のモデルとなる人物が近所にいます)
 母方祖母、かあちゃんの妹2人、弟1人、そこへ赤塚家の母子5人が入りますが、いちばん下のお子さん、まだ生後6か月のあかちゃん女児は亡くなってしまいました。
 家は、狭い家です。
 『枇杷(びわ)』の話が出ます。おいしい果実です。わたしも農家だった父方祖父母の熊本県の家にいたころにたくさん枇杷を食べました。畑にたくさん枇杷の実がなっていました。
 大きくなって、スーパーマーケットで枇杷が売られているところを見てびっくりしました。
 枇杷が、買って食べるものだとは知りませんでした。その値段の高さに二度びっくりしました。
 たぶん農家のこどもは、枇杷以外の作物でも、似たような体験をしたことがあると思います。

 読みやすくなりました。これまでは、戦時中の暗さがありました。
 内容が明るくなりました。

 奥村:ボスの小学生男児。赤塚不二夫氏が子分。

 ハチに刺された患部へおしっこをかけて、おしっこを薬代わりにする。(わたしも小学二年生の時に同様にやってもらったことがあります)

 荒木又右衛門の家があった:江戸時代初期の武士。大和郡山藩(やまとこおりやまはん)の剣術師範だった。新陰流の剣豪。

 こどもたちの危険な遊びが連続する戦後、昭和23年ころのことです。されど、自分も思い出しみると、昭和30年代から40年代にかけても、同じような危なっかしい(あぶなっかしい)遊びを野山でしていました。今思い出すと、よく事故にならなかったなと、ぞっとすることもあります。

 読んでいると『こどものころの貧乏体験』は、将来への財産になることがわかります。
 そして本を読むことが大事です。
 著者は、エジソンや野口英世の伝記を読んで『境遇がぼくと似ている。ぼくも貧乏だから、これは絶対うまくいくにちがいない……』と思ったそうです。
 そう言いつつ、ボスの命令でこどもたちが、警察署にある本棚から本を盗んでいくのがおもしろおかしかった。
 本のあちこちに『郡山警察署(こおりやまけいさつしょ)』のゴム印が押してあったそうです。(このときの本との出会いが、著者の漫画家志望と実現に生かされます)

 著者の小学生のころの思い出が語られ続けます。
 キャラクター『チビ太』のモデルが登場します。モデルさんは、まだ3歳です。こどものグループは、3歳から小学6年生まで、一団となって遊ぶのです。

 このころは、親も子も教師も兄弟姉妹も日本全国体罰の時代でした。軍事教育の影響でしょう。暴力の時代をくぐりぬけていくチビ太の存在があります。
 今だったら警察沙汰(けいさつざた)ですが、当時はふつうの日常でした。こどもは、親にたたかれ、先生にたたかれ、同級生や兄弟姉妹にたたかれることが多かった。
 今と比較して、人間の生存能力が高かった。なにくそという気持ちが強かった。

 恋の思い出があります。

 本を読むことで、著者の体験を読者である自分も体験することができます。本の魅力です。

 差別があります。『満州』から来た人間に対する差別です。『よそ者』です。
 著者は、差別されたくやしさを晴らすために漫画家を目指します。
 人間をランク付けする人がいます。
 生まれや育ちでランクをつける人がいます。
 もっているお金の多さでランクをつける人がいます。
 学力でランクをつける人がいます。
 いろいろあります。
 
 寝小便の話が出ます。
 あの当時、寝小便をするこどもは多かった記憶です。
 トイレ事情が要因のひとつでもあります。
 トイレは屋外で別棟だったり、共同便所だったりしました。夜はそこまで歩いて行かないと用を足せないのです。

 母親は映画がすごく好きだったそうです。
 遺伝なのでしょう。ストーリーづくりが必要な漫画家の素養を母親から引き継いでいる著者です。
 母親はこどものころの事故で右目が義眼だったそうです。

 小学6年生の著者と母親は、父親の実家がある新潟へ奈良県内から米の買い出しに行きます。過酷な旅程です。父親はシベリアに抑留されています。
 その時代、その時代の時代背景の中で、人間がせいいっぱい生きています。
 
 テヅカジチュウ:好きな漫画家の名前をたずねられて、小学六年生の著者は、漫画家の名前を正確に読むことがまだできませんでした。「手塚治虫(てづか・おさむ)氏」です。(著者は成長して、その後、手塚治虫氏に出会います)

 著者は母方祖母からいろいろなことを教わります。年寄りと孫の良好な関係があります。
 松根油(しょうこんゆ):松の切株からとる油。
 テグス:釣り糸
 たたらをふませる:よろめいた勢いで足踏みをさせる。

 昭和23年9月、こども3人は父方実家の親せきがある新潟県へ移ります。
 母親は奈良県の自分の実家に戻り、父親はシベリア抑留中です。
 著者は、満州で世話になった滝沢家へ世話になりに行き、妹と弟は父の実家へ移ります。
 
 昭和24年12月2日、シベリア抑留生活を終えた著者の父親が福井県舞鶴港に帰還しました。ソ連のナホトカ港から船で、3日間かかったそうです。港に着くと、ハガキ5枚と千円が支給されたそうです。そのころの連絡手段は郵便が基本だったのでしょう。
 夫婦・親子の対面は4年ぶりです。12月6日に夫婦が再会しました。
 昭和24年に、小学4年生だった著者は、中学2年生に成長しています。
 
 昭和25年1月8日、父と妹と弟は、新潟県のお寺で生活を始めます。(お寺の一室を住居としてあてがわれた)。父親の仕事先は農協です。1月20日ごろ、滝沢家から著者が合流します。おやじさんは作品『天才バカボン』のパパのモデルです。『これでいいのだ』のパパです。
 おやじさんの教えです。『生活が貧しいからといって、心まで貧しくなっては絶対いけないぞ!』(貧困であることを、犯罪の言い訳にしてはいけないのです)
 『一週間、塩をなめてでも頑張るんだ。』おやじさんの言葉です。
 あとのページに、著者は、お金がなかったから修学旅行に行けなかったとあります。
 
 漫画雑誌『冒険王』(わたしもこどものとき読んでいました)それから『漫画少年』という雑誌があったそうです。
 こどものころは、「いとこ」とつるんで遊ぶことが多い。
 漫画雑誌が人生を支えてくれる。
 手塚治虫作品のSF(サイエンス・フィクション)に没頭する。
 昭和26年ころから著者の漫画投稿が始まります。

 新潟人と関西人の比較があります。両者は対照的です。
 新潟人は保守的です。
 関西人は開けっぴろげです。
 新潟の若い人は、東京に行って、東京人になりたい。
 
 嵐勘十郎:映画時代劇スター。1903年(明治36年)-1980年(昭和55年)。77歳没。作品として『鞍馬天狗シリーズ』ほか。
 大河内伝次郎:映画時代劇スター。1898年(明治31年)-1962年(昭和37年)。64歳没。作品として『丹下左膳(たんげ・さぜん)シリーズ』ほか。
 
 昭和25年8月24日から奈良県の実家にいた母親も新潟に来て、ようやく親子五人の生活が始まります。

 父親の言葉がおもしろい。
 『赤塚藤七は男でござる』

 『行商』の記事があります。
 父親と著者ふたりで、砂糖、煮干し、お菓子などを売り歩きます。
 私も小学校一年生ぐらいの頃、父方祖母について、行商をしていたことがあります。祖母はリヤカーを引きながら、点在する集落を回っていました。
 著者親子は、もうからないからという理由で、昭和26年に行商をやめています。

 著者は中学を卒業すると、新潟市の看板屋に就職します。高校には行けません。経済的に無理なのです。だから著者の学歴は中卒です。
 著者に映画館での洋画との出会いがあります。作品はジョン・フォードの『駅馬車』でした。強烈な印象を受けたそうです。
 昭和29年9月、著者は、東京へ出ます。著者は19歳でした。著者は昭和10年(1935年)生まれです。

(つづく)

戦後編②(東京)
 著者は、江戸川区小松川というところにある化学工場で働きます。エビス工業です。そういえば、路線バスの旅の蛭子能収(えびす・よしかず)さんも、看板屋で働いて、漫画家を目指していたことがありました。
 著者の労働時間は、朝6時から夜8時までです。過酷です。
 休みの日は、朝10時から最終回まで同じ映画を何度も見続けます。
 鑑賞した作品として『聖衣(せいい)』『帰らざる河(かえらざるかわ)』
 著者の20歳前後の暮らしぶりが、自分自身とも重なります。休日はひとりで繁華街にある映画館に行っていました。とくに夏は、職場の独身寮の部屋の中が暑かったので、映画館の冷房を利用して暑さをしのいでいました。

 記述内容は、昭和26年あたりから昭和27年あたりです。
 著者の漫画制作にかける努力はすさまじい。時間をかけています。
 以前読んだ本『父「永六輔」を看取る(みとる) 永千絵 宝島社』を思い出します。永六輔さんは、永六輔というキャラクターを演じていたという娘さんの手記でした。
 全国のラジオ愛聴者ファンが知る永六輔氏と生身の父親永孝雄氏との間にはかけ離れている距離感がありました。
ファンにとっての素敵な人は、彼がつくった人物像です。そんなことが娘さんの視点で書かれていました。
 そういえば、俳優である高倉健さんも渥美清さんも、役を演じる時と素の自分(すのじぶん)の時は別人だったというお話も聞いたことがあります。

 中卒の20歳ぐらいの赤塚不二夫さんが、2歳年下高校生の石森章太郎(いしのもりしょうたろう)さんに気を使います。中学卒の赤塚さんは、高校生である石森正太郎さんの書く難しい漢字入りの文章に驚嘆されています。
 昭和30年8月に長谷邦夫(ながたにくにお)さんを含む3人は、手塚治虫先生に会っています。
 先生から、漫画だけじゃだめだ。ほかのことも体験しなさいというアドバイスをもらっています。

 ギャグ漫画:なにもないところに、なにかをつくりだす技術がいる。

 石森章太郎(いしのもり・しょうたろう):本の中の記述では、漫画づくりの天才です。1938年(昭和13年)-1998年(平成10年)60歳没。

 漫画家志望者の若者たちが集まっていた『トキワ荘』のお話が出ます。
 昭和32年、著者の母親もトキワ荘に来ます。(著者には、マザーコンプレックス(母親依存)があったことがあとあとのページに書いてありました)
 著者のかあちゃんは、トキワ荘のみんなの食事をつくり始めます。藤子不二雄さんのふたりのお母さんもいます。石森章太郎さんのお姉さんもいます。他人同士が家族のように固まって暮らしています。なんだか、すごい。なんだか、天才バカボンとドラえもんとサイボーグ009が同居しているような錯覚におちいります。
 
 モッコ担ぎ(かつぎ):土木工事の時に棒でかつぐ網状の入れ物。

 出版社との連絡方法が『電報』です。
 電話が普及していなかった時代です。
 
 昭和33年6月、家を建てるために借りた借金の返済に苦慮している父親がいます。
 
 著者26歳、妻21歳で結婚です。漫画制作のアシスタントの女性です。相手に好かれて押し切られての結婚です。
 そして作品『おそ松くん』の誕生です。
 『シェー』『ダヨーン』『ホエホエ』『……デヤンス』の誕生です。
 
 戦後の日本人の暮らしぶりがわかる内容です。
 今年読んで良かった一冊です。
 昭和36年、新潟から父親が上京してきました。
 経理を父親に頼んだけれど、事務処理が間に合わなくなって、人を雇ったら、2億円を使い込まれて、いろいろあります。この当時の2億円は、ものすごい金額です。
 父親が結核になって、父親が亡くなったときのためにとお墓を買って、それなのに、プロパンガスの事故で、59歳だったお母さんを、お父さんよりも先に亡くされています。

 福岡県博多から出て来たタモリさんとの出会いがあります。昭和49年か50年だそうです。1年間同居生活をしたそうです。
 
 著者のお父さんは、昭和46年6月から、NHK受信料の集金人を始めておられます。昭和54年春にリンパ線癌(がん)が見つかって、同年5月17日に71歳でお亡くなりになっています。

 人生は、いいことばっかりではない。山あり谷ありです。

 著者は後半部で、戦争反対を主張されています。
 親子は協力することも訴えておられます。

巻末にある「解説にかえて 武井俊樹」の部分について
 『ダメオヤジ 古谷三敏』(ああ、そういう作品がありました)
 告別式でのタモリさんの弔辞(ちょうじ)が『私もあなたの数多くの作品の一つです』
 赤塚不二夫さんの言葉として『おやじとかあちゃんに感謝のココロを捧げるのだ』

 いい本でした。  

Posted by 熊太郎 at 07:07Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年03月07日

福岡大仏(博多 東長寺(とうちょうじ))

福岡大仏(博多 東長寺(とうちょうじ))

 愛知県に帰るために予約した新幹線の発車時刻待ちまでの数時間を利用して、夫婦ふたりで、櫛田神社(くしだじんじゃ)の見学に向かいました。
 櫛田神社は、博多駅から歩いて行けるところなので、夫婦二人で道路を歩いていました。
 途中、先日(1月16日)、ストーカー殺人事件があった路上の横を通りました。慰霊のための花束がいくつか置かれていました。痛ましい事件でした。
 博多駅前近くの、こんなに車や人通りが多い場所で、午後6時頃という仕事を終えた通勤ラッシュ時間帯に、なぜという不思議な思いがこみあげました。
 加害者は、脳みそがなにかに支配されていて、正常に自分の意思をコントロールできなくなっていたのでしょう。
 生まれつき脳みそに正常ではない部分があったのか、それとも、成育歴において、脳みその一部がうまく生育できなかったのかわかりませんが、小さいころに絵本の読み聞かせをしっかりやってもらっていれば、救われたかもしれないのにと、残念でなりません。被害者の方はお気の毒でした。ご遺族も無念でならないと思います。

 そのあと、櫛田神社(くしだじんじゃ)を目指して歩いていましたが、途中で、立派な武家屋敷みたいな建物が見えて、体が自然とそちらへ引かれて行きました。(なんだろう。見てみたい)

 『東長寺(とうちょうじ)』というお寺さんでした。福岡大仏という大仏さんがおられるそうです。
 黒田家という文字を見て、去年読んだ本を思い出しました。福岡黒田藩の藩祖となる黒田官兵衛(くろだかんべえ)が登場します。
『黒牢城(こくろうじょう) 米澤穂信(よねざわ・ほのぶ) 角川書店』
 荒木村重(あらき・むらしげ):織田信長の部下。1578年に摂津有岡城(ありおかじょう。兵庫県伊丹市)にこもって、織田信長に反発した。
 荒木村重と黒田官兵衛がからんだ物語でした。
 人はいかに生きるのか。人生哲学がありました。荒木村重に捕らえられた黒田官兵衛が自分を殺せと荒木村重に訴えるのですが、荒木村重は黒田官兵衛を殺しません。『生きる』。生きていたからこその、その後の福岡黒田藩の存在があります。



 あいにく福岡大仏の写真はありませんが、次の写真のレンガ色の建物の中に安置されていました。
 大仏さんにお参りをしたあと、大仏の足もとのまわりをぐるっと回る『地獄めぐり』というものを体験しました。
 数日前に、大分県別府市内で、温泉の地獄めぐりを体験したばかりだったので、博多に来てまた「地獄めぐり」で縁を感じました。
 大仏さんの地獄めぐりは、真っ暗で何も見えない部分を、左にある手すりにつかまって、右手で右側にある壁に触れながら少しずつ前進するという、けっこう不安で、怖い思いをしました。
 気が弱い人やこどもさんだとパニックになるかもしれません。
 人間はどうして「地獄」が好きなのだろう。
 明るい場所に出てきて、そんなことを思いつきました。



 境内(けいだい)にある五重塔(ごじゅうのとう)が立派です。
 梅の花がとてもきれいでした。
 若い外国人カップルの見学者が多いなと感じました。アジアの人もいましたし、西欧の人もいました。
 梅の花がきれいなので、男性がモデルさんを撮影するように、梅の花といっしょに、彼女さんを撮影されていました。
























 春が少しずつ近づいてきています。(訪問は、二月下旬のことでした)  

Posted by 熊太郎 at 09:20Comments(0)TrackBack(0)福岡県