2025年04月11日

伝える極意 思いを言葉にする30の方法 草野仁

伝える極意 思いを言葉にする30の方法 草野仁(くさの・ひとし) SB新書

 著者は、テレビ番組、『徹子の部屋』にゲストとして出演されました。
 徹子さんとのおふたりのトークは、おふたりともお話上手なので感心しました。清流が流れるように会話がはずみます。
 草野さんが本を出されているということなので、取り寄せてみました。
 読み始めます。読みながら感想を足していきます。

(1回目の本読み)
 わたしはまず、1ページずつ、ゆっくり最後まで、ザーッと目をとおします。
 受けた印象として、著者は、『仕事人間』です。
 1944年(昭和19年)生まれ。81歳です。
 もうひとつ、教訓本という印象です。(教え諭す(さとす)。成功するためのマニュアル(手引き))
 ありのままでいく。かっこつけない。
 就職する前から、スポーツが好きだった。NHKを取材記者になるつもりで受けたが、アナウンサーとして配属された。自分は、スポーツアナウンサーになる道を選んだ。
 黒柳徹子さんとの関りあり。番組、『日立 世界・ふしぎ発見!』です。
 著者に、鹿児島放送局、福岡放送局で勤務した時代あり。その後、大阪、東京です。
 オウム真理教、地下鉄サリン事件の報道体験あり。
 仕事上利害関係がある人間とは、なるべくケンカはしないそうです。
 統一教会問題に関する記事あり。
 
(2回目の本読み)
 NHKを取材記者になるつもりで受けたら、アナウンサーで採用された。
 希望とは違っていたが、やってみたら自分に向いていた。
 (仕事というものは、人事異動による部署異動も含めて、自分には向かないだろうなあと思っていた仕事をやってみたら、案外自分に向いていたということは、じっさいにあります。まずは、やってみること。できるように努力することで、やっていけるということは現実にはあります。100%できなくても、60%ぐらいできたら仕事を継続していけるということはあります。仕事はチームワークです。お互いの得手不得手を組み合わせて助け合ってやっていくものです)

 本のレイアウト(構造)です。学生さん向けの参考書のようでもあります。
 第1章から第4章まであって、最後に、『特別収録(有名人とのこと)』があります。
 本の構造と内容は、理論的です。

第1章 著者の実体験や実例をもとにして記述してあります。項目は、『プロが「伝える」前にやっている10のこと』です。「準備」ですな。

 日本人は歴史的に話し言葉がにがてということが書いてあります。書くことは学ぶけれど、話すことは学ばないのです。自分の脳みそにあることを、言葉にして、口から声で表現するという習慣が乏しかった(とぼしかった)。同一民族であるから、『察する(さっする。言わなくてもわかる)』ことに期待していた。そういうことについて書いてあるとわたしは理解しました。
 対して、多民族国家である外国では、『対話』をしないとお互いを理解することができなかったので、会話技術が発展した。

 相手に会う前に、相手についての情報を収集しておく。さらに、相手と同じことを自分も体験しておくと話がうまくいく。話がはずむ。

 お勉強の本です。

 マニュアルに従って、AI人間(人工知能で動いているような人間)を目指すのか……
 人間は、感情の動物です。仕事中はしかたがありませんが、仕事を離れたときは、感情のままに生活したい、話したい。

 じっさいにあった事例を提示しながら考察が続きます。
 
クレバー:ずる賢い、抜け目がない。

 日常会話のレベルを高める。
 誰にでもわかる易しい(やさしい)言葉を使って、相手が瞬間的に理解できる話し方をする。
 
 (なかなかむずかしい。わたしが思う雑談は、思いつくことを、単語でぽつりぽつりと口から出していって、時間を埋めていくものです。
 案外、人って、自分の言いたいことは言いたいのですが、相手が話していることは聞いてくれていません。
 雑談は、気持ちの交流です。仕事で行う会話ではないのです)

『第2章 相手の心をつかむ「伝え方」ベスト16』
 この章はけっこう長い。61ページから146ページまで、86ページあります。

 「言葉をひらく」文章:聞いた瞬間に理解できる言葉、平易でわかりやすい言葉を使う。わかりやすい言葉に言い換える。
 
 成功談よりも失敗談をする。

 いろいろな有名人が出てきます。
 亡くなった人もいます。
 最近自分が思うことですが、自分が三十代始めだったころに、五十代、六十代だった人たちのほとんどは、もうお亡くなりになりました。生きていても、入院されているか、認知症などになられて施設に入られています。時の流れを感じます。
 
 会話の秘訣を簡潔にまとめてある本です。
 読んでいて思うのは、著者は、『仕事人間』として人生を送ってきた人です。
 108ページに、『「?」で終わる質問をする』というようなことが書いてありますが、その手法は、わたしは好みません。なぜなら、相手に質問をするということは、相手に答えを考えさせる負担を強いる(しいる。強制する)ということです。嫌がられます。
 わたしは、質問と回答を繰り返すパターンの会話をする人との会話は疲れます。だから、自分は相手に質問はなるべくしません。自分が思うことをだらだらと話します。

 こちらの本では、全般的に、上流階級の人たちとのつきあいでの会話について書いてあります。
 凡人にはムリです。能力の水準が、著者さんほど高くはありません。
 凡人は、たわいない言葉で、気持ちの交流をするだけです。自分の言いたいことは言うけれど、相手の言うことは、聞いているようで聞いてはいません。だれしも、マイペースです。

『第3章 「伝えた」後に実践したいシンプル4習慣』
 ザ・ワイド:テレビ番組。1993年(平成5年)から、2007年(平成19年)まで放送された。14年半の長寿番組。ワイドショー。著者が出演した。
 番組での思い出話が書いてあります。

『第4章 マスターに聞く! 伝える極意・10のQ&A』
 研修のテキスト本のようでもあります。
 だれもができることではありません。
 一定の学力水準がある人向きの本です。

『特別収録 マネしたいあの人の「伝える力」ベスト6』
 なんというか、頭のいい人の傾向として、ランク付けをしたがるというものがあります。
 順位付けです。
 学力テストの延長を人生で行っているような感じがします。
 そこに、今どきのこととして、AI(人工知能)がからんできます。
 アナウンサーの業務はいずれ、AIがやるようになる。
 人間は、『ブロードキャスター』を目指すとあります。
ブロードキャスター:個人が個性をもち、自分の言葉で情報に関する自分や組織の思いを伝えていく。人間としての能力を発揮する。分析と判断に自信と責任をもつ。

 本全体を読み終えて、人間界の知識人という上層部で生活している人についての、そういうこと(会話手法)が書いてあると理解しました。

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