2023年03月10日

クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳

クネクネさんのいちにち きょうはマラカスのひ 樋勝朋巳(ひかつ・ともみ) 福音館書店

 なんだろう。表紙にあるこの動物は。
 『クネクネさん』とある。
 夢を食べる空想の動物『獏(ばく)』のようだ。
 現実にいる生き物としては『マレーバク』のようだ。たしか名古屋東山動物園にいました。
 ぶあつい表紙をめくると「なんでこんなにたくさんの、ももひきの絵があるのか」(のちに、ダンスを踊るときにはくタイツだとわかりました)

 マラカス:楽器。振って音を出す。マラカスにふれる機会はそれほどありません。カラオケぐらいでしょう。キューバ音楽でよく使われる。

 お仲間集合です。三人体制です。敬老会みたいです。
 クネクネさん
 パーマさん:あたまの上にボールみたいな髪の毛がのっています。
 フワフワさん:ライオンみたいなたてがみが、顔を囲んでいます。
 クネクネさん:3ページでは、バクではなくて、犬に見えます。
 
 こどもを喜ばせる絵本です。
 リズム絵本です。
 読み聞かせは、歌に変わりそうです。

 絵はふざけているように見えるのですが、まじめな絵本です。
 
 8ページまできて、これまでは、三人とも男だと思って読んでいましたが、どうもみなさん女性のようです。婦人会のようです。絵本で、このようなパターンの描き方は初めての体験です。新世界です。

 おばちゃんor(オア。または)おばあちゃんの世界。
 こんな三人が現実にもいそうです。
 たとえば、フラダンスチーム。

 むかしはやったマンボなんとかという曲を思い出します。マンボ:南米ラテン音楽。
 調べました。『マンボNo.5(ナンバーファイブ)』チャチャチャです。マラカスを振っている人がいます。
 絵本の中は、幼稚園の発表会のようでもあります。
 フワフワさんの舞台はしっこ乗りがおもしろい。
 
 発表会の途中ですが、昼食タイム(時間)です。
 食事は大切です。
 談笑タイムです。
 身内の演奏、身内の観覧なので、自画自賛の雰囲気はあります。
 
 食後の縁起で、クネクネさんは失敗してしまいました。
 でも、パーマさんとフワフワさんは、食後のためかいねむりをしていて、クネクネさんの失敗に気がつきません。
 起承転結のストーリーの流れのうちの『転』の部分でした。
 話は急に理屈っぽくなりました。
 失敗はつきもの再起をうながすふたりです。(パーマさんとフワフワさんがクネクネさんを元気づけます)
 絵本を読みながら、読んでいるほうもクネクネさんを応援します。
 がんばれーー クネクネさん!
 いいぞーー クネクネさん!
 おお、去年のサッカーワールドカップでなんども聞いた言葉が出てきました。『ブラボー! ブラボー!』この絵本に、あのときの選手の発声の起源があったのかも。

 毎日のなにげない暮らしのなかに、幸せがある。
 そんな人生の機微(きび)を表現した絵本でした。
 機微(きび):表面には表れないちいさな心配り。
 2013年(平成25年)発行の絵本でした。

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