2023年02月16日

せんたくかあちゃん さとうわきこ

せんたくかあちゃん さとうわきこ 福音館書店

 もう半世紀以上昔、自分が幼児だった頃、母親と近所の奥さんたちと、川へ洗たくに行っていました。たらいと洗濯板と洗たくものを持参して行きました。
 奥さんたちが洗たくをおわるまで、こどものわたしは、川べりに生えていた竹の葉で笹舟をつくって川に浮かべて流して遊んでいました。
 民話の一寸法師戸とか(いっすんぼうし。たしか、笹舟に乗って登場する)、桃太郎というのはほんとうのことだろうとその当時は思っていました。
 熊本県の島での暮らしでした。

 そんな体験があるので、この絵本の表紙にあるたらいと洗濯板でお洗たくをしている母親の絵にひかれました。
 中身を読まずに、ページを最初から最後まで、ざーっとめくって、おもしろそう。楽しそうという感想をもちました。

 1970年代の暮らしです。(昭和45年ころ)
 絵本は、1982年が第1刷です。(昭和57年)

 お洗濯をして、衣服がきちんときれいになると、自分の気持ちまですっきりします。
 アイロンかけが好きな人もいます。
 お洗濯とか、アイロンかけは、人によっては、ストレス解消法のひとつの手段です。
 洗たく好きな人っています。すてきな人です。

 絵本に出てくる主人公のおかあさんは、わたしの母親の世代の方のように見えます。
 いまごろは、90歳近い世代です。
 洗たくものの洗たくが終わって、今度は、猫を洗うと言い出したおかあさんです。おもしろい。
 ほかにも洗おうとします。ねずみ、あひる、にわとり、かさ、かえる、ひよこ、ながぐつ、げた、スリッパ、犬、ほうきにながぐつ、いやはや勢いがあります。

 絵本の中の母親の呼び名は『かあちゃん』です。
 昭和30年代から40年代の母親の呼び方は『かあちゃん』でした。
 今は『ママ』なのでしょう。
 
 洗たくしたあと、洗たくものを干すわけですが、クモの巣のような、物干しロープが、はりめぐらされた物干し場ができあがりました。
 自由な発想があります。楽しい。

 いじわるそうな雷のこども鬼が『干してある洗たくものに雨をふらせて濡らしてやるぞーー』
 夏の夕立のようです。
 わたしがこどものころには『鬼におへそをとられるぞ』とおとなに注意されました。
 雨が降って、気温が急速に低下するので、おなかを冷やして腹痛(はらいた)にならないようにという教えでした。
 かあちゃんが、力強い。鬼をつかまえて、たらいに投げ込みました。
 本当に自由な発想です。
 雷の鬼よりもかあちゃんのほうが強い。
 雷さまを洗たくしたら、雷の顔が落ちた。目も口もないのっぺらぼうです。
 やりたいほうだいですな。
 こどもたちが、鬼の顔に絵を描き始めました。
 かわいい感じの鬼の顔になりました。
 豪快なラストシーン付近です。
 空から鬼がいっぱい落ちて来たーー
 なんだかすごい絵本でした。
 かあちゃんパワーがさくれつしています。(炸裂:さくれつ。爆発だーー)
 読み聞かせをしたときの、ちびっこたちの反応が楽しみな絵本です。  

Posted by 熊太郎 at 07:06Comments(0)TrackBack(0)読書感想文