2023年02月19日

ドアがあいて… エルンスト・ヤンドゥル・作

ドアがあいて… エルンスト・ヤンドゥル・作 ノルマン・ユンゲ・絵 斉藤洋(さいとう・ひろし)・訳 ほるぷ出版

 訳者の斉藤洋さんのシリーズものが好きです。『ルドルフとイッパイアッテナ』(のらねこのお話です)それから『白狐魔記(しらこまき)』(きつねのお話です)があります。

 表紙カバーの絵を見ます。
 病院での診察待ちに見えます。
 さらに『おもちゃ病院』を思い出します。(本当にそういう病院があります。壊れたおもちゃを修理してくれます。ボランティアの人たちが運営しています)
 十年ぐらい前に活動されているところを何度か見たことがあります。出張修理でした。メンバーは年配の人が多かった。
 
 読み終えて、今度会う親戚の、もうすぐ二歳の男の子にこの絵本をプレゼントすることにしました。いい本です。文字数が少ないので、ちいさな子向けです。

 最初のページは、くらーい感じ。
 なんて暗い待合室なのでしょう。

 診察室のドアがあいて、中から、てんとう虫のおもちゃが出てきました。
 体が良くなって出てきたように見えます。

 次のページをめくります。
 ペンギンのおもちゃが、診察室に入っていきました。
 待合室で待っているのは、アヒル、クマ、カエル、ピエロのどれもどこかが壊れている、あるいは、調子が悪いおもちゃです。
 診察室のドアがしまって、待合室で待っているのは4人になりました。

 診察室のドアがあいて、ペンギンが出てきました。
 元気そうです。

 片足がないようなヒヨコが診察室に入っていきます。
 診察室には、だれのパパもママもいません。

 よし!
 これでよし!
 診察室のドアがあいて、ヒヨコが出てきました。
 ちゃんと二本足になりました。

 クマもがんばれ!
 待合室で、カエルがあおむけになりました。おもしろい。
 
 楽しい。
 絵の中の照明は暗いけれど、待合室の部屋の雰囲気は明るい。
 
 がんばれカエルくん!
 なんだか、意外に楽しい絵本です。

 暗い待合室でひとりぼっちになったピエロが泣いている。
 最後のシーンは、おおぜいで拍手じゃないか。(はずれました)
 
 うぉーー ぴょーん! おもしろい!!

 ぼくの番だ。
 がんばれーー
 最後はどう落とすのだろう(オチ:お話の締めくくり)

 よかったねーー
 おもちゃびょういん。
 ほっとしました。
 病院ぎらいのこどもさんに向けた心あたたかい絵本でした。  

Posted by 熊太郎 at 06:51Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月18日

太川&蛭子バス旅 第12弾 松阪駅から松本城 2012年

太川&蛭子ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第12弾 三重県松阪駅から長野県松本城 2012年(平成24年夏) BSテレ東再放送
 この回の感想を書くのも三回目になりました。何回でも書いてみます。

 えびすさんのガッツがすごい。
 『(バス関係者の)この人たちの言うことを信じちゃいけない。バス(路線)がないと言っても(バス路線は)絶対にある。これまでなんどもそういうことがあった』えびすさんのど根性でこれからのルートを切り開いていきます。太川陽介さんと絶妙なコンビです。性格も志向も正反対と思われるようなふたりが偉業を成し遂げていきます。似た者同士ではだめなんです。お互いに補い合う関係が『相棒』です。
 バス会社の関係者にとっては、イレギュラーな(不規則な)移動をしたがる企画内容です。ふだんはやらない業務です。想定外の動き方なのです。利益を追求するためには、もうからないことは切り捨てです。組織人として仕事をします。責められる理由はありません。
 いっぽう、夢を追いかけるのがタレントの仕事です。視聴者に胸を打つ感動を与えることが芸能人の仕事です。むだなように見えることでもやります。パフォーマンス(演技)です。両者の業務内容は水と油です。気持ちとか精神的なことで対立する両者です。
 それでも、さがせば『いい人』がいます。見ていて嬉しくなります。ほっとします。組織に生き字引みたいな職員は必要です。

 見ていて、これまではしっかり気づけませんでしたが、メンバーの三人さんは、我が家の近くの道路も路線バスで通ったのだなあとわかりました。
 毎回思いますが、すごいなーー
 自分もこれまでにあちこち行ったことがあるのですが、自分の知っている地域をあんなふうに路線バスで、とくにコミュニティバスをフル活用して回るなんて思いついたこともありません。たいしたものです。ルート選択はパズルのようです。

 10歳、10歳、7歳、4歳の男子4人がコミュニティバスに乗っていて、メンバーの三人と会話します。しっかりした男の子でした。上のふたりはふたごでしょう。親は同乗していないようでした。ロケから10年ぐらいが経過しているので、上の男子ふたりは成人されていることでしょう。
 映像は田舎風景ですが、人間らしい暮らしがあります。

 歩く旅です。江戸時代の人たちを思い出します。馬籠(まごめ)の宿を見学したり、奈良井(ならい)の宿のそばを通ったりします。

 自分は、ゴールの松本城には昨年5月に行きました。松本城の近くで偶然『相棒』に杉下右京役で出演されている水谷豊さんをお見かけしました。しゅっとして、高価そうなお靴とお召し物でかっこ良かったです。

 苦しいこともあるし、つらいことや悲しいこともある。人生そのものといえるバス旅には、出会いと別れがあります。


(2021年に観たときの感想文)
太川&蛭子ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第12弾 三重県松阪駅から長野県松本城 2012年(平成24年夏) BSテレ東再放送
 以前観たことがありますが、今回再放送があったので、また観て、また感想を残してみます。
 思い起こせば、昨年2月に用事があって、この番組の冒頭で出てくる三重県松阪市内に自家用車で行ってから、以降、どこにも遠出できていません。
 コロナ禍で、非常事態宣言が出たり引っ込んだり、まんえん防止がどうのこうの、ワクチンを打ったのでもういいかと思ったらワクチンを打っても県境を越えないでくれと指示がありました。しかたがありません。人にうつる病気ですから、もしかかったら、いろいろめんどうな人間関係がらみのトラブルになりそうです。なにより命が惜しい。がまん。がまん。

 身近な土地の名称がたくさん出てきます。松阪市、桑名市、長島温泉、長島スパーランド、瀬戸市、品野(しなの)、多治見市、恵那市、明智(あけち)、駄知(だち)、瑞浪市(みずなみし)など。
 出演者三人でよく、国道23号線(地元では、名四国道「めいよんこくどう」といいます。名古屋市から三重県四日市市)にかかる赤くて長い橋を渡ったものです。とても長い橋です。860mぐらいあります。人は1分間で80m歩きますから10分ちょっと歩きます。高い橋の上ですからちょっと怖そうです。
 弥富(やとみ)は、金魚の産地で、自分がまだ小学二年生ぐらいのころ、親戚一同と金魚祭りに行った記憶があります。金魚を一匹持ち帰って、ビニール袋に入れて、アパートの台所につるしてしばらく飼いました。その後金魚がどうなったかは記憶がありません。

 旅は三泊四日です。生ビールがうまい。毎晩おいしそうに生ビールを飲む太川陽介さんと加藤紀子さんです。ごくごくごく。えびすよしかずさんはアルコールを飲めません。

 マネキンの頭だけのカカシがこわい。

 曜日によって、バスがあったり、なかったり。
 この番組の放映時から十年ぐらいが経過しているので、今も同じバス路線があるかどうかはわかりません。

 路線バスでいっしょになったフランス人若い男性グループが、馬籠宿へ行きますが、外国人は江戸時代の古い街並みを観て、どんな感想をもつのだろうと興味がわきました。
 えびすよしかずさんが、「3時のバス」を「スリータイムズ」とフランス人男性に教えました。「スリーオクロック」です。3pmでもいいそうです。

 バス路線の説明を詳しく丁寧に教えてくださった地元の男性の言葉で、「さようです」が良かった。

 松本城までたどり着いて、みなさんの達成感が、観ている自分にも伝わってきました。

 三泊四日の旅程をわずか二時間ぐらいの番組にまとめてあります。たくさんカットされているのでしょう。お疲れさまです。

(2020年4月3日のときの感想)
太川&蛭子ローカル路線バス乗り継ぎの旅 第12弾 三重県松阪駅から長野県松本城 2012年(平成24年夏) テレビ番組再放送
 名作です。三泊四日ですが、かなりの距離を歩きました。成功しています。見たことのある街の風景がたくさん出てきます。路線バス、コミュニティバスだけで走破したのはミラクルです。地図でルートをふりかえってみましたが、すごいなあ。感嘆に尽きます。
 路線バスは廃止傾向にあるのですが、高齢者の運転が危うい(あやうい)今、路線バスが見直されて復活するような気がしてなりません。

 8年前の映像です。えびすさんが若くてやるき満々です。ゲストは加藤紀子さんで、けんかをするふたりの仲介役をしたり、バス路線を新規開拓したりと大活躍でした。
①トンネルと抜けると豪雨じゃないかと言っていたら、ものすごい豪雨の中で立ち往生する三人でした。
②(えびすさん)「(バス関係者の人たちの)言うことを聞いちゃダメ。無理と言われても無理じゃなかったことがこれまでに何回もある(バス関係者は自社のことしか知らないから)」
③えびすさんがはいている靴の先がぱっかり開いて、えびすさんが靴をキャラクターにみたてて腹話術をやります。加藤紀子さんが、靴先の開いた部分に藁(わら)を食べさせます。
④えびすさんが、名古屋市内のバス停に立っているのに、「名古屋まで行きたいんですけど」と何度も運転手に繰り返す。(名古屋のどのあたりに行きたいのですか)
⑤(えびすさんが道を聞きながら)「道はちゃんとあるのですか?」(国道ですからありますという返事)
⑥ふたりが目的地バス停(河合小橋)を記録しなかったので行き先がわからなくて大ゲンカになったとき、(太川)「(この番組は)もうこの回で終わりだ」(えびす)「仕事がなくなるからそれはだめ」(太川)「(えびすさんは本業のマンガ家で)絵で食べればいい」(えびす)「絵は売れない」その後、加藤紀子さんがルートをきちんとメモしていて、(えびす)「オレいらなくなっちゃう」
⑦長野県馬籠の宿あたりでフランス人観光客の若者に積極的に話しかけるえびすさんにフランス留学経験がある加藤紀子さんが、「ちゃんと話せないのに、どうして果敢に挑戦するの?!」
⑧(車窓から美しい色の池が見えて加藤紀子さんと太川さんが)「バーベキューをやりたい」(えびすさんが)「オレは室内の冷房がきいたところがいい」
⑨(バス停がないので歩くことになって)太川「歩きましょう」、えびす「毎日歩きだよ」、加藤紀子「またやせる。これって、路線バスの旅じゃなくて歩きの旅になってない!?」
⑩今、午後6時と聞いて、えびす「もう」、太川「まだ」と同時に発声。えびすさんは、早くホテルに行きたい。太川さんは、さらにバスに乗って距離を伸ばしたい。
 一日終えてのジョッキビールがおいしそう。
 旅は思い出の道しるべになります。
 瀬戸焼のお皿がきれいでした。
 いずこも駅周辺の市街地がきれいに整備されていたことが記憶に残りました。
 太川さんが選択した、行き詰まったら、バスルートを戻るという行為に感心しました。教訓があります。壁にぶつかったら無理をして前進するのではなく、勇気をもって後退することが、未来のためになるときもあると教えになりました。
 バス旅は、うれしい時もあるし、悲しい時もあります。まるで人生みたいです。  

2023年02月17日

東野&岡村の旅猿 都内で旅猿の新年会を行う旅 2023年2月

東野&岡村の旅猿 都内で旅猿の新年会を行う旅 2023年2月 動画配信サービス

 みんなちびっこがいるメンバーたちです。
 東野さんはお孫さん。
 岡村さんは、ちっちゃいパパで、お子さんは歩きだしたぐらいだそうです。
 持田香織さんのお子さんは、まだ歩かないけれど、ハイハイで動き回るらしい。
 ベッキーさんのおうちには、ふたりお子さんがいて、話を聞く限りでは、もうすぐ3歳と2歳になるような年齢に思えました。

 最初はふたてに分かれて、それぞれのゲストがやりたいアクティビティ(行動・行為)をしてから4人が新年会の会場で合流するそうです。

『東野・持田チーム』
 持田さんが、電動自転車をほしがっています。
 豪快な買い物です。持田さんらしい。思い切りがいい。即決に近いけれど、後日ご家族で自転車販売店を再訪するそうです。
 パナソニックの製品で20万円ぐらい。前後にお子さんを乗せることができて、三人乗りです。たいへん重たい。30kg近いそうです。されど、かろやかで速く走ることができるようです。試乗をされていました。
 昔の人は苦労しながら子育てをしていました。今の人たちはいろいろと恵まれています。いいことだと思います。
 わたしは、仕事場で電動自転車に乗ったことがありますが、それももう10年以上前のことです。当時の電動自転車は10万円ぐらいで、1回の充電で使用できるのが2時間ぐらいでした。充電はかなり時間がかかっていた記憶で、仕事場の自転車置き場で、コンセントに差しっぱなしだったような記憶です。映像を観ると、今の電動自転車は十数年前よりもかなり進化しているようです。

『岡村・ベッキーチーム』
 公園巡りがベッキーさんの希望です。お子さんと公園をたくさん回ることがブームになっているそうです。ベッキーファミリーは、朝の6時すぎから公園へ遊びに出ているそうです。ちびっこたちの朝は早い。
 結婚して、あかちゃんが生れて、川の字になって寝ているという話がおふたりから出ます。うちもそんなときがありました。ふりかえると、あんな狭い部屋でよく寝ることができたなと驚きます。夜泣きがひどくて、ふたりで、はさんで、泣き止んでくれーとお願いしながら寝ていました。ベッキーさんからは、パパは仕事のことを考えて、違う部屋で、ひとりで寝る人もいるというような話が出ます。

 おふたりは、ふたつの公園を巡りますが、いろんなすべり台がたくさん出てきます。さすが、東京中心部の公園です。
 そして、地元のこどもたちは遊びじょうずです。
 外国人のこどもさんもいるのでしょう。注意喚起に英文もあります。『do not climb(ドゥ ノット  クライム(のぼらないでね)』

(つづく)

 東野さんと持田さんは交通渋滞のために車内でじっとしていた時間が長かったようです。お疲れでしょう。
 骨伝導イヤホンとかヘッドフォンを買いにお店に行かれました。

 岡村さんとベッキーさんは、ベッキーさんの勢いがおもしろかった。子供用品店を訪れておられます。
 旅猿では、いつも東野さんと岡村さんに旅先でいびられていたベッキーさんです。ベッキーさんは、これまでのことを挽回(ばんかい)しようと強気で岡村さんを攻めます。あとで、ジミー大西さんも攻めます。おもしろかった。
 ベッキーさんは、ふたりのこどもにご自分の自由時間を奪われることから、ご主人にこどもの世話をさせたいようすでした。「子育ては、夫も手伝え!」です。たしかに「あなたが父親だろ!」の世界があります。
 夫婦間においては、常に相談、なんでも報告が基本だそうです。なかなか厳しい。
 ベッキーさんは、車はマニュアルギア車しか運転しない。オートマは車じゃないという人です。ご主人もオートマに加えてマニュアルの免許をとった(とらされた?)そうです。いいだんなさんです。

 新年会食事のお店では、ジミー大西さんが、スマホの映像で登場して電話で通話をするシーンがありました。
 ジミー大西さんは、以前は旅猿の新年会に出演していたのですが、旅猿番組ロケで、ベッキーさんや持田さんにセクハラまがいのことばかりしていました。ひどかった。反省されたそうです。どこまで真剣に反省されたのか疑わしいのですが、同席はされないほうがいいでしょう。

 ジミー大西さんの笑いのツボで、岡村さんが着た『特小ゆかた(とくしょうゆかた)』があります。以前の番組、和歌山ロケでのことです。宿泊したのですが、そのときのジミー大西さんが独特でした。
 岡村さんのゆかたのサイズ『特小(とくしょう)』というのが、ジミー大西さんにとって、笑いのツボにはまって、一晩じゅう笑いがとまらなかったそうです。
 小学生が着るようなサイズのゆかたで、なにかしら、相手をばかにするようなことが気に入ったらしく、笑い続けていました。
 今回の新年会シーンでもそのことが紹介されていました。不思議な人です。
 次回の予告を見たらゲストがジミー大西さんで、場所は沖縄石垣島で、また波乱と混乱がありそうです。  

2023年02月16日

せんたくかあちゃん さとうわきこ

せんたくかあちゃん さとうわきこ 福音館書店

 もう半世紀以上昔、自分が幼児だった頃、母親と近所の奥さんたちと、川へ洗たくに行っていました。たらいと洗濯板と洗たくものを持参して行きました。
 奥さんたちが洗たくをおわるまで、こどものわたしは、川べりに生えていた竹の葉で笹舟をつくって川に浮かべて流して遊んでいました。
 民話の一寸法師戸とか(いっすんぼうし。たしか、笹舟に乗って登場する)、桃太郎というのはほんとうのことだろうとその当時は思っていました。
 熊本県の島での暮らしでした。

 そんな体験があるので、この絵本の表紙にあるたらいと洗濯板でお洗たくをしている母親の絵にひかれました。
 中身を読まずに、ページを最初から最後まで、ざーっとめくって、おもしろそう。楽しそうという感想をもちました。

 1970年代の暮らしです。(昭和45年ころ)
 絵本は、1982年が第1刷です。(昭和57年)

 お洗濯をして、衣服がきちんときれいになると、自分の気持ちまですっきりします。
 アイロンかけが好きな人もいます。
 お洗濯とか、アイロンかけは、人によっては、ストレス解消法のひとつの手段です。
 洗たく好きな人っています。すてきな人です。

 絵本に出てくる主人公のおかあさんは、わたしの母親の世代の方のように見えます。
 いまごろは、90歳近い世代です。
 洗たくものの洗たくが終わって、今度は、猫を洗うと言い出したおかあさんです。おもしろい。
 ほかにも洗おうとします。ねずみ、あひる、にわとり、かさ、かえる、ひよこ、ながぐつ、げた、スリッパ、犬、ほうきにながぐつ、いやはや勢いがあります。

 絵本の中の母親の呼び名は『かあちゃん』です。
 昭和30年代から40年代の母親の呼び方は『かあちゃん』でした。
 今は『ママ』なのでしょう。
 
 洗たくしたあと、洗たくものを干すわけですが、クモの巣のような、物干しロープが、はりめぐらされた物干し場ができあがりました。
 自由な発想があります。楽しい。

 いじわるそうな雷のこども鬼が『干してある洗たくものに雨をふらせて濡らしてやるぞーー』
 夏の夕立のようです。
 わたしがこどものころには『鬼におへそをとられるぞ』とおとなに注意されました。
 雨が降って、気温が急速に低下するので、おなかを冷やして腹痛(はらいた)にならないようにという教えでした。
 かあちゃんが、力強い。鬼をつかまえて、たらいに投げ込みました。
 本当に自由な発想です。
 雷の鬼よりもかあちゃんのほうが強い。
 雷さまを洗たくしたら、雷の顔が落ちた。目も口もないのっぺらぼうです。
 やりたいほうだいですな。
 こどもたちが、鬼の顔に絵を描き始めました。
 かわいい感じの鬼の顔になりました。
 豪快なラストシーン付近です。
 空から鬼がいっぱい落ちて来たーー
 なんだかすごい絵本でした。
 かあちゃんパワーがさくれつしています。(炸裂:さくれつ。爆発だーー)
 読み聞かせをしたときの、ちびっこたちの反応が楽しみな絵本です。  

Posted by 熊太郎 at 07:06Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月15日

おはよう! しゅうしゅうしゃ 竹下文子・作 鈴木まもる・絵

おはよう! しゅうしゅうしゃ 竹下文子・作 鈴木まもる・絵 偕成社

 ごみしゅうしゅう車のおはなし絵本です。
 作業員さんたちのおかげで、清潔な暮らしができると、こどもたちに教えたい。

 絵を描いた鈴木まもるさんの作品は『せんろはつづくどこまでつづく 金の星社』で楽しんだことがあります。作者はたしかこの本と同じく竹下文子さんでした。ほかに『せんろはつづく』『せんろはつづくまだつづく』という作品もありました。

 カラスたちは生ごみしゅうしゅうの天敵です。
 うちもこないだやられました。
 うちの奥さんが玄関前で悲鳴をあげていました。
 さっき出した生ごみぶくろをカラスがつついてぐちゃぐちゃにしていました。
 忍者みたいなやつです。カラスは。ひっそりと、こっそりと、ごみ袋をあさっていました。

 絵を見ます。
 作業員の姿に動きがあります。
 本当に道路上を走っているようです。
 
 どこにでもある朝の風景です。
 出勤するおとうさんたちがいます。
 通学する中学生や高校生たちがいます。
 もちろん小学生もいます。
 ごみ袋をぶらさげてあわてて走ってくるどこかのサラリーマンパパもいます。
 さだまさしさんの歌で『関白失脚(かんぱくしっきゃく)』という歌があります。お父さんが、たしか、右手に定期券、左手に生ごみぶくろをさげて走っているのです。いい歌です。
 
 団地のようなマンション群があります。
 ごみの分別を守りましょう。
 共同住宅だと、だれが出したのかわからないので、ごみ出しルールを守らない人がいます。
 ごみを出したあと散らかっていても、自分が出したんじゃないと、知らん顔をする人がいます。
 絵本を読みながらこどもには、そんなおとなになっちゃいけないと教育します。
 片づけをきちんとできない人は、仕事もきちんとできないに違いない。
 
 インターネットが発達しました。
 粗大ごみの申し込みは、ネットで申し込みができるようになりました。
 電話申し込みの時は、なかなかつながりませんでした。

 22ページに、ちゃっかり絵本の宣伝が入れてあります。
 『のりもの絵本フェア!!』です。
 パトカー、宅配便、バス、はしご車、クレーン、いろいろあります。

 わたしがこどものころのごみ収集方法を思い出しました。
 仕事のしかたがずいぶんちがいます。
 半世紀以上前のいなかでは、たぶん役場に雇われたお年寄りが、リヤカーを引きながらごみを集めていました。
 家の前に各世帯のごみ箱が置いてありました。うちは、木製のみかん箱を代用していました。
 ずいぶん昔にわたしが書いたごみ収集に関する文章を見つけたので、このあと書いておきます。

 絵本のシーンは、ごみ焼却工場になりました。
 焼却工場に行ったことはありますか?
 わたしは行ったことがあります。
 ハイエース(人や物を運搬するための大きなワゴン車です)に仕事場で出たごみを積んで、自分で運転して、同僚といっしょに、ごみ処分場にごみを搬入しました。大きな工場でした。

 絵本の絵は、マンガのようで、こどもさんには好まれるでしょう。
 いい雰囲気の絵です。
 色もきれいでわかりやすい。
 夕映えの景色がきれいでした。



『ごみ収集のおじいさん』
 小学生のころ住んでいた栃木県の山奥にある町は、冬は雪国でした。
 長屋の前には、各家庭のごみ箱が置いてありました。
 木製のみかん箱に各自が思い思いに工夫して、ふたをかぶせてありました。
 長屋の間取りは、玄関を入ってすぐが台所、その左隣が4畳半和室、奥が6畳の和室、その向こうが少し広い庭でした。
 トイレとお風呂は、自宅から離れたところにあり共同でした。
 父は、毎朝、午前6時半ころ、自転車で職場にでかけます。
 母と弟とわたしが4畳半の和室で朝食を食べていると、突然無施錠の玄関の引き戸が開いて、おじいさんが何も言わずにうちの家の中に入ってきて、玄関と台所の境目にある少し高い段差のある板の間をイスのようにして腰かけます。
 母が、おじいさんに、お茶とミカンを出して『ごくろうさま』らしきことを言います。
 おじいさんは『アーッ』と声を出す程度でした。
 しばらくすると、おじいさんはゴニョゴニョとか言って家を出て行ってしまいます。
 おじいさんの仕事はごみの収集で、各家庭の家の前に置いてある木製のごみ箱からごみを出して、自分が引っ張っているリヤカーに積んで運んでいたのです。
 町役場から依頼されて行っている仕事だったのでしょう。
 小学生のわたしが一度話しかけるとおじいさんが、この家は気楽だから休憩がしやすいというような返事でした。
 冬は雪が降り積もる中、ごみを乗せたリヤカーを引っぱって行く作業は、さぞかしたいへんだっただろうと思います。  

Posted by 熊太郎 at 07:13Comments(0)TrackBack(0)読書感想文

2023年02月14日

透明な螺旋(とうめいならせん) 東野圭吾

透明な螺旋(とうめいならせん) 東野圭吾 文藝春秋

 始まりに、1948年(昭和23年)ぐらい生まれの若い女の子が出てきます。
 兄がひとり、弟がふたり、妹がひとりいます。
 女の子の氏名は出てきません。
 女の子は、その後成長して、銀座でひったくりにあったことで知り合いになった男性矢野弘司と夫婦になって、2300gの女の子を出産します。
 でも夫は病気で急死します。
 母親である女の子は、あかちゃんを育てていく自信がなくなり、あかちゃんを千葉県内にある紡績工場近くの児童養護施設の門のそばに遺棄しました。(いき:置き去りにする)

 以上が、プロローグ(はじまり)の部分でした。
 暗い話になりそうです。

島内園香(しまうち・そのか):二十歳ぐらいか。(のちに23歳と判明)東京上野の生花店勤務。五年間ぐらい働いている。

島内千鶴子(しまうち・ちづこ):五十歳手前ぐらいか。島内園香の母親。昔は児童養護施設で働いていたが、その後、給食センターで働いている。

ナエ:七十四歳ぐらい。島内千鶴子と親しい。(松永奈江)絵本作家。紙芝居も扱う。36年前に埼玉県新座市(にいざし。埼玉県南部に位置する)に引っ越してきた。転居後10年ぐらいして病死した夫が松永吾朗。松永奈江よりも20歳近く年上の男性だった。

上辻亮太:島内園香の恋人。映像の仕事をしている。UXイメージ工房のチーフプロデューサー。三十三歳。群馬県高崎市出身。両親とは疎遠。性格破綻者(せいかくはたんしゃ:正確に欠陥がある。社会生活ができない。人格に二面性がある)

青山店長:島内園香が勤務する上野の生花店、四十歳前後の女性店長。

岡谷真紀(おかたに・まき):島内園香の同級生。

児童養護施設『あさかげ園』園長が男性で、金井。関根という女性が、島内千鶴子と仲が良かった。

 伏線として『人形』が忍ばせてあるのでしょう。

 ピンキーとキラーズはなつかしい。歌は『恋の季節』です。自分はたしか小学生でした。
 
 すらすらと読めます。この作者さんの特徴です。
 読みやすく、わかりやすい文章です。
 
 焼き鳥屋のウズラの卵にこだわりあり。島内園香と母親の好物です。
 島内園香は不倫の子らしい。妻子ある人のこどもです。
 先日読んだ『彼女の家計簿 原田ひ香 光文社』に出てくる瀧本里里(たきもと・りり)とその子である女児の啓(けい)三歳ぐらいを思い出しました。
 今から読み始める話と「彼女の家計簿」が重なり合うこの世にない新たな本が、自分の脳に発生するかも知れません。
 
 島内親子は木造二階建てアパート『いるかハイツ』八世帯が住んでいる。島内親子は二階の角部屋で暮らしている。
 だけど、浴室で母親の島内千鶴子が倒れています。母は、くも膜下出血で死去します。
 
 話は進み、島内園香は、上辻亮太の所有物扱いされるのではないかという心配事が読み手の自分に生まれました。好青年イコール好人物とは限りません。

 (ふと思う。ナエは、島内園香の祖母ではなかろうか。真実はまだわかりません。いまはまだ26ページ付近にいます)

(つづく)

 9月27日:レンタカー借用
 9月28日:レンタカーの返却なし。
 9月29日:不明者届出
10月02日:行方不明になる。
10月06日:遺体発見

 警視庁捜査一課
 特捜本部
 草薙俊平(くさなぎ・しゅんぺい):男性。警察職員係長職。
 内海薫(うつみ・かおる):女性。警察職員。草薙の部下。
 横山巡査長:三十歳過ぎ。生活安全課所属。

 湯川学:帝都大学。天才物理学者。草薙俊平の大学時代からの友人。湯川学の出身高校は、エリートがそろった統和高校。バトミントンをしていたが、バトミントン部員ではなかった。高校のクラスメート女子と6年間付き合ったが別れた。
 帝都大学の『優秀卒業研究発表会』で湯川学が発表したのが『磁界歯車(じかいはぐるま)』
 今は、母親の介護をしている。
 
 年寄りの面会希望あり。七十歳前後の女性高齢者だった。

 陰の人間がだれかを助ける。この作者さんの物語づくりのパターンひとつだろうか。

 『ぼくは何?』
 『ひとりぼっちのモノポちゃん』 モノポール:磁気単極子。磁気のN極だけ、あるいはS極だけの素粒子をもつ。
 
 藤崎編集者

 オーパス・ワン:アメリカ合衆国カリフォルニア州にあるワイン事業所。

 87ページ付近、自問自答のような会話が続きます。草薙と湯川の会話です。

 92ページあたりの推理は、本を読んでいる読者の推理と一致します。(だけど、真実は、ちがうのだろうなあ)

 根岸秀美:東京都中央区勝どき。『銀座 VOWM経営者兼ママ』

(つづく)

 チーママ:酒場で、ママの次の立場の女性
 ワイルドターキー:アメリカ合衆国のウィスキー。バーボンウイスキー(バーボンは地名)
 施条痕(せんじょうこん):銃から発射された銃弾に付いた痕(あと)
 第一京浜道路(だいいちけいひんどうろ):延長15キロの国道。昔の東海道を引き継ぐ。国道15号。新橋-品川-横浜市
 虱潰し(しらみつぶし):見落としがないように徹底的に調べる。
 固定資産税の節税対策:市街化区域内のA農地とかB農地とか、長期営農継続農地とか、宅地並み課税とか、そんな言葉をバブル経済期に聞いたことがあります。1980年代だった記憶です。(昭和55年ころ)。よくは知りませんが、当時の土地税制はもう今はないのでしょう。
 記述の中身が、もう過ぎてしまった35年ぐらい前のことであり、ネタ切れなのかなあと感じました。それから、夜の酒場の記述がたびたび出てくるのですが、作者自身が銀座の夜の酒場を飲み歩いているのだろうなあという余計な想像が浮かんできました。
 
 読んでいてピンときました。
 128ページあたり。根岸秀美(そうか。きっとこの人が犯人に違いない。さて、当たるかどうか)

 「山下宅」のお隣が「児島宅」
 小島宅の六十過ぎの女性から事情聴取。
 
 (祖母。こどもを捨てた人が)松永奈江-(捨てられたのが、病死した)島内千鶴子-(島内千鶴子の非嫡出子の娘が)島内園香ではなかろうか。

 キーワードとして『ボウム』 「誓いを立てる」につながる意味。

 DV男が登場します。なんでこんな男を好きになってしまったのか。気をつけましょう。見た目ではわかりません。男だけではなくて、女DVもいるはずです。どちらもこどもを虐待しそうです。怖い。

 DV加害者は、実は被害者であったりもする。人間界は複雑です。DV加害者は、第三者から制裁を受けるのです。

 いいなと思ったセリフの趣旨として<その人と暮らしていて、あなたは、本当に幸せですか?>
 ちょっとむずかし部分もあるセリフです。なにかを克服しないと幸せに近づけないということもあります。

 おそらく血がつながっているのに、表向きは他人です。だから、なんの根拠があって、わたしに説教するのかとなります。(あたしにとってあなたは他人。(違います。肉親です))

 167ページ、死んだ人間が生きている。

 もうひとつ気に入ったセリフとして『……敵か味方かを瞬時に判断する習性を生まれ持っているからかもしれない』
 
 異常な男がいます。

 情報がもれている。
 なぜ?
 警察の関与が被害者を窮地(きゅうち。苦しい立場に追い詰める)に追い込む。
 被害者は加害者でもあるから、しかたがないと簡単には割り切れない気持ちになります。

 そういうからくりか。(気づけませんでした)

 湯川学の逮捕(前例があるのか。逮捕はしなかったみたいですが。)

 草薙俊平と湯川学は、友人なのかなあ。利害関係のつながりだけに見えます。

(つづく)

 『望夢』

 クロスボー:西洋の弓

 216ページ付近にいますが、読む気持ちがだんだんしぼんできています。
 
 『密造銃』

 こどもを捨てた親の話は聞きにくい。

 物語を離れて、押さえておくべき言葉として『傍から(はた)からは優しく見えても、裏に回れば妻や恋人に暴力をふるう男はいる……』(あたっています。警戒しましょう)

 犯行に長い人生の歴史がかぶさります。

 殺すのではなく、話し合いで解決する。(口実でしかない。こうじつ:表面上の理由)

 246ページ。ふーむ。びっくりしました。介護の話はどうなっているのか。

 252ページ、さらにびっくりしました。そうなのか。

 被害者は、カネに目がくらんで、命を落としたか。

 260ページ付近、読み手である自分は、だまされているのだろうか。何が真実なのかわからなくなりました。

 悪人は、金づる(かねづる:金をせびる相手。自分が苦労しないでお金を手に入れる手段)をつくりたがる。相手のためだという思いやりのような言葉は嘘(うそ)です。自分のためです。

 岡谷真紀との京都旅行には無理があるのではないか。
 そこまでふたりが親しいとは思えませんでした。

 273ページ『わかんない。どうしたらいいのか、全然わからない』(読んでいる自分にもわからない)

 276ページ、悲しくなる。面会することもないでしょう。永遠の別れでしょう。

 ふーむ。ふたりか。
 重ねてあるのか。

 うーむ。悲劇があります。
 親子ってなんだろう。
 血のつながりってなんだろう。
 うーむ。ただやっぱり、殺人は罪です。
 この世の不幸を描いた作品でした。
 ここには明確には書けませんが不気味な裏があります。
 死んでいるのです。  

Posted by 熊太郎 at 07:18Comments(0)TrackBack(0)読書感想文